今、注目されている「テレワーク」について知りたい!

  • お役立ちインタビュー

一億総活躍社会の実現に向け、国が提唱している「働き方改革」。その背景には、労働力の主力となる生産年齢人口が減少の一途をたどっているという現状があります。

前回の「アルバイトレポート」“時給派」「雰囲気派」 2つのタイプから、アルバイトの定着・退職防止を考える”では、アルバイトスタッフが仕事探しや継続勤務時に重要とするポイントから「時給派」「雰囲気派」の2つのタイプに分け、その定着や退職防止についてご紹介しました。人材不足が叫ばれる中、雇用形態に関わらず人材の定着や退職防止は重要視されていますが、その具体的な手段の1つとして、今、「テレワーク」が注目を集めています。また、政府や小池都知事もテレワークが社会や企業、労働者にもたらす効果に着目しており、2020年の東京オリンピックに向けて、テレワーク導入率の増加を目標に掲げています。とはいうものの、「そもそも、テレワークとは?」「テレワークによって、どんなメリットが得られるの?」という疑問を持っている方も少なくないことでしょう。

そこで今回は、東京テレワーク推進センターで企業へのアドバイスなどを行っている成瀬岳人さんに、テレワークについての詳細、および東京テレワーク推進センターの活用法について伺いました。

なぜ今、「テレワーク」なのか?

▲成瀬岳人さん(東京テレワーク推進センター 事務責任者兼コンシェルジュ)

──まずは「テレワーク」とはどういうものなのか、教えていただけますか?

「tele=離れた場所で」「work=働く」という意味の造語で、場所や時間にとらわれない新しい仕事のスタイルのことです。「テレワーク=在宅勤務」というイメージが強いですが、在宅だけではなく、顧客先や移動中に勤務する「モバイルワーク」、勤務先以外のオフィススペースを利用する「サテライトオフィス勤務」を含めた総称がテレワークです。

 

──なぜ、テレワークがこれほど注目されるようになったのでしょうか?

ひと昔前の日本の労働市場で、求められる人材といえば、20代後半から30代前半で、真面目で、フルタイムで働けて残業もできる人、というのが当たり前でした。でも今は、能力の高い人に週3日でもいいから働いてほしいという考え方に変化しつつあります。つまり、人材獲得や定着という観点で、企業側の価値観が変わってきているんですね。
また、働く側で最近徐々に増えているのが、UIターンです。従業員が地方への移住を希望していて、それでも企業側にとってはその人材がどうしても必要なとき、選択肢として出てくるのがテレワークなわけです。さらに、今後大きな課題となるのが、介護対応です。働き盛りである団塊ジュニア世代が、親の介護をする年代になってくるので、家族のケアもしながら自分の仕事を成り立たせるための手段としても、テレワークが注目されています。
このように、価値観や環境の変化によって働き方が多様化している中で、それを本格的に支援していく制度・環境づくりが企業には求められており、その手段の1つがテレワークなのです。

 

──とは言っても、一体何から手をつけていいのかわからない、という方が多いのではないでしょうか?

そうですね。まさにそうした方々のために開設されたのが、「東京テレワーク推進センター」です。当センターは、政府と東京都の連携により、テレワークに関する情報をワンストップで提供することを目的とした国内初の施設です。
先ほども申し上げたように、「テレワーク=在宅勤務」と思い込んでいる方が非常に多く、それではテレワークが本来持っている可能性を勝手に狭められてしまいます。また、「仕事というのはみんなと同じ場所でやるものだ」という固定概念がいまだに根強いのが現状です。そうした思い込みを排除し、テレワークについて正しく理解していただくことが、このセンターのミッションだと考えています。

▲体験しながら「テレワーク」について学べる「東京テレワーク推進センター」

─具体的には、どのようなことを行っているのですか?

▼テレワーク体験
たとえば、テレワーク体験コーナーでは、オフィス、在宅、サテライトオフィスにいる方をサービスハブでつなぎ、同じ会議に参加する、という体験をしていただきます。また、テレワークをした場合の1日の流れを具体的に紹介し、どれくらい時間を効率的に使えるか、ライフスタイルがどう変化するのか、といったことを実感していただきます。

▼課題解決製品の展示
では、実際にテレワークを導入する場合、何をしなければならないのか、といったことも非常に気になるところだと思います。どんな企業でも必ず出てくる課題を端的にまとめると、コミュニケーション、情報セキュリティ、労務管理、この3つです。これらに対しては、ICTの力を借りることが必要になってきます。そこで、代表的な製品を展示し、これらの課題をいかにしてクリアできるかをご説明しています。

▼ご相談の受付
そのほか、テレワーク導入にあたっての助成金のご紹介や、労務管理の問題についての相談などができる窓口も設けています。

このように、テレワークに関することを一気通貫で理解、体験していただくことができ、これらはすべて無料でご利用いただけます。

東京テレワーク推進センターの詳細はこちら >

 

テレワークは企業、労働者、社会、すべてにメリットがある

──テレワークを導入することによって、どのようなメリットが得られるのでしょうか?

まず、企業にとってのメリットとして、生産性の向上を挙げている企業が多くみられます。国が行った調査でも、6割の企業が生産性向上を実感していて、それが顧客満足度の向上にもつながっています。もう1つは、優秀な人材の確保。これは採用強化、さらには離職の防止にもつながります。
労働者にとっては、ライフワークバランスの実現が最大のメリットだと思います。テレワークという働き方があることで、仕事をするうえでの制約条件をだいぶ減らすことができるので、それぞれのライフステージに合った最適な働き方を選択することができます。
また、今、国がテレワーク推進に力を入れているのは、2020年の東京オリンピックが1つの目標となっています。そのモデルケースが、2012年のロンドンオリンピックです。ロンドンではオリンピック開催に向け、多くの企業がテレワークに取り組みました。その結果、開催期間中は通勤ラッシュもなく、業務も平常どおりに継続できました。その後もさらにテレワークを続けた企業に調査したところ、80%以上の企業が生産性向上を実感していました。東京でもこの成功例を再現しようということで、国をあげて取り組んでいるわけです。
さらに、テレワークが持つ可能性の1つとして、オープンイノベーションも大きなメリットだと考えています。今後より普及するサテライトオフィスでは、様々な業種の人との出会いや交流の機会を得られますので、そこから新たなビジネスが生まれることも大いに期待できると思います。

 

─最後に、東京テレワーク推進センターで行っているセミナーについてお聞かせください。

▲過去のセミナーの様子。※東京テレワーク推進センター様HPより

テレワークに対する理解促進に必要な内容を網羅したセミナーを、こちらのセンターで毎月複数回開催しているほか、都内20カ所でもテレワーク体験セミナーを随時開催しています。この体験セミナーでは、テレワークに関する制度・ツール・事例等の講演のほか、テレワーク体験ワークショップなど、このセンターとほぼ同様のことを体験していただけます。スケジュールなど詳細については、「TOKYOはたらくネット 東京テレワーク推進センター」のホームページに掲載しています。
現状ではテレワークの必要性を感じない、という方も少なくないのですが、そんな時は、「10年後、御社はどうなっていると思いますか?」と尋ねます。そうして少し自社の未来に目を向けていただくと、今何をすべきかが見えてくるかもしれません。そのヒントを見つけるきっかけとして、ぜひ当センターを活用していただけたらと思います。

東京テレワーク推進センター セミナーの詳細はこちら >

 

まとめ

  • 企業、労働者、社会にメリットのあるテレワークの導入が進められている
  • テレワークをはじめ働き方改革について無料で相談できるのが「東京テレワーク推進センター」
  • 都内各所でセミナーを開催。何もわからないという段階でも気軽に参加できる

 

今回は、成瀬岳人さんに、今注目を集めている「テレワーク」について伺いました。
「10年後、御社はどうなっていると思いますか?」
この問いかけに、ドキッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
働く人も、雇用する人も、双方がハッピーになれる──それこそが、働き方改革の最大の目的です。また、テレワークが本格的に普及してくると、スポット雇用が拡大し、アルバイトやパート、派遣にも新たなニーズが生まれてくることも予想されます。
新しい働き方として、未知なる可能性を秘めているテレワーク。もし、ご興味がありましたら、まずはセミナーに参加することから始めてみてはいかがですか?

*photo / PIXTA,Kazuaki Yada

東京テレワーク推進センター セミナーの詳細はこちら >

成瀬岳人さん
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスイッチコンサルティング ゼネラルマネージャー、ワークスタイル・コンサルタント、総務省テレワークマネージャー。業務コンサルタントとして複数社の業務構築、改善を担当し、2015年より、ワークスタイル変革コンサルティングサービスを企画・立上げ。テレワークの導入・検証を行う総務省実証事業および大手企業の長時間労働改善PJTを遂行。また、複数社のテレワーク導入コンサルティングに従事。

 

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