「求職者と企業のニーズをマッチング」- 東京しごとセンター

  • 企業採用成功事例

掲載企業DATA:東京しごとセンター

本社 東京都千代田区飯田橋3-10-3
TEL 03-5211-2851
事業内容 2004年7月に設立された東京都民の雇用・就業を支援するための施設。若年者から高齢者まですべての年齢層の方を対象として、就職に関するさまざまなサービスを提供している。2007年8月には国分寺に東京しごとセンター多摩を開設。(東京都国分寺南町3-22-10 TEL:042-329-4510)

 01 東京しごとセンターの果たす役割

飯田橋にある東京しごとセンター飯田橋にある東京しごとセンター

総務省が2009年8月に発表した7月の完全失業率は、5.7%と過去最悪を記録した。特に若年層の失業率は3月の時点で11.3%に達し、その後も高い水準で推移。これは、パート・アルバイト、派遣労働者の離職者数が著しく増大していることに起因する。今年1~3月までの離職者数は、正規雇用者が65万人で前年同月差は横這いだったのに対し、パート・アルバイトは同11万人増の53万人、派遣労働者は同14万人増の24万人にものぼった。

民主党は中小企業の法人税を11%に引き下げ、月額10万円の手当てつき職業訓練制度を設けて求職者を支援していくとマニフェストに掲げているものの、この公約が実行されたとしても雇用状況が好転するのには時間がかかるだろう。求職者が求めているのは、今働ける職場。企業が求めているのは、やる気のある人材。求職者と企業とのミスマッチを解消させる目的で設立されたのが、東京しごとセンターだ。今回はその役割と活動内容を取材させていただいた。

02 きめ細かいサービスで求職者支援

正規雇用対策 担当課長 長崎 純一氏財団法人東京しごと財団 正規雇用対策 担当課長 長崎 純一氏

東京しごとセンターとは、求職者に対して個人の適性や状況を踏まえた就業相談や各種セミナー、求人情報の提供など、きめ細かなサービスを提供する施設。運営は「東京しごと財団」が東京都から委託を受けて行っており、飯田橋と国分寺に窓口を設けている。このように聞くと、ハローワークとどう違うの?という疑問が浮かび上がるが、正規雇用対策担当課長の長崎純一さんが答えてくれた。

「ハローワークは “職業紹介”が主な役割で、そこに到るまでの個人のケアまではなかなか手が回りません。例えば『自分に合う仕事が分からない』『就職活動の仕方が分からない』などといった悩みは若年層の求職者にはとても多い。その人たちに対してカウンセラーが個別カウンセリングを行い、必要だと思われるセミナーやグループワークに参加してもらう。そうやって、“就職力”を身につけるための支援をさせていただいております。就職に到るまでのカウンセリングとセミナー、これが東京しごとセンターの柱となる業務です」

シニア(55歳以上)、ミドル(30~54歳)、ヤング(34歳以下)と年齢別に窓口を分け、それぞれに必要と思われるサービスを提供するのも特徴だ。若年層には今までもジョブカフェがあった。2003年に国が策定した「若者自立・挑戦プラン」の中核に位置付けられたもので、若者の能力向上と就職促進を図るため、雇用関連サービスを1ヵ所でまとめて受けられるようにしたサービスセンター。東京しごとセンターはまさにその発展型で、若年層だけでなく全ての世代が利用できるというわけだ。

03 若者と企業をマッチさせる多彩なサービス

しごとセンター課 若年就業支援係 堀田 育子氏財団法人東京しごと財団 しごとセンター課 若年就業支援係 堀田 育子氏

では、そのサービス内容とは具体的にどんなものなのか?パーソルプロセス&テクノロジーが業務を請け負っているヤングコーナーを例にとり、しごとセンター課若年就業支援係の堀田育子さんに説明していただいた。

「キャリアカウンセリングやさまざまなセミナーなどを開催していますが、ヤングコーナーで反響の大きいのが『ジョブパーティ!WEEK』です。年に10回、各3日間で開催されるイベントなのですが、いわば企業とのお見合いパーティといった趣き。若者は前半の2日間で3回のセミナーを受けてから、3日目のジョブパーティに参加。普段着のまま、ざっくばらんに企業の採用担当者とお話をすることができます。その場で就職が決まるというような面接ではなく、若者と企業がお互いの本音を知り、マッチングが図られる機会を得られればと考えて始めましたが、1~2組はこれをきっかけに就職が決まります」

いきなりスーツを着て、ネクタイを締めて就職面談に臨んでも、就業経験の少ない若年層が自分をアピールするのは難しい。それが『ジョブパーティ!WEEK』なら素に近い自分の姿を見てもらえるだけでなく、事前のセミナーで自己分析をし、コミュニケーション能力を高め、面接テクニックなどを学ぶ機会まで得られる。毎回定員いっぱいの60~70名の方が集まるというのも納得だ。

しかもこの『ジョブパーティ!WEEK』、若者だけでなく企業にとっても参加するメリットは大きいと堀田さんは言う。「若者との接点が少なく、どのように求人をしたらいいのか分からない、というのは多くの企業から寄せられる悩みです。ジョブパーティの前には企業の方にもセミナーを受けていただきますし、パーティでは若者の本音が聞ける。企業からも大変好評を戴いております」

04 企業側も見逃せない助成金制度

しごとセンター課 若年就業支援係 手嶋 千賀子氏財団法人東京しごと財団 しごとセンター課 若年就業支援係 手嶋 千賀子氏

『ジョブパーティ!WEEK』以外にも若者と企業双方から好評なのが『チャレンジ!インターンシップ』。正規雇用を希望する34歳以下の方のためのインターンシッププログラムで、さまざまな企業が求めるスキルを実際に企業内で体験することができる。

「学生には一般的になってきていますが、一度社会に出たことのある方に対するインターン制度は画期的です。5日間のショート・インターンと10~20日間のロング・インターンの2種類が用意されていて、受け入れ先企業として現在60社ほど名乗りを上げていただいています。あくまでも職場体験ですのでインターン先へそのまま就職される方は多くはありませんが、就職前に未経験の業界にチャレンジでき、自分の可能性を広げられるという点で、若者にはとても有意義だと思います。企業側も優秀だと感じる人材がいれば、もちろんその人にアプローチしていただいて構いません。ここでマッチングが生まれればベストです。またささやかではありますが企業側には謝礼もご用意していますので、ぜひ多くの企業の方にご参加いただきたいですね」としごとセンター課若年就業支援係の手嶋千賀子さんは語る。

さらに、『ネクストジョブ』も30歳代の方、企業双方にとって見逃せない制度。

「就職氷河期に学校を卒業して正社員になれなかった現在の30歳代の方を強力にバックアップする制度です。2階に専用窓口を設けています。カウンセリングやセミナーを行うのは通常と同じなのですが、特徴的なのはジョブコーディネーターがいること。企業の採用・人事担当OBや社会保険労務士など就職の専門家が、一人ひとりの課題や悩みにアドバイスしてくれるのです。しかも、ジョブコーディネーターは無事に就職した後も職場を訪問し、就職した人と企業の両方からお互いの悩みや不満を聞きだして職場定着をケアしてくれる。そうして無事にネクストジョブで紹介した人を正社員として6カ月以上雇用した企業には、1人あたり60万円が助成されるのです」

05 無料で求職者と企業を結ぶ

東京しごとセンターの新規利用者数は平成20年度が約2万4000人で、就職を勝ち取ったのは約9500人。カウンセリングやセミナーなどきめ細やかな対応の成果が、約4割という高い就職率に現れている。しかも、カウンセリングやセミナーは全て無料。企業が参加できるセミナーも無料なら、『ネクストジョブ』に代表される各種助成金制度もある。

「お仕事をお探しの方はもちろんですが、企業側にもっと東京しごとセンターを利用していただきたい。求人開拓で企業を訪れることもあるのですが、『東京しごとセンター?』『助成金?』という反応も多く、まだまだPR不足なのを感じます。企業からの求人の相談を受ける窓口もありますので、きっと皆さんのお役に立てると思います」と長崎さん。助成金ばかりでなく、企業向けのセミナー参加も人材不足に悩む採用担当者にとっては発想の転換の機会になるかもしれない。企業も、東京しごとセンターを利用しない手はなさそうだ。

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