長期休暇時の応募動向~冬期休暇編~

  • 求職者動向

長期休暇、帰省、お正月にクリスマスなどの定番イベントなど、多くの人にとって慌ただしい時期となる年末年始。また同時にその時期は、年末商戦や観光・レジャースポットの繁忙期であり、業種・業態によっては、求人のニーズが高まる時期でもある。そんな、学生にとっても企業にとっても“特別”な冬期休暇。今月は、この時期の求職者動向を追ってみよう。

今月のポイント

  • フリーターは、年末年始に応募数がアップ。時給は控えめ、週3日~5日勤務を希望。
  • 高校生は12月が応募数が増え、勤務期間も求職活動も短いのが特徴。
  • 大学生の応募数は11月と1月の2回ピークがあり、希望勤務日数は週1日~2日と短い。

調査概要

■調査方法:インターネットアンケート
■調査対象:北海道・首都圏・東海・関西・九州在住15~34歳男女
現在、「高校生、短大・専門学校生、大学生、大学院生、アルバイト・パート、派遣社員、契約社員、無職の人」且つ「過去1年以内にアルバイト・パート、派遣社員、契約社員の仕事に就いたことがある人」
■調査期間: 2008年3月
■サンプル数: 北海道938名・首都圏2,888名・東海1,879名・関西1,904名・九州925名 合計8,534
■調査項目:直近の仕事が直接雇用だった場合の仕事の契約期間、時給額、勤務日数を仕事を始めた月別に確認した。

1 冬期休暇前後の応募動向

~安定ならフリーター、年末限定なら高校生!?~

まずは、冬期休暇前後の応募動向から見ていこう。11月~翌年1月にかけて、属性別にその割合を調べてみると(図1-1)この期間、総じて応募が多いのは大学生とフリーター。とくに大学生は11月初旬から12月中旬にかけて、全体の25%~30%を占め、属性別ではトップを独走。ところが、年末年始はフリーターにその座を譲っている。そして、1月下旬から大学生が再びその割合を伸ばす結果に。
また、他の属性では、高校生の動きも興味深い。11月は、主婦とともにもっとも総数は低いものの、学校が冬休みに入る12月中旬から年末にかけてその数を大きく伸ばす。しかも年が明けると、一転して主婦よりもその割合が減ってしまう。高校生特有の動向と言っていいだろう。

図1-1. 11/1~1/30の応募数の属性別内訳推移

 

2 冬期休暇前後応募者の希望契約期間

~一様に “年末年始仕様”へと変化~

先に触れた冬期休暇前後の応募動向は、フリーターと高校生は、年末年始を抱える12月に応募が増え、大学生は逆に、その前後の11月と1月に応募が増え、12月は減るという結果となった。それを踏まえた上で、属性別の希望契約期間を見てみよう。
フリーターの場合(図2-1)11月~1月の変化で見ると、11月に対して、12月は「(1週間以上)3週間未満」が、1月は「1週間未満」が倍以上に増えている。高校生は(図2-2)、11月で「(契約期間が)決まっていなかった」が3分の2を占めたのに対し、12月には「1週間未満」と「3週間未満」を希望する割合が、合わせて6割超と突然に増えている。対して大学生は(図2-3)、11月と1月には「決まっていなかった」という回答が多かった。
一方で、フリーター、高校生、大学生とも、増減の差こそあれ、12月~1月にかけて3週間未満の勤務を希望する人たちが増加していることも事実。それは、冬期休暇に向けて、短期期間で効率良く働こうという意識の表れと考えてもいいだろう。とくに高校生にはその意識が顕著に出ていることになる。

図2-1. フリーターの契約期間

図2-2. 高校生の契約期間

図2-3. 大学生の契約期間

 

3 冬期休暇前後応募者の希望時給額

~12月応募アップのフリーター「安くても働きます!」~

次に、希望時給額を調べてみよう。まずはフリーター(図3-1)だが、11月、1月とは異なり12月だけ「800円未満」と「800円以上~1000円未満」がそれぞれ増加している。つまりは、時給1000円未満でも働きたいフリーターが、この時期に増えたことになる。
対して高校生(図3-2)は「1000円以上~1200円未満」が12月、1月といくらか増えるという変化はあるものの、目立った動きではない。それは大学生も同様で(図3-3)、ほぼどの月も希望時給額の割合は一定と考えていい。
結果、応募の増大に呼応した変化を見せたのはフリーターだけ。しかも、希望時給としてその額を下げている点は、採用側にとっては興味深いはずだ。

図3-1. フリーターの時給額

図3-2. 高校生の時給額

図3-3. 大学生の時給額

 

4 冬期休暇前後応募者の希望勤務日数

~目一杯働きたい高校生、そうでもない大学生~

1週間のうち勤務したい日数を調べてみると、まずフリーターの場合(図4-1)、11月から1月まで変化はあまり見られない。また、勤務日数の内訳だが、どの月も「3日~5日」という回答がトップで、しかも8割以上がこの回答に集中している。
それに対して、高校生の変化は特徴的だ(図4-2)。応募がグンと増える12月に入ると、前月までは「1日・2日」が30%以上占めていたが、それが半減。逆に「6日・7日」が4倍にも増えるという結果となった。冬休みという短期間を有効に使いたいという気持ちの表れ、とも考えられる。
ところが大学生は(図4-3)、11月、1月の応募アップ時に勤務日数が減る傾向にある。11月と1月は、12月と比べると「1日・2日」が増え、結果として「6日・7日」は減少していることで、それが伺える。しかも、すべての月で「1日・2日」が3割~4割を占めている点も目を引く。

図4-1. フリーターの1週間の勤務日数

図4-2. 高校生の1週間の勤務日数

図4-3. 大学生の1週間の勤務日数

 

5 冬期休暇前後応募者の求職期間

~年末年始を横目にのんびり探す大学生~

では、この冬期休暇に、求職期間はどのくらい充てるのだろうか。そこで、まずはフリーターだが(図5-1)、取り立てて大きな変化はないものの、12月に入って「1週間以上~2週間未満」で探す人が増え、逆に「1ヵ月以上」が減っていることがわかる。冬休み突入に向け、やや早めに探すという傾向と言えるだろう。
その変化は高校生になるとより顕著となる(図5-2)。12月には前月と比較して一段と「1週間未満」が増え、1月に入ると、また下がる。応募数が増える12月に限っては、高校生は実質フリーターより1週間は早く仕事を見つけているようだ。
一方、大学生(図5-3)の変化だが、応募が増える11月と1月は「2週間以上~1ヵ月未満」と「1ヵ月以上」が増加した。結果として、年末年始に向けて短期で探す傾向が強くなるフリーター、高校生に比べ、その前後の時期でより長期に探す大学生、という図式が浮かんでくる。

図5-1. フリーターの求職期間

図5-2. 高校生の求職期間

図5-3. 大学生の求職期間

 

今月のまとめ

  • 冬期休暇期間とその前後の11月~1月では、とくに応募が増える属性はフリーター、高校生、そして大学生である。しかし、そのタイミングは個々に微妙にバラつきがあり、また希望条件や重視点も異なっている。そこを踏まえた上で、各属性に合わせた採用プランを立てることが、とくに年末年始に繁忙期を迎える職場では効果的と考えられる。
  • フリーターの応募数が増えるのは12月下旬から1月初旬にかけて。まさに年末年始の時期と重なるのが大きな特徴で、この時期へのピンポイントの求人は効果的だろう。希望する勤務期間は12月が1週間以上~3週間未満、1月に入ると1週間未満と変化する点も押さえておきたい。希望勤務日数は1週間に3日~5日。また、この時期は希望する時給がやや下がり「1000円未満」が増える傾向に。
  • 高校生は、応募自体の総数は少ないが、11月下旬から徐々にその数が盛り上がり、12月半ばにはピークを迎える。しかし、年末から1月にかけて一転して応募数は低下するので、採用時期には注意が必要だ。また、高校生は冬休みが短いため、集中的に働きたいという意識が強い。しがって、週6日~7日勤務をより好む傾向にある。希望時給は1000円未満が多い。また、求職期間が1週間未満と短いため、募集から採用までの迅速さも大事なポイントだろう。
  • 大学生は、冬期休暇での応募総数も多く、人材としては大いに活用したい属性だ。ただ、応募数の増減がフリーターや高校生とは異なり、かつ複雑なので注意したい。最初のピークは11月の中旬。そこから1月初旬まで徐々に減少し、一転して中旬から増えはじめ、1月末に2度目のピークを迎える。採用時期は、この11月と1月に合わせることが効果的だ。また、高校生と異なり、長期勤務が可能だが、勤務日数は週1日~2日の希望が増える傾向にある。

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