求職者動向調査結果からつかむアルバイト求職者像【アルバイト志向性編】
- 求職者動向
前編では、属性別のアルバイトの勤務状況や時給などの現状を紹介した。後編では、アルバイト探しにおける求職活動の開始動機や希望職種、重視する点などについてまとめた。彼らが仕事に求めるものはなにか、属性ごとの特徴をつかんでおこう。
目次
今月のポイント
- 仕事探しの動機は、学生は「趣味に使う小遣い稼ぎ」、主婦は「生活費」のため
- 高校生は「イエチカ」、大学生は「店の雰囲気」が仕事探しの重視点
- 主婦は「長期間働ける、やりがいがある職場」。フリーターの重視点は多様
- 求めるターゲット層に刺さる条件の提示や制度整備がより良い人材確保の第一歩
調査概要
- 調査名:求職者の意識・行動についての調査
- 調査期間:2011年12月09日~13日
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査対象:現在アルバイト・パートの求職活動をしている全国の15~34歳の男女
- サンプル数:1,005名
1.【属性別】仕事探しのきっかけと希望職種
学生は趣味に使う小遣い稼ぎ、主婦は生活費のため
アルバイトを探し始める際の動機として、高校生や大学生は「趣味に使うお金が欲しかったので」が多く、高校生56.9%、大学生40.4%。一方、主婦の場合は「生活費を補いたかったので」が多く52.0%、次いで「貯金を増やしたかったので」(47.0%)となっている。
フリーターは「生活費を補いたかったので」が25.8%と若干高めだったものの、他の回答と大差はなく、偏りが少なかった。仕事探しのきっかけは個人の状況によって違うと思われる。
また、希望する職種は前編でお伝えした「現在就いている仕事の職種」とほぼ同様の傾向だった。職種を変えたいという思いはそれほど強くないのかもしれない。ただし、高校生の場合、カラオケ店やパチンコ店員などの「アミューズメント」を希望する割合が、他の属性に比べて高い。実際には現在「アミューズメント」に就いていないものの、挑戦したいという気持ちを持っていることが、うかがえる。
2.【属性別】仕事を探すときの重視点
高校生はイエチカ、大学生は雰囲気重視
次に、仕事を探すとき、重視するポイントを見てみよう。
高校生は「勤務地が自宅から近い」(58.7)%、「勤務地が、学校や習い事の場所から近い」(34.7%)が他の属性より高めだ。生活のメインはあくまで学業。なおかつ高校生の大半は実家で暮らしている。そんな状況から自然に自宅や習い事先から近いところで、アルバイトを探す人が多いと思われる。
また、「給与が高い」も57.3%とかなり多い。前編で触れたように、高校生は他の属性に比べても平均的な時給額が低いことから、少しでも時給の高いところを探す傾向にあると考えられる。
大学生は、「店長や社員の人の雰囲気がよい」(58.7%)、「時間の融通がきく」(56.9%)が多い。高校生同様、学業が生活のメインではあるものの、行動範囲が広がるため、自宅近辺うんぬんよりも、気の合う人たちのいる、自分が働きやすい職場を求める傾向にあると言えそうだ。また、自分なりの生活スタイルの中に、アルバイトを組み込んでいくという感覚が強まり、働く時間も自分で選べることが、仕事探しの重要なポイントになっているのだと考えられる。
主婦は「長期勤務とやりがい」を求めている
主婦の場合は、「勤務地が自宅から近い」が53.6%と最も高いが、「長い期間働ける仕事である」が34.4%と他の属性より高いのが特徴だ。また、「やりがいのある仕事である」も42.4%と若干高めに出ている。アルバイトとはいえ、じっくりと腰を据えて働き続けることが可能で、かつ、お金だけでなくやりがいも得られる職場を求めていることがうかがえる。
それに比べてフリーターは、総じて他の属性ほど突出した重視点がない。それだけ仕事探しでこだわる部分もまた、人によって千差万別ということなのだろう。
3.属性別のアルバイト求職者像
属性別に異なる! アルバイト探しの特徴
ここまで述べてきた各属性の特徴と、それぞれの「アルバイト探し」のポイントをまとめてみた。こうして図で表してみると、属性によってずいぶんアルバイトに求める条件が異なることが見えてくる。
まとめ
求めるターゲット属性に刺さる条件の提示や制度整備がより良い人材確保の第一歩
2012年2月、総務省が発表した労働力調査(2011年平均)によると、働く能力・意思があり、求職活動もしている完全失業者は全体で284万人、そのうち、非正規の仕事を探している人は108万人で全体の38.0%、パート・アルバイトに限っても88万人で、31.0%を占めている。
また、2010年平均のデータと比べると、アルバイト・パートの仕事を探しているという完全失業者数は12万人減少しており、限られたパイの中での人材争奪戦は、ますます激しくなっていると言える。
今回、紹介した各属性の特徴を踏まえ、自社が求めるターゲットに刺さる条件を提示したり、そのための制度を整備することは、争奪戦勝利への第一歩となるのではないだろうか。