無自覚だからこそ要注意!どんな発言がパワハラ・セクハラになる?

  • コミュニケーション・人間関係

 

店舗経営や事業経営に関わっていらっしゃる皆さんにとって、職場の人間関係は運営上の重要ポイントかと思います。“アルバイトがすぐに辞めてしまう…定着率を上げるための3つの方法”でもご紹介の通り、スタッフの定着にも良好な人間関係の構築は欠かせません。

しかし、職場でのパワハラ、セクハラが社会問題化している背景には加害者側に全くそのつもりがない無意識の何気ない発言や行動がパワハラやセクハラになってしまっている可能性もあり、注意が必要です。

そこで、ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に「どんな発言や態度がパワハラやセクハラにあたるのか」という基本的な線引きと、職場からパワハラ、セクハラをなくしていくための対処法を伺いました。

Q.どんなことがパワハラ、セクハラに該当するのでしょうか?

パワハラは“パワーハラスメント”、セクハラは“セクシャルハラスメント”を省略したものです。

パワハラとは、上司が部下に対して不当な行為を行うよう強制したり、必要以上の叱責をしたり侮辱したりすることなどを指します。
例えば皆の前で過度に声を荒げたり、終業時間前になって明らかに終わらない量の業務を押し付けたりなどもパワハラに該当する可能性もあります。
またセクハラは、パワハラ同様に職場の力関係を利用して行われる性的な嫌がらせを指します。
例えば、職場環境を良くしようとし、フレンドリーなコミュニケーションを心がけていたとしても「付き合っている人はいるの?」と質問したり、「仕事頑張ってるね」と言って肩にポンと手を乗せたりするといった行為も、相手が嫌悪感を覚えた場合はセクハラにあたってしまうこともあります。

Q.職場からなくすためにはどういった取り組みが必要ですか?

パワハラ、セクハラの問題点は、「良かれと思ってやってるのに…」とこれらの行為をしている側に自覚がない場合が少なくないことです。さらに、アルバイトは職場内でも立場が弱いので、パワハラ・セクハラを受けても、嫌だとなかなか言い出しにくいものです。

そのため、これらのハラスメント行為を未然に防ぐべく、社内・店内でさまざまな対策を行う必要があります。

① 就業規則等でのハラスメント行為禁止の明記

まず、就業規則等にハラスメント行為の禁止を明記することは最低限必要でしょう。また、厚生労働省をはじめとした各機関が発行するポスター・パンフレットを、休憩室など社員やアルバイトの目につくところに掲示していくことも必要です。
一見効果がないようにもみえますが、目につくところにこのような資料が掲示されることによって、“パワハラやセクハラをしてはいけない”というお店の姿勢が印象付けられることとなります。

② 研修やアンケート調査の実施

さらには、パワハラ・セクハラに関する研修会を実施する、あるいは実際にハラスメント行為が行われていないかどうか、定期的にアンケートや調査を実施することも必要です。
セクハラやパワハラの被害を訴えやすくするために、アンケートの回答者が誰かを他人に知られないような配慮をしましょう。

③ 被害拡大の防止

もしセクハラやパワハラの報告があった場合は、被害を拡大させないために、当事者同士を同席させない、あるいは二人きりにさせないよう店内のシフトを組みなおすような対応も求められますし、起きてしまったセクハラやパワハラに対して会社側が厳正な処分をすることも次のセクハラやパワハラをなくすために必要なことといえるでしょう。

今回は、寺林弁護士に、パワハラとセクハラについて伺いましたが、参考になりましたか?
現在はTwitterやFacebookなどを使って個人が簡単に情報を発信・拡散できる時代です。「あそこの店はセクハラやパワハラがひどい」などという口コミ情報はすぐに広まります。評判が下がれば新たなアルバイトスタッフを確保することが難しくなるだけでなく、1件のパワハラ・セクハラで会社が責任を負うことになれば、大きな損失を出すことにもなりかねません。

パワハラ、セクハラは、アルバイトスタッフの人格や心身の健康を守るためだけのものではなく、会社の経営にもかかわる大きな問題です。スタッフ全員が気持ちよく働くことができ、活躍できる環境を作る上でも、できる対策は早めにしておくことが必要でしょう。本記事がその参考になれば幸いです。

*取材協力:ともえ法律事務所:寺林智栄弁護士

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