店舗の運営効率を劇的に上げる!バイトリーダーの育成法

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大勢のスタッフが働く飲食店やイベント会場などの現場において、欠かせないのがバイトスタッフを取りまとめるリーダーの存在。常に周りの様子を把握しスタッフへ気配りも怠らない、優れた素質を持ったリーダーは企業にとっても大きな財産となります。
そこで今回は、イベントの企画・運営のほか、飲食やフィットネス、リラクゼーション事業など幅広く展開している株式会社グッドウェーブプロモーションの常務取締役・鈴木亮さんに、バイトリーダーの育成方法や活用法について、お話を伺いました。

人材を見極める際のキーワードは「自責思考」と「感謝」

──バイトリーダーを育てるうえで、最初に取り組むべきことを教えてください。

バイトリーダーとは、バイトスタッフ全体を取りまとめ、管理するという、中心的な存在です。そうした任務をこなすためには、様々な適正能力が求められるため、まずはリーダーに適した人材を見極める必要があります。そのうえで大事なキーワードとなるのが、「自責思考」と「感謝」です。

面接の際、最後に必ずする質問があります。それは、「これまでの自分を振り返ってみて、運が良かったと思いますか? 悪かったと思いますか?」というものです。これに対して、「運が悪かったです」と答えた人は、病気が理由の場合を除いてけっして採用しません。なぜなら、「運が悪かった」という人は、自分の身に降りかかった問題、あるいは体験した失敗などを運のせいにしているからです。このような人は、何か不都合なことが起こるたびに、環境や会社、親、他人など、常に他者のせいにする他責思考のタイプだと言えます。

これに対し、「運が良かった」と答える人は、何か問題が起こったときにも他者のせいにはしない人が多いと言えます。当事者意識を持って問題に取り組むという自責思考により、困難や苦労を一つひとつ乗り越えてきた人が多いのです。言うまでもなく、リーダーに向いているのは後者です。

そして、もう1つのキーワードが「感謝」。会話の流れで自発的に親御さんのことを話してくれた場合には、その言葉の端々から親御さんとの関係性を探り、親御さんに対してきちんと感謝できる人を採用するようにしています。なぜなら、親に感謝すらできないような人は、現状では一緒に働く仲間はもちろん、会社にも感謝ができるとは思えないからです。

──「自責思考」と「感謝」をキーワードに人材を絞り込んだとして、次の段階ではどのような点に着目したらよいですか?

弊社では面接合格後、会社としての考え方や基本的なルール事項学ぶ研修を2~3時間かけて行います。時間やコストの問題でこうした研修を端折ってしまう企業が多いと思いますが、規模の大小に関わらず、会社の基本理念などをアルバイトにまで浸透させることはとても大切です。ここをしっかりやるかやらないかによって、5年後には企業の成長レベルに大きな差がつきます。

採用後、さらにリーダー候補を見極めるために、「今日の仕事、どうだった?」という質問をします。多くの人は、「楽しかったです」「雨が降ってちょっと大変でした」など、自分のことを話します。一方、リーダーに向いている人というのは、「お客様が喜んでくれていました」「あの人が頑張ってくれました」等、現場のことや一緒に仕事をしたスタッフのことなどを話すのです。つまり、どこを基軸に話をするかに大きな違いがあり、全体を俯瞰で見られる人がリーダーに向いていると言えます。

 

スタッフが切磋琢磨できる育成の仕組みを作る

──では、バイトリーダーの育成方法を具体的に教えていただけますか?

リーダーとしてがんばってもらうためには、本人のモチベーションを上げることが絶対に必要であり、そのための方法として、いい意味での“えこひいき”をすることがポイントになります。えこひいきというと悪いイメージを持たれるかもしれませんが、要は、何らかの特別感をわかりやすい形で演出する、ということです。

たとえば、リーダー候補として適任だと判断した場合には、スタート時点からサブディレクター、アシスタントディレクターなどの役職をつけています。あるいは、ある程度実績を積んだ時点で、何かしらの報酬を与えます。これは、金銭的報酬に限らず、感謝の気持ちを手紙で伝えるなど、非金銭的報酬でもかまいません。

非常にベタなことのようですが、これを実践することで、彼らは「ここの会社は自分のことをよく見てくれているな」「がんばれば報われるんだな」ということを体感し、それがモチベーションアップにつながります。さらに、自分を評価してくれる上司に対して信頼感も生まれるので、「この店長のためなら、がんばろう!」という気持ちになり、良い関係性を築くことができるのです。

──なるほど、まずは意識を変えることが大切だということですね。ほかにはどのような方法がありますか?

弊社では「360度評価」というのを行っていますが、これが育成のうえでかなり肝になっています。これは、すべてのバイトスタッフにアンケートをとり、アルバイト同士で相互評価をするというもので、年に1回、イベント形式で行っています。

これには2つの効力があって、1つは、高い評価を得た人は当然ながら嬉しいので、モチベーションが上がります。もう1つは、全員の意識が変わること。店舗のアルバイトであれば、基本的には店長が管理することができますが、イベントなどでは現場が多岐にわたるため、どうしても目が行き届きません。しかし、360度評価をするということは、会社やクライアントだけではなく、一緒に働いている仲間にも評価されることになります。この“見られている”という感覚があることで、自然と立ち居振る舞いや発言が変わってくるのです。「彼の下で働くとすごくやりやすいです」「彼女とシフトに入ると気持ちよく仕事ができます」といった評価をされることがすごく重要であり、そのことを全スタッフに徹底して浸透させることで、全体の底上げにもつながります。

「スタッフ教育は社員でなければできない」と考える方も多いですが、私はそうは思いません。この360度評価のような仕組みをしっかりと作り、実戦することで、バイトスタッフ同士が切磋琢磨し、優秀な人材を育てていくことは十分可能です。そして、その中で高い評価を得た人こそ、バイトリーダーにふさわしい人材なのです。

優秀なリーダーの存在が、人を育て、いい空気を生み出す?

──バイトリーダーを社内でより有効に活用するには、どのような方法がありますか?

リーダーよりももう一歩踏み込んで、アルバイトの中から管理者を作る、というのも1つの方法です。店舗であれば、店長とほぼ変わらない動きができる人材です。実際、弊社で運営している「CoCo」というタピオカジュースの店では、約1年間、アルバイトだけで店を回していました。行列ができるほどの繁盛店ですが、店長が不在でも問題なく営業することができたのです。アルバイトであっても役職を与えることで責任感が生まれ、さらに、その体験が自信となり、本人の成長にもつながります。

僕がスタッフによく言っているのは、「リーダーの仕事とは、空気を作ることと、人を作ることだ」ということです。優秀なリーダーがいると、そのリーダーをお手本にして周りのスタッフが成長していく。それがいい連鎖反応を起こすと、優秀な人材が次々と育っていき、会社全体にいい空気が生まれる、ということです。リーダーというのはそれほど大きな影響力を持っている存在であり、だからこそ企業も本気で優秀なリーダーを育てるべきなのです。

──最後に、スタッフ教育に苦戦している企業の方々に向けて、アドバイスをお願いします。

まず、管理職の方に申し上げたいのは、「アルバイト=使い捨て」という感覚を社内から排除していただきたい、ということです。この感覚が残っている限りは、アルバイトを有効活用することはまず無理だと思います。これだけ人材難になっている今、人材の確保ができなければ、企業は衰退の一途をたどるのみです。これまで多くの企業を見てきましたが、アルバイトが生き生きと働いているところは、間違いなく素晴らしい会社ばかりです。規模の大小は関係ありません。アルバイトに対してもきちんとした対応や教育ができているかどうか、そこが非常に重要なのです。

そして、これはどんな世界でも使われる常套句ですが、過去と他人は変えられないけれど、未来と自分は変えられる、ということ。マネジメントの基本は、上に立つ人間の覚悟と自責、これに尽きます。バイトスタッフでいつも苦労しているという方は、一度、問題提起する矢印を自分の方に向けて、冷静に考えてみると、何かヒントがつかめるかもしれません。ぜひ今一度、原点を見つめ直していただき、バイトスタッフ、社員、さらには会社自体の成長につなげていただけたらと思います。

まとめ

リーダーに向いている人の見極め方、育て方、さらには活用のしかたまで、非常に参考になるアドバイスをたくさんいただきました。しかし、それらを実践する以前に、まずは会社としてのあり方、アルバイトスタッフへの対応のしかたなど、根本を見つめ直すことの重要性を感じました。ぜひ本記事を参考にしていただき、会社にとって大きな戦力となるような優秀なバイトリーダーを育成していただけたらと思います。

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