不況で変わった主婦の就業意識

  • 市場調査・マーケットデータ

不況は主婦の就業意識にどのような変化をもたらしたのか。
また、子供手当など、国の支援策は希望条件などに影響をもたらしているのか。
働く目的から勤務時間、条件まで、主婦の就業意識についてあらためて探ってみた。

今月のポイント

  • 主婦が働く理由は無職、有職にかかわらず、2年前と比較して、より生活に直結したものになる傾向が見られる。
  • 子供手当の増額などで家計所得がアップした場合、無職の主婦はより良い条件の仕事を求める傾向が強まる一方、有職の主婦に労働時間を減らすような動きは少ない。

INDEX

調査概要

■調査方法(2007年)
インターネットリサーチ
■調査対象
関東(1都3県)の30-49歳既婚女性で就業を考えているまたは就業中の主婦
・有職主婦は、現在非正規雇用で働いている方
・無職主婦は、現在無職だが、今後パートアルバイト・派遣・契約のいずれかで働く意向がある方
■調査時期
2007年6月7日~6月11日
■サンプル数
計2,365

■調査方法(2009年)
インターネットリサーチ
■調査対象
関東(1都3県)の25~44歳までの既婚女性
・有職主婦は、現在非正規雇用で働いている方
・無職主婦は、現在無職だが今後3年以内に就業意向のある方
■調査時期
2009年9月11日~9月14日
■サンプル数
計2,000

1 主婦が働こうと思った理由/2007年と2009年の比較

「生活費を補う」という理由が大幅アップ

まずは、現在無職の主婦から、その働く理由を2年前の07年と比較しながら見てみよう。09年での調査では、「生活費を補いたいから」が73.4%(複数回答.以下同様)でもっとも多く、「貯金を増やしたいから」(65.9%)、「趣味や交際に使うお金が欲しかったから」(60.1%)と続く。07年と比較すると、順位とその顔ぶれは同じながら、その数値が軒並みアップしている点が大きな特徴だ。とくに、第1位の「生活費を補いたいから」は10.9ポイントアップと、その伸びの高さが目立つ。

対して、有職の主婦の場合はどうか。09年での最多回答は、無職同様「生活費を補いたいから」で、71.0%。これは07年より7.5ポイントもアップしている。また、2位の「趣味や交際に使うお金が欲しかったから」は、09年は50.3%と07年より3.3ポイントダウンしたが、3位の「貯金を増やしたいから」は07年より9.2ポイントと大幅に伸び、45.9%に達した。

これらの結果で着目すべきは、無職、有職にかかわらず、2年前と比較して「生活費を補いたいから」や「貯金を増やしたいから」が大きく割合を高めている点だ。このことは、不況により主婦の収入が、趣味や娯楽のための資金ではなく、生活費や将来の資金(住宅、教育など)として家計自体を支えるものに変化していることを強く印象づける。また、無職の主婦は、ほぼ全項目で数値がアップし、より積極的に求職を考えている傾向にあることが分かった。

採用側も、こういった動きに対し、給与や昇給制度など、強みとなる条件をしっかりアピールすることで、お互いのニーズにあった採用が期待できるのではないか。

図1.働こうと思った理由をすべてお選びください

2 子供手当などで家計所得が増えた場合の働く主婦への影響

無職主婦はより条件の良い求人を求める傾向に

では将来、子供手当など政府補助により家計の所得が増えた場合、働く主婦にはどのような影響が及ぶのだろうか。

まず、無職の主婦について。家計の所得が増えた場合、「より良い条件の仕事に就きたいと思うか」を調べてみた。結果、全体では「どちらとも言えない」が34.7%で最多回答となったが、「やや思う」も31.5%に達し、「大いに思う」を加えると53.3%となる。つまりは、半数以上が「より良い条件の仕事に就きたい」と思う傾向にあることが分かった。年齢別では、「大いに思う」の割合がもっとも高かったのが、30~34歳で25.2%。「やや思う」も含めると、25~29歳が60.8%でもっとも割合が高くなった。

次に、有職の主婦に対して、同様に「手当等で家計所得が増えたら、今の仕事の時間を減らそうと思うか」について聞いた。全体では「まったく思わない」が39.7%で最多回答に。次いで、「あまり思わない」が26.0%。年齢別では、この2つの回答の合計がどの層も50%を超え、とくに35~39歳では76.0%に達する結果となった。仮に手当で所得が増えたとしても、働く時間を短縮せず今と同じように働く、そういった層が大半を占めている。

採用側はどう対応すればよいのだろうか。子供手当などの支給があれば、有職の主婦はさほど影響がないが、無職では求める仕事の条件を厳しくする傾向が強まる。従って、現在主婦を雇っている場合は、条件の変更等特別な対応は必要なさそうだ。しかし、新しく主婦を採用する際には、勤務時間や時給といった条件を従来と比べ、より良くすることが必要かもしれない。こういった対応は20代後半の層にはとりわけ効果的であろう。また、手当支給がまだない今から先んじて採用を始める対応方法もあるのではないか。

図2. 3

vol.30 : PDFダウンロード

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