採用担当者調査から見えてきた、2010年採用のポイント

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景気の最悪期は脱したもののまだまだ先が見えない昨今。
「そろそろ採用計画を考える必要があるが、今後の状況が読めず方針が立てづらい」
そんな悩みを抱える人事・採用担当者も多いのではないのだろうか。
そこで、2010年はどういった点がポイントになるのか、
実際に採用担当者の「生の声」を聞くことでそのヒントを探った。

今月のポイント

  • 人件費削減の影響からか、「量」や「スピード」だけではなく「質」を求める採用ニーズが表面化した。
  • 去年よりも教育に力を入れたいという声が強く、次世代のリーダーを育てる良い機会と捉えていることが伺える。

INDEX

調査概要

■調査方法
インターネットリサーチ
■調査対象
全国で、決裁権を持つまたは選考に関わる人事・採用担当者
■調査時期
2009年12月1日 ~ 12月2日
■サンプル数 計1,000

1 採用・教育に関する採用担当者の関心ごと/採用編

「人件費を抑え、より質の高い採用を」が主流

まずは、採用担当者が現在、採用・教育に関してどんな点に関心があるのか調べてみた。その結果、もっとも関心の高かった項目は「より良い人材を採る方法」で、57.4%(複数回答/以下同様)と過半数を超えている。しかも、注目すべきは、同じ採用に関連した回答でも「人を早く採る方法」(6.6%)や「より多く人を採る方法」(6.5%)に対して、その割合が圧倒的に高いという点だ。

また、関心事の2位には、49.8%で「人件費について」が入ったが、これは1位の「より良い人材を採る方法」と深くリンクしていると考えられる。採用担当者のコメントを見てみると、「人件費の関係で、質の良い採用を行い少数精鋭での運用を行わないと厳しい」「人件費の削減を余儀なくされる中、採用の量を抑制しつつ人材を育成する手腕が問われている」といった意見が目立った。このことは、2007-08年に目立った「より多く」「より早く」といった要望だけでなく、「より良い人材を」といった質へのニーズが高まった結果と考えていいだろう。

合わせて、「即戦力で正社員に準じたレベルの仕事をしてもらいたいが、応募者の意向との間に潜在的なギャップを感じる」「優秀な有資格者をどう確保するかが、今後の課題」といった意見も多かった。即戦力となる人材の採用を狙う場合、「○○の経験者」「○○の資格保有者」などと、より具体化させ、さらにどんな仕事をしてほしいかを明確にすることが重要である。

その一方で、「当社の社風に共感できる人を採用し、教育に力を入れることで業績UPを図る」「今はスキルがなくても、仕事を通して自己を高めようとする目的意識や意欲のある人を採用し、長期的に雇用したいと思っている」といった意見も多く寄せられた。このような経験者や有資格者の採用にこだわらない場合にはなおさら、どういった人材が欲しいかを掘り下げ、どんな形でそれを打ち出し、選考するかを固めることが今年の採用の大きなポイントと考えていいだろう。

Q1.採用・教育に関して、今関心があることは何ですか?(有効回答数=1,000/複数回答可)

図1

2 採用・教育に関する採用担当者の関心事/教育編

2010年こそ次世代リーダーを育成する好機

先に紹介したアンケート結果について、まずは1位と2位について触れたが、その他ではどのような回答が多かったのだろうか。順に紹介すると、3位は「従業員全体のモチベーションUP」(46.8%)、4位は「従業員全体のスキルUP」(39.4%)、5位は「リーダー層の育成」(39.1%)、そして6位は「従業員の育成方法」(38.7%)となった。3位から6位まですべて教育関連が占めたことになる。

これらについて、従業員への教育・育成に関し今後どういった対応を検討しているのか聞いてみた。最多回答となったのは、「2009年より強化したい」で42.5%(単一回答/以下同様)。続いて「特に2009年と変わらない」が37.0%、「2009年より抑制したい」が7.6%という結果に。これを見ても、今年は教育に力を入れる動きが強いことがわかる。さらに「強化したい」の回答者に対し、その具体策も聞いたところ、「2009年よりも研修を強化する」がもっとも多く56.4%(複数回答/以下同様)。以下、「2009年よりもジョブローテーションや異動を行い、活性化を図る」(39.9%)、「2009年よりOJTを強化する」(37.8%)と続く。

採用担当者の意見の中にも、「若い人材を育てるようにしている」や「現従業員の教育を徹底したい」、「従業員の効率アップを図りたい」、「採用後も継続して教育研修を行いながら育成したい」といった、積極的な人材教育・育成への声が確認できた。同時に、「不況ではあるが人材育成、確保のチャンスであると思う」「現在の経済状況から勘案すると、いい人材を採用するチャンス」といったように、不況の今を前向きにとらえるコメントも少なくなかった。

以上の結果を集約すると、今まで以上に欲しい人材を明確にし、確かな目で人材を発掘する。そして採用後には次世代のリーダーにしっかりと育て上げる。2010年をその機会にできるかどうかが、今後の業績向上を左右するカギと言えるだろう。

Q2. 従業員への教育・育成に関して、2010年は2009年と比較してどういった対応を検討中ですか?(有効回答数=1,000)

図2

Q3.(Q2.で「強化」と答えた回答者に対して)従業員への教育・育成に関して、2010年は2009年と比較してどういった対応を検討中ですか?(有効回答数=425/複数回答可)

図3

vol.32 : PDFダウンロード

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