主婦がパートをする背景事情をアンケート パートと育児の関係性とは?
- 求職者動向
これまでアルバイトレポートでは求職者の就業形態や志向性を分析し、採用活動のヒントになるレポートをお届けしてきました(「学生・主婦・フリーター・シニアはどれだけバイトをしているのか?」「学生・主婦・フリーター・シニアのバイト代」)。今回から、各求職者属をきめ細かく分析していきます。最初のターゲットは「主婦」です。
この属性の大きな特徴は「育児」が大きなウェイトを占めること。子どもがいる世帯、いない世帯で働ける時間は異なりますし、子どもの年齢によっても大きく事情が変わります。そこで今回の調査では、主婦を「子どもの年齢ごと」に細かく分けて、その志向性をシリーズ編成で明らかにしていきます。
調査概要
【調査地域】 全国(インターネットリサーチ)
【調査対象】 主婦2000サンプル
アルバイト・パートに従事する主婦1000サンプル(子供なしの主婦:200サンプル/末子年齢0歳~2歳、3歳~5歳、6歳~8歳、9歳~15歳を抱える主婦:それぞれ200サンプルずつ)
無職主婦1000サンプル(子供なしの主婦:200サンプル/末子年齢0歳~2歳、3歳~5歳、6歳~8歳、9歳~15歳を抱える主婦:それぞれ200サンプルずつ)
【調査期間】 2016年4月15日~4月18日
01 パートと育児の関係――カギは保育施設・学童保育の活用
一般的には、子供が小さいほど主婦は育児で手が離せなくなります。その中でパートを始める主婦の背景には周囲のサポートがあるはずです。主婦を末子年齢ごとに分けて、パートと育児の関係性を調べてみ
ました。
【対象】アルバイト・パートに従事する主婦800サンプル(末子年齢別に200サンプルずつ)/年齢は、抱える末子の年齢を指す
末子年齢にかかわらず選ばれているのは「保育園や幼稚園、学童保育の利用」。特に、末子が幼稚園や保育園の年齢(「3~5歳」)と小学校低学年(「6~8歳」)の主婦では、7割以上が回答しています。待機児童の問題がメディアでも大きく取り上げられている通り、主婦層がパートできるかどうかは、保育施設利用の可否にかかっていると言っても過言ではないようです。
次に多いのは「親が子育てを手伝ってくれた」。特に3才未満児(「0~2歳」)の子供を抱える層では約3割と高くなっています。この層がパートに就けるかは、親のサポートがカギになるようです。
「配偶者が子育てを手伝ってくれた」を選んだ主婦は、どの層も平均して1割強でした。就業という観点では、配偶者の協力を期待できる環境はまだ整っておらず、育児とパートを並行しなければならない女性の負担は大きいようです。「託児所の利用」については、パート先で託児所が設けられているところが少ないためか、回答者は1割未満でした。
「その他」を選んだ層を見ると、小学校中学年以上(「9~15歳」)の子がいる主婦が突出して多くなっています。回答者の声を見てみると、「子供が一人でも留守番できるようになった」「大きくなって預ける必要がなくなった」という回答が目立ちました。小学校中学年を境に、子供が大きくなって手離れし、パートを始める主婦が増えてくることが分かります。
02 子供が小さい家庭ほど、パート収入の重要性は高い
続いて、主婦のパートと世帯収入の関連を見るべく、世帯収入・パート収入を調査しました。
※年齢は、抱える末子の年齢を指す
世帯収入について、パート主婦と専業主婦を比較すると、その差はほとんど見られません。裏返すと、パート主婦の収入が家計を助けていると見ても良いかもしれません。そこで次はパート主婦の年収にクローズアップしてみました。
【対象】アルバイト・パートに従事する主婦1000サンプル(子供なし200サンプル、子供ありは末子年齢別に200サンプルずつ)
※年齢は、抱える末子の年齢を指す
※「世帯収入に占める割合」は世帯収入の中央値とパート収入の平均から算出
パートでの収入は、平均としては90万円~109万円となりました。世帯収入に占める割合を見ると、「子供なし」の家庭が最も高く、そこから末子年齢が小さい順にパート収入が占める割合が高くなっています。
収入ゾーンを10万円単位で細かく区切ると「100万円~110万円」が隠れ1位。いわゆる「103万円の壁」を意識してパートをしている人が多いことが分かります。平均で見ると子供なしの主婦は子供ありに比べてやや多く稼いでいますが、育児時間などの制約がないためにパートに集中できる人が若干多いためと考えられます。
子供ありの主婦を末子年齢別に見ると、収入にほとんど差がないことが分かります。見方を変えれば、小さい子供を抱える主婦も、バリバリ家計を支えるためにパートをしていると言えます。小さい子供がいる家庭は世帯収入が低い傾向ですから(世帯収入のグラフ参照)、そのパート収入がいかに重要か分かります。パートを始めた背景と合わせて鑑みると、子供が小さいうちから、保育園などの施設に預け、親の育児のサポートを受けながら家計を助ける、そんな主婦像が浮かび上がります。
今回の記事では、主婦がパートをする背景についてお届けしました。次回は、主婦がパート探しの際にどのような点を重視しているのかを見ていきます。5月下旬の更新を是非お楽しみにしてください。
まとめ
- 子供が小さいうちは「保育園や幼稚園、学童保育の利用」がパートを始められる前提条件となっている。子供を預けなくてもパートを始められるのは小学校中学年あたりから。
- パート主婦の家庭においては、足りない家計をパートの収入が支えている。子供が小さい家庭ほどパート収入の重要性は高い。
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