若者に人気の「Instagram」は求人活動に応用できる?

  • 求人広告ノウハウ

 

お客さまの集客やアルバイトの募集の方法は、求人情報誌・WEBサイトに広告を出したり、HPを作成したりすることに加えて、最近では自社の宣伝なども兼ねて、『Facebook』や『Twitter』などのソーシャルメディアを活用している企業も多いかと思います。

しかしながら、いざ初めてはみたもののどんな投稿をすればいいのかわからず更新が止まってしまっていたり、更新はしているけれども、なかなか反響が得られなくて困っている人が多いというのが現状ではないでしょうか。

そこで今回は、そうした主要ソーシャルメディアのなかで近年最も利用者数の伸びが著しい『Instagram』に着目し、企業アカウントを活用する現場の生の声の取材に加え、Instagramのビジネス活用を支援するテテマーチ株式会社執行役員の松重秀平さんにアドバイスをうかがいました。

お客様は増えても求人に反応ナシ・・・

今回まず話をうかがったのは、大阪府のハンバーガー店採用担当のAさん、愛知県の焼肉店採用担当のBさんです。
Instagramアカウントをどのように活用しているか、そして目立った反響があったかを聞いています。

――Instagramアカウントの運用方針を教えてください

Aさん(ハンバーガー店):内容をあまり盛り込みすぎず、シンプルで分かりやすい投稿にしていることです。ハンバーガーの写真は数多く出回っているので、店内の雰囲気など、ハンバーガー以外の要素が分かるような写真を中心にアップしています。

Bさん(焼肉店):誕生日会や歓送迎会などで来店いただくお客さまが多いので、その写真を提供いただき、掲載出来ればと思っていました。お客様とのコミュニケーション機会を生むため、写真が投稿されているか検索し、もしあれば「いいね」をつけたうえで感謝のコメント投稿もしています。投稿内容にPR色が強すぎると敬遠されてしまうので、店内でお客様が楽しんでいる風景として自然な投稿になるように気を付けています。

――Instagramを始めたことで何か目立った反響はありましたか?

Aさん(ハンバーガー店):Instagramの投稿を見て来てくれたというお客様が増えた実感は確かにあります。ただ全員に来店理由を聞いているわけではないので、Instagramだけの効果なのか確認できていません(苦笑)。

Bさん(焼肉店):Instagram経由でのお客様には割引をしているのですが、割引を通じて初めて利用される方、リピーターの方のどちらにも認知していただけているようです。ただ残念ながらアルバイトの応募はありませんね…。

顧客増、売上増に繋がるPR効果は実感できているものの、求人となるとまだまだ試行錯誤が続いているようです。こうした悩みを抱える企業は少なくないと思いますが、ここでテテマーチ株式会社の松重秀平さんに、改めて「企業のInstagram活用にはどんなメリットがあるか」「求人活動に応用することはできるか」という観点で話をうかがっていきたいと思います。

Instagram上では「ポジティブな体験をシェアする文化」が醸成

――まず最初に、企業がInstagramを活用することによってできること、そして期待できる成果を教えていただけますでしょうか。

松重:企業のInstagram活用法の前に、改めてなぜ今Instagramが人気を集めているかをご説明したいと思います。現在、10代~30代の消費者を中心にマスメディア離れが進んでいます。消費者の多くが企業からの情報ではなく、同じ消費者であるユーザーのSNS上の情報に共感し主たる情報源として選んでいるのです。

そんなSNSの中でも、Instagramは「楽しい」「美味しい」「可愛い」といった“ポジティブな体験”をシェアする文化が醸成されていることから、Instagramを利用して情報を得ている人が増えているのです。

このような背景から、特に10代~30代の女性をターゲットとしているような企業はInstagramをいかに有効活用すべきか考える必要があります。

Instagramの活用方法としては、①自社アカウントを運用する、②Instagram広告を活用する、③影響力のあるインフルエンサーとコラボする、④Instagram上でキャンペーンを実施する、など様々な手法があります。自社の情報をファンに届けたい場合はアカウント運用を行う、消費者にInstagramでの投稿を促進したい場合はキャンペーンを実施するなど、目的に合わせてInstagramの施策を打っていく必要があります。

――企業のInstagram活用において、注意すべきポイントなどはありますか?

松重:気をつけなくてはいけないポイントは「センスが重要である」ということです。
商品のブランディングをしたいからといって、代わり映えのない商品写真をひたすら投稿してもフォロワーは獲得できません。そのような場合は、相性の良いインフルエンサーとコラボしたり、既存のファンユーザーに投稿を促すキャンペーン企画をおすすめします。
あくまで「ポジティブな体験をシェアする」という独自の世界観を崩さない、ユーザー心理を踏まえた活用方法が重要なのです。

目的は「求人応募数増」か「既存スタッフのモチベアップ」か

——「Instagramを用いて来店者やリピーターを増やす」という施策は多くの飲食・小売・サービス店舗で行われていますが、求人活動に応用することは可能なのでしょうか。

松重:日本国内にあるリクルートアカウントで多くのフォロワーを抱えているものはまだ多くはない印象です。一方、アメリカでは海兵隊やIT企業の求人アカウントが人気を博しています。

一言で「求人活用」といっても、新規採用の応募増を目指す、既に働いているスタッフのモチベーションを高めるなど幅広い活用方法が考えられます。正社員の募集も含む国内の求人アカウントの多くは先輩社員や社内行事、あるいはスタッフや店内の雰囲気の様子を紹介するもののように見受けられ、用途としては後者のスタッフフォロー的な立ち位置が多いのではないかと感じています。

そのような用途の場合は、多くの人にフォローされるよりも内定者(スタッフ)やその家族などのフォローを促したうえで会社の雰囲気や魅力を発信し、帰属意識を高めてもらうといった活用も有用だと思います。

人気アカウントになることが一番の早道!?

――では、あまり新規の求人応募を増やすという目的には向かないということでしょうか?

松重:私が知っている数少ない求職者のエントリー獲得に効果を発揮しているInstagramアカウントは、ある人気の美容室さんのものです。
普段の投稿では求人色は全くなくハイセンスなスタイリングの様子を動画で紹介し、消費者から同業者まで多くのファンを抱えています。
そのような人気のアカウントが人材募集をかけることで、多くのエントリーがあったというと耳にしました。

――ありがとうございました。

まとめ

現場の採用担当であるAさん、Bさん、そしてテテマーチ株式会社の松重さんの話をうかがって改めて感じたのは、Instagramは特に「写真=世界観」の良し悪しでのみ勝負をするソーシャルメディアであり「どんな要素を、どんな方法・形態で発信するか」を吟味しなければならないということでした。

Instagramを求人活動に応用するには、割引情報やキャンペーン投稿の合間にも、商品の豆知識や店舗・仕事そのものの魅力、あるいはスタッフ個々人の魅力を紹介するなど「こんな素敵な職場で、楽しい仲間たちと働いてみたい!」と思ってもらえるような投稿を作り込む必要があるのかもしれません。

*取材協力:テテマーチ株式会社 松重秀平氏

  • photo: T. Lesia/Shutterstock
  • photo: polkadot_photo/Shutterstock

「アルバイトレポート」に掲載されている記事・図表の著作権は、全てパーソルプロセス&テクノロジー株式会社または正当な権利を有した第三者に帰属しています。
当該著作物を利用する場合には、出所の記載をお願いします。
また、編集・加工等をして利用する場合には、上記出所に加え、編集・加工等を行ったことをご記載ください。
WEBサイトに掲載される場合はこちらからお問い合わせください

ページトップへ

おすすめの記事