雇用主必見!アルバイトなどを雇う際の雇用形態別メリット・デメリット
- 採用課題
アルバイトをはじめ、派遣、委託、正社員など、人に働いてもらう際には様々な雇用形態・契約形態が存在します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、雇用主は任せたい仕事の内容や期間などによって適切な雇用形態の選択をすることが必要です。
そこで今回は「人を雇うのが初めて」という雇用主の方をはじめ、さまざまな雇用主の方の採用活動の参考にして頂けるよう、雇用形態別の一般的なメリット・デメリットと、どの雇用形態を採用すべきかの判断基準についてまとめました。
目次
アルバイト・パートを雇うメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者のことを指します。アルバイトとパートという呼称に明確な定義や区別はありませんが、世間的にみると、アルバイトは学生やフリーター中心で勤務日や時間帯がシフトによって毎月変動し、パートは主婦(夫)層が中心で毎月の勤務日と時間帯が固定されているというイメージが強いようです。
▸アルバイト・パートのメリット
・業績や繁閑に応じて人員調整がしやすい
必要な時期に必要な人員に必要な時間だけ働いてもらうことができます。特に、繁忙期のひと月だけ抱える人員を短期で募集したり、忙しい時間帯は既存スタッフのシフトを多めに入れたりなど、スポット的なニーズに対応しやすい柔軟さが特長です。
・人件費を抑制することができる
比較的時間単価の低いアルバイト・パートに、正社員や契約社員など比較的時間単価の高い雇用形態から補助的な業務を巻き取ってもらうことによって、全体の人件費を抑えることができます。
▸アルバイト・パートのデメリット
・頻繁な入れ替わりに対応する必要がある
卒業を控えた学生や副業で働いているフリーターなど、その職場をメインとして長期間働き続けることを前提としていない場合がほとんどです。定期・不定期で頻繁に入れ替わりが発生するので、そのたびに新たな人員を募集し教育する必要があります。
・休みを調整する必要がある
学生は勉強、主婦(夫)は子育てなど、アルバイト・パートよりも優先する何かが存在することが多いため、テストの時期に学生の休みが集中したり、子供の怪我や病気により主婦(夫)が突然欠勤することもあります。そんなときは、ほかのアルバイト・パートにシフトインをお願いしたり、場合によっては社員自ら代わりに働く必要も出てきます。
▸判断基準
・時期や時間帯によって必要人員が細かく変動するか
・任せる業務内容が難しくないか
派遣社員に来てもらうメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
派遣社員は、派遣元と労働契約を結んだうえで派遣先に派遣されます。直雇用のアルバイト・パートと違って派遣先との直接の雇用関係はありませんが、派遣先の指揮命令のもと働いてもらうことができます。
▸派遣社員のメリット
・必要な期間だけ来てもらうことができる
あらかじめ決まった期間で仕事をお願いすることができます。任せていた業務が終了したとき、会社の業績悪化などで任せていた業務にコストをかけられなくなったときなどは、契約を終了することができます。
・募集・育成・保険などにかかる時間や費用を削減できる
派遣会社にオファーを出すことによって人材が派遣されてくるので、アルバイト・パートなどの直雇用と違って募集をかける必要がありません。また、一定のスキルをもった人材が派遣されてくるため、ローカルルールさえ覚えてもらえばすぐに戦力化できます。さらに、雇用関係は雇用元と結ばれているため、保険への加入や労務管理の手間が省けます。
▸派遣社員のデメリット
・人材を選ぶことができない
派遣契約は労務の提供を受ける契約なので、どんな仕事ができる人材が欲しい、というようなリクエストは可能ですが、自ら雇用する人材を選べるアルバイト・パートと違って「この人を採用したい」という決め方をすることができません。
▸判断基準
・募集・育成などのコストを省きたいか
・任せる業務内容が属人的な要素を必要としないか
契約社員を雇うメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
有期労働契約に基づいて雇用期間があらかじめ定められているのが契約社員です。契約が終了する際に契約を更新すると引き続き働いてもらうことができます。
▸契約社員のメリット
・特定のスキルを有する人材を採用しやすい
特定のプロジェクトを推進するために期間限定でプロフェッショナル人材が必要なときなど、無期の正社員で雇用するにはニーズが限定されている場合、有期労働契約がフィットします。
▸契約社員のデメリット
・契約延長に応じてもらえないこともある
契約満了の際、雇用主側に継続して契約したいという意思があっても、社員側の意志で契約が終了してしまうことがあります。
・基幹的な仕事を任せづらい
契約社員はあくまで期間限定での雇用を想定しており、社員は任期満了とともに退職してしまいます。基幹業務など会社の根幹に関わる業務を任せるのは難しいでしょう。
▸判断基準
・一時的な人材登用でも問題ない業務か
業務委託・業務請負をお願いするメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
業務委託は発注者が依頼した業務を受注者が行う契約のことを指し、業務請負は発注者が依頼した成果物を受注者が納品する契約のことを指します。両方とも発注者と受注者のあいだに雇用関係は存在しません。
▸業務委託・業務請負のメリット
・労務管理をする必要がない
特定の業務を行うこと、特定の成果物を納めることが契約内容となるので、具体的にどんなプロセスで仕事をこなしているか、労働時間はどれだけか、時間単位あたりの賃金がどうなっているか、などを依頼主側が気にする必要はありません。
・自社ではハードルの高い専門的な仕事をプロに任せられる
コールセンターやWEB制作など専門性の高い業務もプロの手にアウトソースすることができます。
▸業務委託・業務請負のデメリット
・受注者側みずから指揮を取ることができない
受注者側は発注者側の指揮命令系統に属しておらず、基本的には発注者側が受注者側に対して細かい内容に指示を出すことがないため、ディレクションを誤ると業務に行き違いが起きたりリクエストと違う成果物が納品されるリスクがあります。
▸判断基準
・自社で行うことが難しい業務か
・細かいプロセス管理や進捗管理を必要としない業務か
嘱託社員を雇うメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
嘱託社員という言葉に明確な定義は存在しませんが、大半の場合は、定年退職者の再雇用の場合に嘱託社員という呼称が使われているようです。契約社員と同じく有期の契約ベースで雇用されますが、基本的にフルタイム勤務の契約社員と違い、労働時間はまちまちです。
▸嘱託社員のメリット
・経験豊富な人材を継続登用できる
定年には達してしまったが、何十年と積み上げてきた経験を引き続き会社で活かしてもらいたいという場合、嘱託社員として再雇用することができます。いちから人材を育てるのと比べると圧倒的にコストを削減することができます。
▸嘱託社員のデメリット
・雇用できるかどうかは交渉次第
社内での経験が豊富な古参社員は有限であり、他で替えがきく人材ではないので、話がまとまらなければ他で募集を出すというわけにはいきません。当人が納得した形で働けるよう、個別で契約内容の調整が必要となります。
▸判断基準
・社内で積んできた経験が活かせる業務を用意できるか
正社員を雇うメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
労働契約期間の定めがなく、長期雇用を前提とした雇用形態です。
▸正社員のメリット
・事業の将来に関わる業務を任せられる
雇用主と社員双方ともに長期的に雇用・就労することを前提としているため、事業の将来に関わるような責任ある業務を任せやすいです。
・異動や転勤、職種変更などについて雇用主に決定権がある
会社側のルールにもよりますが、異動や転勤、職種変更については個人の希望は優先されず、業務命令として従ってもらうことができます。また、残業や休日出勤についても雇用主側から要望することができます。
▸正社員のデメリット
・採用と育成のコストが大きい
例えば、紹介会社を利用して採用しようとすると、理論年収の30%ほどを紹介料として支払う必要があります(職種やキャリアなどにより異なる)。また、将来的に基幹業務を行ってもらうことを見越して、研修などの育成コストがかかることがあります。
・簡単には解雇することができない
本人の能力や成果が足りなかったり、会社の業績が思わしくない状況でも、解雇規制により簡単には解雇できないようになっています。
▸判断基準
・将来の幹部候補を育てたいか
短時間正社員を雇うメリット・デメリットと判断基準
▸基本情報
短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比べて労働時間が少ない正社員のことをいいます。無期契約であることや、基本給・退職金などの算定方法についてはフルタイムの正社員と同様です。
▸短時間正社員のメリット
・優秀な人材を確保できる
子育てや健康不安など様々な理由でフルタイムの正社員としての就労を断念せざるを得ない優秀な人材を、勤務時間に融通をきかせることで採用できることがあります。また、同様の理由で退職を考えていた社内人材の離職抑制にもなります。
▸短時間正社員のデメリット
・急な対応をお願いしづらい
特定の時間には自宅にいないといけないなど様々な理由を抱えているため、トラブル発生時や繁忙期などに残業をお願いする等が難しくなります。
▸判断基準
・たとえ短時間でもぜひ働いてもらいたいほど優秀な人材か
まとめ
今回は、新たに従業員を雇おうとする雇用主の方に向けて、雇用主目線での雇用形態別メリット・デメリットをまとめました。
どの雇用形態で仕事を任せるのが適切かは個社のニーズによります。自社が今なにを求めるべきフェーズなのかを改めて分析したうえで、こちらで示した判断基準も参考にして頂きながら、適切な雇用形態で仕事を選んで頂ければ幸いです。