バイトの面接キャンセル・採用辞退を防ぐ3つのポイント
- 採用面接課題
「せっかく応募が来たのに、面接に来なかった…」「採用を通知したのに辞退された…」そんな声をよく聞く。
では、こういった面接キャンセルや採用辞退はなぜ発生するのだろうか。
面接キャンセルや採用辞退を上手く防止できれば、無駄が省け、効率的な採用活動が実現できる。今回は、面接キャンセルや採用辞退の原因を探ることで、有効な防止策を考えてみたい。
目次
今月のポイント
- 面接キャンセルをする応募者の約半数が、採用側から連絡がある前にキャンセルを決めている。応募者にはできるだけ早く連絡することで、キャンセル防止につなげたい。
- 面接後の採用辞退は、仕事内容や条件が違っていたことが理由として多い。これらを正しく伝え、面接時に十分な説明を行うことが重要。
- 面接前に応募先を調べている応募者は8割近くに達している。普段の仕事への姿勢、雰囲気、対応の向上が、採用辞退防止につながる最も有効な打ち手と考えられる。
調査概要
■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:3年以内にアルバイトに応募したことがある学生・フリーター・主婦のうち、「応募したが、面接に行かなかった」、又は「採用を通知されたが、採用を辞退した」経験がある16~59歳までの男女
■サンプル数
・面接キャンセル層(応募したが、面接に行かなかった) 237名
・採用辞退層(採用を通知されたが、採用を辞退した) 200名
01.面接キャンセルのタイミングとその理由
約半数は連絡前にキャンセルを決める
面接をキャンセルする応募者は、いつ”面接に行かないこと”を決めるのだろうか。
面接キャンセルをしたことがある層に調査をした結果、もっとも多かった回答は「応募後、先方からの連絡が来るまで」の47.3%。次いで「先方からの連絡が来てから面接日前日まで」の36.7%、そして「面接日当日」は16.0%という結果となった。つまり、半数近くが応募をしてから連絡が来るまでの間に面接キャンセルを決め、そして、当日にキャンセルを決める応募者は実は少ない、ということが分かった。
ではなぜこのタイミングで面接キャンセルに至るのだろうか。それを探るために、「面接キャンセルの理由」について調べてみた。
理由のトップは「応募後、その仕事内容が嫌になったため」で、23.6%(複数回答。以下同様)。以下、「すでに他の仕事に就くことが決まったため」(23.2%)、「面倒くさくなったため」(21.5%)、「その会社・お店からの連絡・対応が遅かったため」(19.8%)と続く。
さらに、もっとも多かった「応募後、その仕事内容が嫌になったため」の理由について、具体的に聞いてみた。
1位は「勤務時間」で37.5%、2位に「職種や仕事内容が自分にできるか不安になった」35.7%、3位「給与」(28.6%)、4位「勤務地」(26.8%)となり、応募者が嫌になるのは、仕事内容より条件面が多いことがわかる。
02.採用辞退に至る背景
理由の多くが応募先に関しての問題
次に面接終了後、採用となったにもかかわらず採用辞退を申し出るケースについて、その理由を探ってみる。
最多回答となったのは「別の仕事の方が仕事内容や条件が良かったため」で、36.0%と3人に1人がこの理由を挙げている。次いで「仕事内容が想定していたものと違ったため」(31.0%)、「求人原稿に載っている条件が実際と違っていたため」(23.0%)、「職場や店長・社員・面接官の雰囲気が悪かったため」(22.0%)と続く。 ここで注目したいのは、1位の理由はあくまで他企業や他店との比較だが、その他で上位を占めた理由は、応募先である企業・店舗に関わる問題であるという点だ。
ここで気になるのは、仕事内容や採用条件の相違を面接だけで判断したのか、という点だ。これについて、面接前に取った行動を調べてみたところ、興味深い結果を得られた。
「特に何もしていない」は全体の22%しかおらず、残りの約8割の応募者が何らかの形で情報収集をしていることが分かった。多かった回答をピックアップしてみると「企業や店舗のHPを閲覧した」(52.0%)、「その企業や店について書かれているブログやサイトを検索した」(23.3%)、「実際にその企業や店を訪問した」(18.3%)など、ネットを活用する、あるいは実際に足を運んでアルバイト先を調べた上で面接に臨む、といった応募者の姿が浮き彫りになった。
03.キャンセル・辞退への防止策
企業・店舗のトータルなイメージがカギ
では、採用側はこういった事態をどう防止していけばいいのだろうか。
まず、面接のキャンセルに対してだが、先のアンケート結果にそのヒントがある。約半数が、応募後に採用側から連絡が来る前にキャンセルを決めており、面接までの間に他の仕事が決まってしまった、または連絡自体の遅さが不満だったケースでキャンセルが発生している。
このことを考えれば、応募者には可能な限り早く連絡し、そして可能な限り近い日程に面接日を設定することが有効だろう。なぜなら、他社に目が行ってしまう前に面接を実施でき、いわゆる「取りこぼし」を減らす効果が期待できるからだ。同時に、連絡の早さは採用側の誠意や期待の表れとして応募者に伝わるといった作用もあるはずだ。
また、採用辞退への対応としては、仕事内容や条件を正しく、かつ分かりやすく伝える(あいまいな表現、誤解を招きかねない表現を避ける)ことが重要になってくるだろう。それらが想定したもの、あるいは求人内容と違っていたことが、採用辞退の理由の上位を占めている点で、やはり防止効果は期待できると考えていい。
しかし、こういった対応だけでは不十分であることも今回のアンケート調査で見えてきた。それは、応募者の大半が面接前に企業や店舗をネットで調べたり、あるいは実際に出向いており、中には、働いている人に話を聞いたという行動的な応募者もいたからだ。
募集内容や面接時の説明と、応募者が調べ感じたこととの間にギャップが生まれてしまえば、イメージはマイナスになりかねない。企業や店舗は、採用広告や面接時の対応に限定することなく、普段の対応や姿勢、雰囲気、働きぶりといったトータルな見え方を意識していくことが、最も重要なポイントである。アンケートからも、そういったことから企業・店舗の評価が上がる、または下がる具体例をいくつも確認することができた。応募者の生の声として、ぜひ具体的な防止策の参考にしていただき、効率的な採用活動の実現に繋げて欲しい。
参考:応募者の生の声
Q6.雰囲気が悪いと感じたのは、具体的にはどんな点ですか?
バイトの子から店長につなげるまでの時間が長かった。五分近く待たされたあげく、店長不在。
電話での愛想や言葉遣いが酷く、失望した。
笑顔がなく、忙しすぎて楽しそうじゃなかった。
グループで固まって談笑しており、感じが悪かった。
掃除が行き届いておらず、職場全体が雑然としている。
Q7.面接によって、企業やお店の印象が良くなるのはどういった時ですか?
面接の時良い事ばかり言わないで、デメリットなども話てくれる面接の人だと逆に好感度が上がる
店内が綺麗で清潔感があって、従業員がわきあいあいとしているところを見た時
働いている人が、楽しそうなとき
おもてなしがしっかりしている。第一印象である目で見て良いと思わせる。
面接官の方はもちろん、すれ違う人の印象が良かったり、室内や細かい備品などが片付いていたりする