アルバイトがすぐに辞めてしまう…定着率を上げるための3つの方法
- アルバイト課題(採用関連の課題以外)
新しいアルバイトスタッフを採用してもすぐに辞めてしまって困っている…という経営者や店長の方は少なくないのではありませんか?
すぐに人が辞めてしまうからこそ、採用時に多少無理をしてでも多くの人数を採用し、結果的にミスマッチに繋がる、という悪循環に苦しむというパターンは意外と多いかと思います。
そこで今回は、年間4,000人もの飲食・小売・サービス業の店長から人材育成や店舗運営などの相談を受けるというコンサルティング会社、DIC幹部育成コンサルティング代表取締役の鳥越恒一氏が執筆した『店長が必ずぶつかる「50の問題」を解決する本』(2016年・PHP研究所)を参考に、「スタッフの定着率を上げる3つの方法」を紹介します。
目次
ポイントは「尊敬される店長・スタッフ間の人間関係・正しい評価」の3つ
前述の『店長が必ずぶつかる「50の問題」を解決する本』では店長からの50個の悩み相談が寄せられており、今回のテーマである「アルバイトの定着率を上げるにはどうすれば?」という項目があります。
定着率アップのポイントに関して鳥越氏は「尊敬される店長、スタッフ間の人間関係、正しい評価」の3つが重要であると語っています。
以下ではそれぞれの内容をみていきます。
1.尊敬される店長であること
定着率を上げるポイントの1つ目は「尊敬される店長」です。
当たり前のことだと思うかもしれませんが、ここで改めて認識していただきたいのは「アルバイトを通じて給与以外にも求めるものがある人は多い」ということです。鳥越氏も学生に「アルバイトに求める条件は何ですか?」というアンケートを取ってみたところ「社会経験」という回答が1番多く返ってきたそうです。
学生であれば就職活動の際に「学生時代の活動(アルバイトも含む)を通じて学んだ経験・知見は何ですか?」と聞かれることは非常に多いです。学生たちは、経営者・店長の皆さんをはじめとした正社員=社会人の姿を見ることで「この人は自分にとって新しい学びや経験を与えてくれる人なのか」をよく観察しています。
ですので、まずは職場において手本となるような仕事ぶりを見せ、信頼できる人間であることを示すのはもちろんですが、社会人としてのマナーや考え方、仕事に対する姿勢を伝える、勤務時間外でも日頃の悩みを聞くといった、仕事内容には直接関係ないような話でもこまめにコミュニケーションの時間を取って伝えていくとアルバイトには喜ばれます。
常日頃から「自分はアルバイトたちからの信頼を得ているか」「職業人としての学びを提供できているか」という点を意識してみてください。
2.スタッフ同士の良好な人間関係を築く
2つ目のポイントは「スタッフ間の人間関係」についてです。
1つ目の「尊敬される店長」は社員とアルバイトとの関係性の話でしたが、もちろんスタッフ同士の人間関係が良好かどうかも定着率に大きく関係します。職場内での交流会を開いたり、スタッフたちの話に耳を傾け、時には自ら介入して解決に向けて動く必要があります。
とはいえ既にキャリアのある経営者・店長の皆さんは大小さまざまな「人間関係のいざこざで苦労したエピソード」を持っているでしょうし、「わかってるけど1人1人に細かく話を聞く時間なんて確保できない!」と思っているかもしれません。
こうした際、必要なのは個々人の努力で何とかするのではなく「ルール化」してしまうことです。交流会にせよスタッフ面談にせよ、思いつきで不定期に行うのではなく「必ずこの月に行う!」と事前に決めて出席率を高めると同時に、経営者・店長の皆さんのスケジュールもなんとか確保するようにスケジューリングをしましょう。
有名な話ですが、たとえばスターバックスでは4か月に一度、ストアマネージャーが全アルバイトと個別面談を行い、「これまでに成長したこと」と「今後の目標」などを話し合っています。
スタッフのAさんとBさんが険悪ムードである、といった状況を放置しておけば間違いなくアルバイト定着率は下がります。人間関係を良好に保っておくことも経営者・店長であるあなたの仕事です。
3.正しい評価をスタッフに与える
3つ目の「正しい評価」もスタッフ間の人間関係に影響を与える重要なポイントです。
人間は誰しも「人から受け入れられたい、感謝されたい」という欲求があるもの。アルバイトであれば時給が上がり、その後なんらかの役職がつくという一連の流れはモチベーションアップに大きくつながります。
そうしたとき「どんな基準で昇給・昇格させるか」という評価のポイントを、スタッフ全員がわかるように明示しておき、誰にでもチャンスが与えられる環境を整備しなければ「店長はあの人ばかり優遇しているじゃないか」といった不満の種となってしまいます。
加えて鳥越氏は本書のなかで「アルバイトの誰がいつごろ評価対象の時期になるかを把握すること」や「そもそも人事(評価)制度がどのような仕組みになっているのかを理解しておくこと」も非常に重要であると指摘しています。
「真面目に働けば必ず評価してもらえ、時給やキャリアにも反映される」という文化が十二分に浸透している組織は、それだけスタッフのやる気もアップし、同時に定着率アップにつながるでしょう。
その他重要なポイント!「採用面接時のコミュニケーション」も重要
『店長が必ずぶつかる「50の問題」を解決する本』では「面接はお見合いです。相手に対して関心を持って臨み、条件だけを見て決めることのないようにしましょう」と、採用面接時のコミュニケーションの重要性についても語られています。
採用面接は多くの場合、アルバイトの応募者とお店側が最初に対面してコミュニケーションを行う大切な場なのですが、就業条件ばかりを質問するような面接を行ってはいないでしょうか?
「週に何回シフトに入れますか?」「土日はシフトに入れますか?」「お盆休みや年末年始も働けますか?」といった具合です。
もちろん、事前に双方で就業条件を確認しあうことは必須ですが、終始そうした質問だけで面接を行ってしまうと、応募者は「誰がやっても成果が変わらない仕事なのか」と感じてしまいます。それでは、働きたい気持ちがそがれてしまっても不思議ではありません。そうならないために、例えば「なぜこの店舗・職種を選んだのですか?」「この職場でやってみたいことは何ですか?」など、もっと応募者自身に関心を持った質問もしてほしいと思います。
まとめ
人がどんどん辞めていく環境では、新規採用に注力するあまり、採用時のコミュニケーションや、スタッフが働き始めてからのコミュニケーションが疎かになってはいないでしょうか。
スタッフが長期間働きたくなる、すなわち定着率の高い組織は、それだけ「この職場で働くことが楽しい!」と感じてもらえているということです。
いきなり完璧な行動をするのは難しいでしょうが、「スタッフに金銭以外の価値をどれだけ提供できているか」ということを少しずつ意識して行動し、定着率アップにつなげていきましょう。
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