「求人力アップ」と「経営理念の浸透」を実現 株式会社ギャプライズのユニークな福利厚生制度
- 企業採用成功事例
掲載企業DATA:株式会社ギャプライズ
本社所在地 | 東京都千代田区外神田2-17-3 アヤベビル4階 |
代表取締役会長 | 土屋 裕樹 |
代表取締役社長 | 甲斐 亮之 |
設立年月日 | 2005年1月 |
事業内容 | Webマーケティング |
01 着ぐるみでテンションを上げる
創業10年目を迎えるWebマーケティング企業の株式会社ギャプライズ。同社では約50名の従業員のうち20名を占めるアルバイトにもユニークな福利厚生制度を適用し、スタッフのモチベーションアップや経営理念の浸透に役立てているという。
同社でも人手が足りない状況にあるが、単に時給を上げてスキルの高い人材を集めるという方法は採用していない。報酬で人を集めるのではなく、同社の理念を理解し、やりがいや楽しさを感じながら働く環境こそが、いい人材の確保につながるというポリシーがあるからだ。
こうした取り組みの契機となったのが「着ぐるみ福利厚生」。社内に20~30着ある着ぐるみを、気分を上げたいときに着て仕事をしたり、休日にも友達の結婚式などで自由にレンタルしたりできるというものだ。中には落ち込んでいる同僚を励ますために着用するスタッフもいるという。
「創業当時、深夜から企画書を3つ仕上げなければという状況に追い込まれていたときでした。その頃着ぐるみを扱う会社のサポートをしており、オフィスに商品サンプルが転がっていました。その着ぐるみを半ばヤケクソで着てみたところ、非常にテンションが上がって、企画書が一気に仕上がったのです(笑)」と語るのは代表取締役会長の土屋裕樹氏。
その翌日には、自社の採用サイトに「着ぐるみ福利厚生」というページをアップ。社内で着ぐるみを許容できる組織、あるいは着ぐるみでテンションが上がることを面白いと思えるような組織、そうしたものを企業文化の一つにしたいと思ったという。
「私たちは『いつも心にエンタテインメント』を経営理念に掲げています。エンタテインという言葉を直訳すると“もてなす”という意味があります。その理念を実現していくための取り組みとして、遊び心を忘れずに、ターゲットユーザーを“もてなす”ことがWebマーケティングの事業にもつながっています」と土屋氏。
02 人を喜ばせるために
同社の休暇制度もユニークだ。「サプライズ休暇」は、文字通り誰かをサプライズで喜ばせるために、通常の有給休暇とは別に休暇が取得できるというもの。取得には申請が必要で、「この人をこのように喜ばせたい」と自分の思いを資料にまとめてプレゼンテーションをし、採用されれば休暇が取得できる。
一例を挙げると、結婚を目前に控えたスタッフが田舎から出てくる両親を東京ディズニーランドに連れていき、シンデレラ城の前で今まで育ててくれた感謝を伝えたいということで休暇を申請。見事プレゼンが認められ、実際に感謝の言葉を聞いた両親は涙ぐんで喜んでくれたという。
「人を喜ばせるサプライズな出来事を社内共有することで、周りが応援するような雰囲気が生まれると、従業員の士気も上がると思うんですよ」
現在、実際に申請があるのは年に1回程度だが、利用の有無にかかわらず、こうした制度が存在すること自体が「人を喜ばせる」ことを大切にしたいという風土を生み、「休んでもOK」というメッセージになっていることに意義があると土屋氏は強調する。
他にも、本人や会社の成長のためのセミナー参加や研究時に取得できる「ライズ休暇」や、平日のバーゲンセールでファッションに磨きをかけるため取得できる「おしゃれ半日休暇」など、同社の休暇制度は様々だ。
03 アルバイトと正社員の垣根を低く
そのほかにも同社には、正社員、アルバイトにかかわらず利用できる制度が多数ある。
上司に相談したいことがあっても、就業時間内はまとまった時間が取りにくいケースも多い。そこで、ランチの時間を活用すればということで設けられたのが、会社が2名分の昼食代を補助する「わくわくランチ」。何か相談ごとがあるときに、部下のほうから上司に「わくわくランチお願いします!」と声をかけやすくなり、コミュニケーションが密になったという。
朝礼で行う「チョモランマ制度」で、スタッフのモチベーションを高めている
また、経営理念の浸透を図る目的で、毎週月曜日には1時間の朝礼を実施。任意参加のアルバイトスタッフには、その分の時給を払っている。朝礼内では、前週の仕事をお互いに評価し、各人が高みにある人を“チョモランマ”として表彰・発表する「チョモランマ制度」を実施。アルバイトスタッフも表彰の対象となっている。
さらに「きっかけギフト」という制度も新たにスタートしたばかり。大切な人を年に1回喜ばせるためのプレゼント代として5,000円を会社が負担する。
これらの制度は、「K&Pフォーム」という同社の電子目安箱での提案が元となることが多いという。“K&P”は改善&パワーアップの略で、ジャンルを問わずさまざまな提案を従業員(アルバイトを含む)から吸い上げる仕組みで、提案だけでも100円、そして実際に採用されれば500円の社内通貨が渡されるというシステムだ。
「アルバイトであっても単に時給を稼ぐだけでなく、経営理念を理解したうえで、やりがいを持って働いてもらいたいということから生まれたもので、アルバイトと正社員の垣根はできる限り低く抑えられています。」
04 トライ&エラーの精神
2006年から同社の経営に参画し、2013年に現職就任した土屋裕樹氏。
厚生労働省主催「休暇制度の普及のための広報事業」パネラーも務める。
「50名ほどの規模なので型にとらわれる必要もないですし、すぐに実行に移せるのが我々の特権です」と、いいと思ったアイデアはとりあえず実施してみるトライ&エラーを心がけている。今も残っている制度はそうして淘汰されてきたものだという。
このように福利厚生面の充実を考えている企業に、「一度やってみて、盛り上がらなかったら潔く『ごめんなさい』と言えるかどうかがポイント。新しいことに否定的になると、アイデアが出しづらくなってしまいます。新しいものを許容できる、面白がれる社内風土が大事だと感じています」と、土屋氏はアドバイスを贈る。
自社の採用サイトで、経営理念と共にユニークな福利厚生制度を詳しく紹介しているのも、応募者に事前に会社の姿勢を理解してもらいたいという思いを込めてのもの。それがフィルターとして働き、応募と採用のマッチングという面でもメリットにつながっているようだ。