子育てママのパート探しに新提案!「おしごとコンシェルジュ」とは?
- 採用課題
(「おしごとコンシェルジェチーム」の4名の方) 左から ■嶋田由香梨さん 株式会社ハウコム 営業本部 サービスデザイン部 マネージャー ■杉原康仁さん 株式会社すかいらーく 人財本部 クルー人事採用チーム リーダー ■宮永初美さん パーソルテンプスタッフ株式会社 アウトソーシング事業本部 専門BPOサービス部 第一PROマネジメント課 プロジェクトマネージャー ■土井侑翼さん パーソルホールディングス株式会社 グループ営業本部 ソリューション営業統括部 |
お子さんを持つ主婦の方が仕事を始めようとする際には、さまざまな不安がつきまといます。「家事や育児との両立ができるかしら?」「仕事のブランクがあるけど大丈夫?」など、多くのことが気にかかり、働きたくても迷ったまま二の足を踏んでしまうケースもあるでしょう。
一方、企業側では、働き手として主婦の方の労働力に大きな期待を寄せています。「すかいらーく」はパーソルグループと連携して、ママに特化した「mama’s site」をリリースし、応募だけではなく相談もできる窓口「おしごとコンシェルジュ」を新設しました。応募者の不安を解消し、さまざまな相談などに対応するというこの新サービスについて、「おしごとコンシェルジュ」チームのみなさまにお話をうかがってみましょう。
働きたいけれど、応募に対して不安要素があるママたち
――まずは、主婦やママたちの就労は、企業・店舗にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
杉原 私たちは、主婦の方やお母さん方のサービスレベルが高いことに注目しています。ファミリーレストランの店舗では、幅広い年齢層のお客様が来店され、そのご利用動機もさまざまです。そうしたなかで、対応する力やマルチタスクをこなす能力などに優れている主婦の方々は、私たちの目指すサービスを実現する上で、必要不可欠と考えています。
現在当社では、約10万人のパート・アルバイトのうち、3割に当たる約3万人の主婦の方が勤務されています。彼女たちの活躍度合い、貢献度合いは高く、もっと増えてほしいと思っています。
――実際に主婦の方たちが、パート・アルバイトなどで働く現状とはどのようなものですか?
土井 パート・アルバイト人口の属性割合にある通り、現在日本では、パート・アルバイトで働く人は約1365万人おり、そのうち主婦は43%(約587万人)と、最も大きい割合を占めています。さらに主婦の就業希望者は多く、働きたいけれども働いていないという人が約164万人いるのが現状です。採用ターゲットとして最も大きなゾーンであり、先ほどの杉原さんのお話でもあったように、外食業界各社は、このゾーンの採用に注力しているというのがトレンドとなっています。
――各社が採用に注力しているなかで、ママたちがパート・アルバイトを探す際に不安に思うことはなんでしょうか。
出典:主婦採用をするために知っておきたいパート主婦の4タイプ
土井 当社グループが調査した「パート主婦4タイプ」のうち、お子さんの有無と年齢の高さによって、4つのグループに分けて考えていくと、まず小学校3年生までの小さいお子さんを持つ、年齢の若い主婦の方(①)は、子供に手がかかるので特に働くハードルが高く、子育てとの両立がネックになっています。
次に、お子さんの年齢が小学校4年生から独立前(②)というグループでは、ご自身の仕事のブランクによる仕事スキルや、年齢による不安を抱えています。こうした理由から、1と2のグループには、働きたくても働けないと考えている人が多いとみています。
労働市場が大きく、企業がぜひ採用したいと願っている対象でもある主婦層。なかでも働く意欲がありながらまだ仕事をしていない層をパート・アルバイトへの応募に結びつけたいと考えたことが、新サービス「おしごとコンシェルジュ」の発想のもとになっています。
直接対話することによって不安を解消
――「おしごとコンシェルジュ」の具体的な内容を教えてください。
宮永 「おしごとコンシェルジュ」は、「すかいらーく」応募受付センター内に新設されたサービスで、パート・アルバイトの応募を考えている方の不安を解消し、応募をしていただく際にはご希望の条件と募集している店舗の条件をマッチングさせる仕組みです。
これまでもWebサイトでは、仕事の条件や待遇、Q&Aを載せていましたが、本サービスは、実際の面接では聞きづらいことを直接相談できるのが特長です。サービスを開始するにあたって、実際の主婦の方にもヒアリングを行い、かなり厚いFAQ(想定される質問と回答を集めたもの)を作成するなど、準備に時間をかけました。
嶋田 サービスの入り口は、Webになります。まず、Web上でご自分の希望する条件を入力してもらい、それをもとに、応募受付センターのスタッフ(コンシェルジュ)がお電話をして、直接応募者の方とお話をさせていただきます。その際にいろいろな要望や悩みなどをうかがい、できるだけ不安を解消していただくことが「おしごとコンシェルジュ」の役割です。お電話でお話をするので、相談しながらお仕事について決めることができるのが大きなメリットだと思います。応募することを決めた方には、その場で面接の日程を決めることも行っています。
「コンシェルジュ」は、応募者の方にとって最初に関わる「すかいらーく」の人間です。企業の理念を理解し、一人ひとりに丁寧に向き合うことを心がけて対応しています。応募者が不安や、応募に対してハードルが高いと感じていたことを少しでも解消してあげて、「チャレンジしてみようかな」という意欲を持っていただける機会にしていきたいですね。
杉原 このサービスは、応募者の方と「コンシェルジュ」が1対1で対話をする。つまり、人が関わるサービスというところが大きな特色だと思います。いろいろな思いや希望を持って相談や応募をされる方に対し、きちんときめ細かに対応しようという、非常に画期的なサービスだと思います。
働くことを迷っている人の背中を押す役割も
――応募者の不安を解消するためには、応募者が望む条件で働ける職場作りが必要になりますね。
杉原 もちろん、それは大前提になります。当社の例をあげてみましょう。たとえば、「1日に2時間だけ働きたい」という方がいらっしゃいます。幼稚園に通うお子さんを持つお母さんだと、送りと迎えの間の時間だけ働けるというようなケースですね。「そんな短時間でも働けるのだろうか」と悩んでいる方も多いと思います。しかし、それは外食産業では、ちょうどお昼のピークに当たることも多く、じつは我々はその2時間働いていただけると、非常にありがたいのです。つまり「1日2時間」という勤務シフトは成立するのです。
また、お子さんの具合が悪くなって「突発的にお休みすることがあってもいいですか?」と聞かれることも多いですね。さすがに自由に休めるとまでは申し上げられませんが、基本店舗内外からのヘルプでカバーできます。さらに言えば、企業風土とでもいいましょうか、店舗マネジャーの一人ひとりが、「職場の仲間が困っていたら助けよう」という気持ちを持っています。
土井 「すかいらーく」は同一エリアにさまざまな業態の店舗を展開しているので、店舗同士で協力しやすいことも強みです。しかしそれほどの規模感で運営しているわけではない店舗でも、工夫次第で多様な働き方に対応することは可能なのではないでしょうか。
「おしごとコンシェルジュ」サービスの前提となっているのは、短時間勤務者を受け入れられるような仕事の切り出し方とか、柔軟なシフトを組むための工夫です。こうした部分は一般的な店舗であっても取り組みの可能性は十分にあると思います。
――最後に、主婦の方に向けた求人のポイントを教えてください。
出典:主婦採用をするために知っておきたいパート主婦の4タイプ
土井 主婦の方がパート・アルバイト探しで重視することは、主に「勤務日数や時間が合うこと」「シフトの変更、休みの融通がきくこと」です。しかしこれまでの求人は、まず店舗を選んで応募し、面接で初めて働き方の相談をするという流れでした。
「おしごとコンシェルジュ」はその流れが逆になっており、「希望の働き方を入力してくだされば、こちらで合った店舗やそこでの働き方を提案します」という、より求職者に寄り添った募集の仕組みになっています。
こうした「条件の合う職場があるかわからない不安」や、「働きたくても働けない不安」をとらえた採用活動を行うのが、主婦の方に向けたこれからの求人のポイントではないでしょうか。現在、「おしごとコンシェルジュ」を開始してからひと月ほどたち、エントリー数も増え、実際に初の就業者も生まれています。世の中の注目度がますます高まっていけば嬉しいですね。
杉原 私は、本サービスに想像以上の手ごたえを感じています。応募者と仕事とのマッチングということだけではなく、まだ働くこと自体の決心がついていない方が相談できる窓口というのは、これまであまりなかったのではないでしょうか。こうした方々の背中を押すきっかけとして、さらに活用できるようにしていきたいですね。
まとめ
一般的に主婦の方の働き方というと、「土日は働けないだろう」「扶養の範囲内で働きたいのだろう」といった固定概念が雇用主側にあるようです。でも、実際には、むしろたくさん働いて「収入を増やしたい」という希望を持つ方もいらっしゃいます。仕事に対する希望は一人ひとり違うのです。
各々の仕事に対する要望に向き合い、コンシェルジュが1対1で相談にのるというサービスは、求職者にとって安心して就労するための価値ある仕組みといえるでしょう。企業・店舗側にとっても、安定した労働力を確保するための方策となるはずです。
本サービスを活用するためには、店舗側が仕事のあり方を見直し、応募者の希望に応じた働き方を準備していくことも大切です。「働きたい気持ち」を後押しする新しいサービス「おしごとコンシェルジュ」は、ママたちの活躍の場を広げていくことと、同時に企業・店舗側も人材不足を解消するひとつの方法となるのではないでしょうか。
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