アルバイトの試用期間のメリットとは?解雇や導入の疑問を解決

  • アルバイト課題(採用関連の課題以外)

人手不足が深刻化する昨今、安定してアルバイトの長期雇用を行うため「アルバイト試用期間」の導入が注目されています。今回の記事ではアルバイト試用期間を導入する際のメリットや注意点を徹底解説。さらに待遇や解雇といった運用する際の留意点も紹介します。

アルバイトの試用期間とは

アルバイトの「試用期間」とは雇用者と労働者がお試しで雇用契約を結ぶことを指します。正式な採用を決める前に、実際の業務を通して応募者の能力や適性を見極めるのが主な目的です。

研修期間との違い
研修期間と混同されがちな試用期間ですが、2つの大きな違いは目的にあります。試用期間が応募者の適性を見極めるのに対し、研修期間は正式に使用された新人を教育することを目的としています。

目的が違えば労働者の勤務内容も違います。研修期間は新人を一人前にするため、必要なスキルや知識を教育する期間です。通常の業務をこなしてもらうことは想定されていません。一方で試用期間の場合は教育だけでなく通常業務も担当してもらいます。

試用期間の導入が増加している背景

アルバイトを多く抱える職場では早期退職が大きな課題です。そんな早期退職の原因の一つとして「実際の仕事環境と応募者が抱く職場イメージ」のミスマッチが挙げられます。求人情報で伝えられることには限界があり、多かれ少なかれギャップは生まれてしまうものです。そこで注目されているのが試用期間の導入です。

 

表はアルバイトを選ぶ際に重視しているポイントを調査した結果です。上位には「勤務日数・シフトの融通が利くか」「自分にもできる仕事かどうか」「社員・同僚の雰囲気」といった理由があがっています。これらの項目は重要視されていながら求人情報ではなかなかわかりづらいものです。求人情報では伝えることの難しかった項目を体験してもらうためにも試用期間は画期的な制度なのです。

アルバイトの試用期間を設けるメリット

背景をみていくことでアルバイトの試用期間を設ける意味が見えてきました。では試用期間を設けることで具体的にどのようなメリットがあるのか、代表的な3つを解説します。

・雇用主と応募者が労働条件を互いに再確認できる
・業務内容とのマッチ度を図れる
・面接だけでは見抜けない人間性をみられる

雇用主と応募者が労働条件を互いに再確認できる
応募者と面接をして採用する場合、労働環境の確認について口頭の確認が行われるのが一般的です。しかし、賃金や最低出勤日数などお互いに希望が守れているか雇用契約を結ぶまでわかりにくい部分もあるでしょう。その際に試用期間を導入することで、現場に即した労働条件の確認ができ、すり合わせの修正できます。また応募者に休憩のタイミングやまかないといった仕事の特徴を肌で感じてもらえるのもメリットです。

業務内容とのマッチ度を図れる
求人情報に載せられる業務内容には限界があるため、雇用後にアルバイトがミスマッチだと感じることがあります。試用期間は応募前には掴むことのできなかった、業務内容への理解をさらに深められる場です。また、応募者に業務を体験してもらうだけでなく、雇用主が応募者の働きぶりを直接みることができるため適性を見抜けることもあります。そのため早期退職やバックレといった不測の事態をおさえられるのです。

面接だけでは見抜けない人間性をみられる
面接という限られた時間、場所で人間性を判断するというのはなかなか難しいもの。試用期間を設け、職場で働く姿をみることで、面接では見抜くことができなかった部分や判断の間違っていた部分を知ることができます。人間性は採用判断だけでなく教育方針にも影響します。そのため本採用後の見通しも立てやすくなり、より長期的な視点を持つことができるでしょう。

アルバイト試用期間の待遇設定と注意点

1.給与
2.期間
3.保険

1.給与

・最低賃金以上の支払いなど労働基準法は厳守する
・募集要項や契約書に試用期間があること、期間中の給与を明記する

アルバイト試用期間中の賃金については本採用時と同じでなければならないという決まりはありません。アルバイト試用期間中の賃金を低く設定することも違法ではなく、賃金を安く設定している企業もあります。

ただ、最低賃金を下回ってはいけません。もちろん残業代についても通常の労働基準ルールと変わりはなく、支払わなかった場合は違法です。トラブルを避けるためにも応募者にしっかりと条件を通知することが大切です。求人情報にも本採用時の賃金だけでなく、試用期間中の給与も明記するなど、事実確認を怠らないようにしましょう。

2. 期間

・試用期間の期限は必ず設ける
・募集要項や契約書に試用期間がどのくらいなのか、変更の可能性があるのかを記す

試用期間を設ける場合は必ず明確な期間を設定する必要があります。期限のない試用期間は無効ですので注意しましょう。試用期間の長さについて上限はありませんが、3~6ヶ月が一般的です。期限設定が自由であっても試用期間中は従業者には不安な期間であるため、あまり長く設定するのはオススメできません。

また試用期間を延長する場合は必ず従業者に伝えるようにしましょう。書面だけでなく、延長の度に直接伝えることでトラブルを防止できます。

3. 保険

 ・試用期間中も労働者の社会保険の加入は可能

アルバイト試用期間であっても通常のアルバイト雇用と同じく各種社会保険への加入は必須です。試用期間は長期雇用を前提とする傾向があるため、待遇は原則本採用のアルバイトと変わりません。

本人の希望年収や加入の有無を考慮せずにいると、重大な問題に発展になることもあります。「扶養内のアルバイトが実は扶養から外れていた」など本人だけでなく家族を巻き込んでしまうことも。大きなトラブルに避けるためにも注意が必要です。

アルバイトの試用期間中の解雇理由と通知方法

アルバイト試用期間の場合、勘違いしがちなのが解雇に関する問題。気軽に解雇することができると思われていますが、この項目でも注意点があります。解雇する際の制約について解説します。

正当とみなされる解雇理由の例

 ・出勤率が著しく低い
・複数回にわたる無断欠勤
・経歴の詐称が発覚
・勤務態度に問題があり、指摘後も改善がみられない

たとえアルバイトの試用期間中であったとしても合理的な理由がない解雇は厳禁です。ただ、上記4つの理由についは解雇が認められる場合があります。

しかし、上記の例に当てはまっていたとしても教育や指導が不十分だと判断された場合は不当な解雇とみなされます。指導や教育を行い、その後も改善しなかった場合にのみ合理的と判断されます。

解雇通知の方法
試用期間中に解雇を決定した場合の通知方法は、アルバイトが勤務していた期間によって異なります。

入社14日以内の場合
契約後14日以内であれば解雇予告通知書などを作成せず、本人に個別面談で通知することで解雇することができます。(労働基準法第21条)しかし、いつ解雇するかを明確に伝えるためにも、可能であれば試用期間満了通知書や解雇予告通知書を渡すことをオススメします。

入社15日以降の場合
入社後15日以上の場合は解雇予告が必要となり、あわせて以下2点どちらかの条件を満たす必要があります。

1.解雇30日前に予告
2.即日解雇する場合は、30日分の解雇予告手当を支払う
労働基準法第20条

14日のボーダーラインにより、対応が大きく異なります。解雇を希望する場合は可能な限り迅速に、適切な対応をしましょう。

アルバイトの試用期間を正しく導入して恩恵を受けましょう

アルバイトの試用期間の定義やメリット、実際に導入する際に知っておくべき注意点をご紹介しました。アルバイト試用期間はミスマッチがなく安定した人材採用に役立ちます。しかし法律の問題などの注意点もあります。正しく、理解しぜひ導入を検討してください。

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[出典記載例] 出典:求人情報サービス アルバイトレポートより(該当記事URL)

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