パートタイム労働法まとめ!雇用主必見の法律&制度
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パートタイム労働法は、雇用側の企業や店舗にとって不可欠な法律。ここではパートタイマーを雇うための雇用形態、待遇の決定方法など、パートタイム労働法の概要を解説します。アルバイト・パートを雇っている、雇おうと考えている方はぜひ確認してください。
目次
パートタイム労働法とは
パートタイム労働法とは、正式名称を「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」と呼びます。これはパートタイマーやアルバイトを筆頭に、短時間労働者の待遇を改善することを目的にした法律です。1993年制定され2007年、2015年の2度にわたって大幅に改正が行われました。
パートタイム労働法の対象者
ここで言うパートタイマーとは、アルバイト、パートタイマー、契約社員、嘱託社員など、正社員に比べ所定労働時間が短い労働者の総称です。
パートタイム労働法が施行される理由
パートタイム労働法が施行された背景には2つの要因があります。それぞれについて詳しく解説します。
アルバイトやパートタイマーの重要性
パートタイマー・アルバイトを雇用している事業所は約7割*にも及び、現在、短時間労働者はなくてはならない労働力です。さらに短時間労働者の重要性が読み取れる調査結果をご紹介します。
*「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/16/dl/jigyousho1-1.pdf
出典:厚生労働省 平成28年 パートタイム労働者総合実態調査
上記はパート・アルバイトに、業務内容や責任の重さを調査した結果のグラフです。約6人に1人が正社員と同じような業務、責任を振られていると回答しています。今や、パート・アルバイトで働く人材に対しても、多くの職場で社員同等の責任が生じていることが見てとれます。
パート・アルバイトの待遇を改善する必要がある
先ほどの「業務内容と責任の程度が正社員相当であった」と答えたパート・アルバイトに対して、正社員と比較した場合の待遇についても調査されています。
出典:厚生労働省 平成28年 パートタイム労働者総合実態調査
調査の結果、パート・アルバイトは業務内容や責任が正社員相当でありながら、賃金水準が低い人が約7割。その結果、賃金に納得のいかないパート・アルバイトは全体の3割以上です。この不満を解消するには、短時間労働者の待遇を改善する必要があり、パートタイム労働法が必要なのです。
パートタイム労働法まとめ【雇用体制】
ここからはパートタイム労働法の内容について解説をします。まずは雇用体制について紹介します。
1. 労働条件の明示
労働者を雇い入れるときには、以下の内容を文書にて明示する必要があります。
・「契約期間」 ・「有期労働契約を更新する場合の基準」 ・「仕事をする場所と仕事の内容」 ・「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休憩・休日・休暇」 ・「賃金」 ・「退職に関する事項」 |
パート・アルバイトには上記に加え、さらに以下の4つも明示することが必要になりました。
・昇給の有無 ・退職手当の有無 ・賞与の有無 ・相談窓口 |
また、この労働条件の明示は、はじめて雇い入れたときだけではなく、労働契約の更新時にも行わなければいけません。
2. 雇用管理の改善措置の説明
パート・アルバイトを雇うときには、実施する雇用管理の改善措置の内容を説明する必要があります。雇い入れ後、労働者に待遇の改善を求められれば、雇い主は説明した改善措置の内容を考慮して待遇を決定、説明をしなければいけません。
3. 就業規則の作成、変更時のヒアリング
就業規則の作成、変更をするときには、パート・アルバイトに内容を確認してもらう必要があります。パート・アルバイトの過半数の意見を聞き、認められる内容にするよう努力しなければなりません。
4. 短時間雇用管理者を選ぶ
パート・アルバイトを10人以上雇用する場合は、「短時間雇用管理者」を選ばなければいけません。「短時間雇用管理者」とは、パート・アルバイトからの相談に応じ、雇用管理の改善措置を実施する者です。また、短時間雇用管理者を選んだ、所定の都道府県労働局へ届け出をだす必要があります。
5. 正社員への転換を推奨
中には、正社員として働くことを望んでいても、やむを得ずパート・アルバイトとして働いている人もいるかもしれません。事業主は、労働者の希望を考慮し、転換条件の説明や試験制度など、正社員へと転換するチャンスを整える必要があります。
また、正社員への転換措置の例で、パート・アルバイトから「契約社員」「短時間正社員」へ転換する制度を設けて、「契約社員」「短時間正社員」から最終的に「正社員」へとステップアップさせる方法もあります。
パートタイム労働法まとめ【待遇】
パートタイム労働法では、待遇についての定めもあります。賃金など労働者がもっとも意識する観点でもあるため、細かく確認しましょう。
1. 働きに見合った賃金設定
パートタイム労働法により、パート・アルバイトは正社員との働き方を比較して、働きに応じた待遇を与える必要があります。通常の労働者との働き方の比較方法は以下の通りです。
職務の内容(業務の内容と責任の程度) 1. 業務の種類が実質的に同じであるかを比較する 2. 業務内容を細分化し、その中でも職務時間に占める割合が多く、重要な職務を比較する 3. 業務に伴う責任を比較する |
人材活用の仕組みや運用など(人事異動などの有無及び範囲) 1. 転勤の有無、範囲を比較する 2. 人事異動や昇進などによる、職務内容や配置の変更の有無・範囲を比較する |
上記で比較した結果は次のグラフの通り、事業主側が対応しなくてはなりません。
出典:厚生労働省 パートタイム労働法の概要
2. 教育訓練の実施
パート・アルバイトと正社員の職務の内容が同じ場合、職務を遂行するのに必要であればどちらも同様の教育訓練を実施しなければいけません。ただし、パート・アルバイトがすでに必要な能力を身に付けている場合はその限りではありません。
3. 正社員と差別のない福利厚生
福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室、更衣室を正社員が利用している場合、パート・アルバイトにも利用する権利を与えなければいけません。たとえば、労働者の人数に施設の定員人数が足りない場合は、労働者の休憩時間をずらすなどの具体的な措置が求められます。
パートタイム労働法まとめ【相談・トラブル解消】
パート・アルバイトを雇い入れるときに、雇用体制や待遇の説明をしていく必要があることを説明しました。しかし、最初は納得していても、働いているうち不満を持つようになる方も少なくありません。
そのため事業主には、パート・アルバイトが雇用体制や待遇について相談できる体制づくりが義務付けられています。
また、職場で起きたトラブルなどは、当事者であるパート・アルバイトと事業主の間で自主的に解決に努めなければいけません。しかし、事業主とパート・アルバイトの間で対応しきれないトラブルが発生した場合は、都道府県労働局長に必要な援助、調停を申請することができます。
パートタイム労働法は漏れなくチェック!すみやかに必要な措置の実行を
パートタイム労働法の概要や目的・内容についてまとめました。現在、多くの企業がアルバイトやパート、契約社員などの短時間労働者を雇用し、業務を遂行しています。法律を違反することなく、業務の一端を担う短時間労働者の生産力を最大限発揮させるためにも、労働法をチェックして必要な措置をとることが大切です。