【セミナーレポート】<令和の新しい店舗人事戦略セミナー 第2回> “脱”メディア依存を目指す5つの採用ステップ ~ローカル採用力強化とオウンドメディア活用~(2020年8月20日開催)
- セミナーレポート
Afterコロナの”人材確保””人材育成”はどうなっていくのか、どうあるべきなのかをお伝えすべく、接客・サービス業の現場にある人事課題を支援している<令和の新しい店舗人事戦略セミナー(全5回)> 。
今回はその第2回<“脱”メディア依存を目指す5つの採用ステップ ~ローカル採用力強化とオウンドメディア活用~>のレポートをお届けします。
目次
登壇者①
株式会社パーソル総合研究所 フィールド HR ラボ 責任者 日比谷 勉
日本マクドナルド株式会社採用部門責任者として、様々な新しい採用戦略を実施し、
計100万人のアルバイト・パート採用を推進。 “e-Recruiting 戦略の一環で
開発した自社運営のアルバイト求人サイト「マック de バイト」と一括応募を可能とした
コールセンター設立による功績は、全世界でトップ 1% の優秀な業績を残した従業員に贈られる「プレジデントアワード」を
受賞。 2018 年4月、株式会社パーソル総合研究所入社。アルバイト・パート領域に特化した調査・研究・コンサルティングを行う「フィールド HR ラボ」を設立。
登壇者②
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 SEEDS COMPANY 野田 歩美
大手外資系アパレル会社にて10 年間ストアマネージメント業務に従事。
リファラルやスカウト型採用を駆使して 人員充足を達成し、採用難店舗にて CS 改善率全国 1 位、
売上達成率上位ランクインを実現 。その後、医療・福祉系人材紹介会社にて、営業とキャリアアドバイザーの
双方を担当。採用困難な地方エリアでのサービス立ち上げに貢献し、営業売上 BEST 5にランクイン。 2019 年 11 月、パーソルプロセス&テクノロジー(株)入社。圧倒的現場感を持った採用コンサルタントとして大手企業を中心に担当。
アルバイト採用の考え方と採用の5つのステップ
『多くの店舗・現場では、このようなネガティブスパイラルが発生しているのではないでしょうか』(日比谷氏)
人手不足が育成の不徹底を招き、それが離職へ繋がり更なる人手不足を招いているスパイラルです。
「いいえ、うちはそんなことありません。」と言い切れる企業はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。
そこで日比谷氏は、まず採用方法を2つに分類。
【ナショナルハイアリング】 本社主導で、全社で取り組む採用活動
【ローカルハイアリング】 “現場”で取り組む採用活動
『”採用できない” と悩まれる多くの企業では、ナショナル採用の比重が高くなっています。採用成功の為には、両者の連携とバランスが重要です。』(日比谷氏)
本セミナーでは“脱”メディア依存を実現するために欠かせない「ローカルハイアリング」に的を絞って説明がなされました。
『ローカルハイアリングには5つのステップがあり、上から下にかけて採用コストと退職率が高くなる傾向にあります。
例えば、すでによく知られているように、友人からの紹介経由で採用した場合、採用コストはほとんど0円で、気の知れた友人がいるので最初から職場に馴染みやすく、長く勤務していただきやすくなります。』(日比谷氏)
強調していたのは、ここでもやはりバランスが大事であるということ。
求人メディア一辺倒の採用活動を行っていると、こちらもやはり慢性的な人不足サイクルに陥ってしまいます。
職場イメージの向上の重要性
ステップは5つありますが、今回は最重要であるステップ1「職場イメージの向上」について続けています。
パーソル総合研究所が行った「パート・アルバイト一般従業員調査/離職調査」によると、応募前に職場の様子を前もって「下見」する応募者は、全体の43.1%もいます。
『面接の時も職場に入っていくため、職場イメージが与える影響は非常に広いことがお分かり頂けるかと思います。
このうちどこか1つの部分ででも「雰囲気悪いな」「汚いな」等と感じられてしまったら、もうその方からの応募は見込めません。下手すると1人の顧客を失うことにもつながります。』(日比谷氏)
応募者から見られていることを念頭に職場イメージの向上に努めていかなければいけないということですが、
応募者は一体どのような部分を見ているのでしょうか?
『応募者は、従業員の振る舞いから顧客として利用する範囲での職場環境をまず見ます。そしてさらに口コミなどの“見えない”職場環境についても知りに行こうとします。
ここでたまに「うちはブランディングが弱いから(=TVCMがない)」と仰る方がいらっしゃいますが、ブランドは店舗から創り上げるものですと私はお伝えしています。そもそもブランディングとは、“人の印象を左右する、すべての要素”で自分たちの価値を表現する努力のことで、“雰囲気”=イメージ・印象を持ってもらうための努力そのものがブランディングです。
そう考えると日々の接客・サービスの品質/店舗のQSCの方が影響範囲は広い気もします。』(日比谷氏)
オウンドメディアの活用ポイント
オウンドメディア(=自社採用ホームページ)の役割とは何か、それを果たす為に必要なポイントは何か、ここからはアルバイト・パートの採用管理システム「HITO-Manager」を運営するパーソルプロセス&テクノロジー SEEDS COMPANY の野田氏からより教えて頂きました。
まず、オウンドメディアの役割は、2つ。
① すばやく応募へ促すこと
② ここで働きたいという意志を固めさせること
『すばやく応募へ促すためには、ファーストビューとコンテンツの順序が重要です』(野田氏)
野田氏は、HITO-Managerを導入した企業様のホームページにおける直帰率・応募率の改善事例も紹介。
事例① ファーストビューで検索コンテンツが見えるように改修
事例② フリーワード検索 と 都道府県検索の表示順を入れ替え
次に、応募意志を固めてもらうためにすべきことは、3つ。
●具体的なイメージを持ってもらう
●現場で実施されている福利厚生のみ記載する
●独自性のあるメッセージで他社と差別化を図る
『お仕事されている方の画像を用いて、自分がお仕事を始めたときのイメージを喚起したり、従業員のインタビューを載せるのもお勧めです。働くメリットを伝える為に福利厚生で安心頂くことも必要ですが、“自社ならでは“のメリットや働き甲斐はしっかり示していきたいですね。』(野田氏)
以上、『令和の新しい店舗人事戦略 』 セミナー 第2回 【採用】“脱”メディア依存を目指す5つの採用ステップ
~ローカル採用力強化とオウンドメディア活用~でした。
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Q&Aタイムや事後アンケートにて頂戴したご質問と、日比谷氏の回答は以下の通り。
Q1)先ほどスライドにありました「不足の真の原因」を探るために有効な手立てを教えて頂きたいです。
A.まず真の原因と申しましても1つではありません。退職を例にとっても、人が退職するに至るには様々な要素が絡み合ってその決断に至っています。
要因を見つけていくには、人事が持ちうるすべての事実・ファクトをかき集めるしか方法はありません。現在だとESを取る企業も多くいます。
また、人事の皆様が現場に行って営業の話を聞く、退職理由を聞く(退職する際、店長には直接言いづらいもの)などしていくと、
少しずつ見えてくるものがあるはずです。
意外と気づいていないことが多く、採用・定着の課題であっても、それが「育成」に関わっていたり、「上司とのコミュニケーション」に問題があったりしますので、広い目で情報収集・分析をしていく必要があるかと思います。
Q2)すでに勤務しているスタッフからの紹介だと採用を断りづらい、片方の離職時に一緒に辞められてしまうという悩みがあります。
A.重要なのは採用基準を明確に伝えること、どんな人を連れてきてほしいのかを伝えることです。
リクルーターとして、自店のビジネスにきちんと貢献できる人かを見極めてから声をかけてねと一言言えるかが肝になります。
そうでないと、ご質問頂いた通り「断りづらい」「仕方なしに入社させたら問題を起こして2人とも辞めてしまった」ということが発生しかねません。
友人紹介だからといって面接は1回という必要もございませんので、「不安だったら店長が一度面談する」という手もありかと思います。
採用基準を満たした方を友人紹介で採用すると、逆に2名とも辞めないという状態を作れるかと思います。
Q3)採用ステップであった顧客へのアプローチについて具体例をさらに教えていただきたいです。
A. こちらは文字通り、お客様に声掛けをして会話をしながら、お仕事を紹介するやり方になります。
イメージとしては、
「いつもご利用ありがとうございます!」「当店への何か要望はございますか?」などの導入きっかけで会話をする
中盤で「ところで今お仕事をされていますか?」→「しています」と回答されたらクロージング
「いえ仕事をしていません」と回答されたら、募集していることを伝え検討の余地があるのか伺う。
ような流れです。
この際、採用したいオーラを出すのは失礼なので、あくまでお伺いを立てる感じで。
職場見学や面接の希望有無と日時まで決められれば○としましょう。
お店のお客様は、少なくとも店舗に通うことが出来る=通勤可能範囲にお住まいですし、(通学先・勤務先でも○)
店舗で不足している曜日&時間帯に来店される常連のお客様に入社いただければ、
特にピンポイントで不足シフトを補うことができます。