冬休み採用のポイントは「短期の高校生を長期につなげる」
- 市場動向
年末年始に向けた採用計画をお考えのご担当者も多いのではないのだろうか。
この時期に応募が増える高校生の動向を調査し、その有効な方法を探ってみたい。
目次
今月のポイント
- 冬休みに仕事を探す高校生は増加するが、実は、冬休み後もアルバイトを継続したい・復帰したいと望む高校生が多い。
- 冬休み後は休日だけでなく、平日もアルバイトをしたいとする高校生が多く、勤務日数や時間などで柔軟に対応することで、冬休み終了後も戦力となる人材が確保できる。
調査概要
■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:今年の夏休み(2010年7月以降)に、新たにアルバイトを始めた高校・大学生(全国)
■調査時期:2010年09月10日~13日
■サンプル数:高校生 200名/大学生 200名
1 冬休みに向けての属性別応募推移
年末年始に応募する高校生
年末年始が近づくにつれ、アルバイトの応募はどういった動きを見せるのだろうか。まずはその点を見ていきたい。
参考にしたのは、昨年2009年における「an」の属性別応募数。2009年10月時点の応募数を「100」とした場合の増減を調べると、冬休みとなる年末に向けて、高校生の応募数が増加していることが分かる。以前「求職者分析から見る年間アルバイト採用計画のポイント」でもお伝えしたように、10月は主婦・アルバイター・大学生が年間を通して応募の多い月となっているため、その傾向はより顕著となっている。
この傾向は今年も続くと考えたとき、年末年始に向けての人材確保は「高校生」がひとつの重要なキーワードになると言えるのではないか。
2 休暇終了後におけるアルバイト継続の実態
「休みだけ」を「継続・復帰希望」が上回る
冬休みに向けて高校生の応募が増える傾向は見えてきた。では休暇終了とともに、やはり高校生はアルバイトを辞めていくのだろうか。
そこで、この夏休みに新たにアルバイトに応募した高校生を対象に調査を実施した。その結果、夏休みに応募した高校生のうち実に41.4%の高校生が9月時点で辞めていることが分かった。同条件で調査した大学生(25.0%)と比較すると、その差は歴然である。冬休みに応募した高校生のうち、5人に2人は学校が始まれば辞めてしまうことになり、大学生より明らかに短期アルバイト傾向が強いということになる。
ただ、別の数値にも注目したい。それは「今も続けている」と答えた高校生が30.6%を占めたという点である。また、「今は中断している、もしくは今後中断する予定であるが、また休暇があれば仕事を行いたい」という復職希望も14.5%存在しており、両者を合計すれば実は「今は辞めている」を上回る数値となっている。大学生と比べると、たしかに高校生は短期の傾向が強いが、しかし実は高校生の半数近くが休暇終了後のアルバイトを希望していることが分かった。
3 休暇終了後に希望する勤務日数
「平日週3日」が最多回答だった点に注目
では、休暇が終わってもアルバイトを継続する高校生は、具体的にどの程度働きたいと考えているのだろうか。
先の質問で、今もアルバイトを継続している層を対象に、平日の希望勤務日数を調べた。「平日はアルバイトしない」と答えた高校生は、今回アルバイトが初めてだった層で24.4%、2回以上アルバイト経験がある層では13.6%にとどまった。確かに、大学生と比較すれば(初めてで8.7%、2回以上で7.6%)、平日勤務希望の高校生は少ないという見方もできる。だが、高校生の4割近くが「平日週3日」と回答するなど、明確に平日勤務を希望している層も十分なボリユームがあることも見逃せない。また、高校生は総じて「分からない」が多く、学業との両立がどの程度可能なのか本人自体がなかなか掴めないケースが多いのではないだろうか。
以上を踏まえると、冬休みを機に採用した高校生であっても、採用側が柔軟に対応することで、冬休み明け後も継続して働いたり、連休等でスポット的に働くといった関係を築けるのではないだろうか。そのためには採用した高校生の勤務日数や時間の希望、学業や部活動等の事情をよく話しあい、柔軟な姿勢で臨むことがカギとなってくる。