アルバイトに成長実感を得てもらうための3つの言葉

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たくさんのアルバイトを抱えている人事担当者のなかには、アルバイトのやる気を引き出すために目標を設定している、という方もいらっしゃると思います。しかし、その目標、アルバイトはしっかり達成できていますか? もしかすると、達成がなかなか難しい目標を設定してしまって、「今日も駄目だった」「明日も厳しいだろうなあ」というような状況を作り出してしまっている場合もあるかもしれません。

目標を設定するということは、そのレベルまで自分を成長させる、と言い換えることができます。目標を設定する=成長を「志向」させる、ということはできていたとしても、果たして、目標を達成する=成長を「実感」させる、というところまでできているでしょうか?

実は、単に形だけ目標を設定して達成を目指してもらう=成長を「志向」させるだけで終わらせるよりも、しっかりと成長を「実感」させることの方がとても重要なのです。今回は、成長の「志向」よりも成長の「実感」のほうがどれだけ重要なのかをグラフを用いて数値的に示しつつ、アルバイトに成長を「実感」してもらうためにはどうすればよいかをお伝えしようと思います。

成長を実感することと成長を志向することでは、「実感」することのほうがはるかに大切

こちらは、成長の「実感」と「志向」の程度が、人々の働く意欲や意識にどのように影響するかを調べたグラフです。

まずは左の3つのグラフを見てみましょう。成長を志向することと比べると、成長を実感することのほうが、仕事への意欲や、就業満足度、組織のパフォーマンスに3倍~6倍の影響を与えていることが読み取れます。また、右の2つのグラフを見てみても、成長「実感」は成長「志向」よりも、働き続けたい気持ちを3倍強くし、逆に転職したい気持ちを抑える効果があることが分かります。

このように、「志向」よりも「実感」のほうが各項目においてはっきりと影響力が高いため、アルバイトに対して目標設定をする=成長を「志向」させることよりも、成長の「実感」を与えていくことのほうが大切だということが分かります。

しかし、人によって求める成長の形は千差万別であり、その人にかけるべき言葉は人それぞれのタイプにより異なります。そこでまずは、アルバイト・パートに多い2つのタイプを確認し、成長することに関してどんなタイプの人間が世の中にいるのか理解していきましょう。

アルバイト・パートに多い2つの成長タイプ

今回のデータの元となっている「働く1万人成長実態調査2017」では、働く人をいくつかの成長タイプに分類しています。そのなかでも、アルバイト・パートの雇用形態に多いのが以下の2つのタイプです。

■他者協調型
職場の仲間や取引先など、他者との「コミュニケーション力の向上」を重視し、周囲の人と協調して仕事ができるようになることを成長と捉えているタイプ。特に主婦(夫)層などに多く見られる。

■プライベート優先型
早く帰ることや職場での友人関係を重視し、ワーク・ライフ・バランスを整えることを成長イメージとして大事にしているタイプ。特に学生などに多く見られる。

では、それぞれのタイプのアルバイトについて、具体的にどのように成長「実感」を感じてもらうとよいのでしょうか?

 

それぞれのタイプに対して、成長実感を与えられる3つの言葉

人に成長「実感」を与えるためには、やみくもに褒め称えるのではなく、それぞれのタイプが重要視していることに沿って言葉をかけることが大切です。

下のグラフは、人の成長イメージを8つの要素に分解したもので、各タイプがそれぞれどんなことを自分にとっての成長だと捉えるのかを示しています。まずは主婦(夫)層に多い他者協調型から見ていきましょう。

こちらを見ると、他者協調型はコミュニケーション力の向上や効率性の向上に意識が高い様子が伺えます。ということは、この「コミュニケーション力の向上」と「効率性の向上」それぞれを感じられるような言葉をかけてあげれば、この他者協調型のアルバイトに成長実感を得てもらうことができ、ひいては働く意欲や意識を向上させることができるということになります。

だとすると、例えばどんな場面でどんな言葉をかけてあげることが適切なのでしょうか?職種などにより様々な選択肢があると思いますが、ここでは言葉を想像しやすいように例を考えてみました。

・コミュニケーション力の向上を実感してもらうための言葉例
『あなたが新人さんに積極的に話しかけてくれているおかげで、最初はおどおどしていた新人さんも職場に溶け込めるようになったよ!ありがとう!』

・効率性の向上を実感してもらうための言葉例
『あなたの仕事が早いおかげで、ほかのアルバイトたちに遅くまで残ってもらわずに済んで、いつも助かってるよ!』

では次は、学生などに多く見られるプライベート優先型を見ていきましょう。

グラフを見ると分かるとおり、プライベートの充実こそが自らの人間としての成長と捉えるのがこのタイプの傾向です。プライベート優先型は、そもそも職場での成長をあまり強く求めていない=志向していないのが特徴です。

職場での成長を志向していないのなら、このタイプのアルバイトに対するアプローチは無意味なのでは?と思われるかもしれません。しかし、最初のグラフでお伝えした通り、成長を「志向」させることよりも、成長の「実感」を与えていくことのほうが大切なのです。極端に言えば、アルバイトに無理に成長を志向させようとする必要はなく、成長を「実感」してもらいさえすれば、本人の前向きな気持ちを引き出したり、組織のパフォーマンスを高めることができるのです。

とすれば、プライベートの充実を自らの成長と考えるこのタイプに職場で成長を実感してもらうためには、職場のプライベート化、すなはち、その人にとって職場をお金を稼ぐ場としてだけでなくプライベートの一環としても価値あるものと感じてもらうことが有効です。具体的には、同僚や社員などと気軽に談笑できるような機会を用意したり、レクリエーションを充実させることが効果的な打ち手になるといえるでしょう。そうしてアルバイトを職場に巻き込むことで、仕事における成長に対しても関心を持ってくれるようになるかもしれません。

・職場においてプライベートの充実を実感してもらうための言葉例
『最近、○○さんと楽しそうに話してるよね!他の人ともよく遊びに行ったりしてるみたいだし、、、仕事も大事だけど、やっぱり職場で同僚と仲良くやれるって大事だよね!バイトに来るのも最近ちょっと楽しみになってるんじゃない?』

もちろん、やたらと人を型にあてはめてしまうのは考えものですが、型をベースに目の前のアルバイトのことを分析してみると、型と同じ部分や異なる部分が見えてきて、その人の特徴を分かりやすく理解することができます。目の前のアルバイトさんの成長にとって大切な要素はなにかを個別で考え、それぞれに合ったアプローチをしていくことが大切です。

 

まとめ

今回は、成長を「志向」させることよりも成長を「実感」させることのほうがより重要であること、そして、アルバイトのタイプ毎にどんな言葉をかければ成長を「実感」してもらうことができるのかについてお伝えしました。

▼他者協調型のアルバイトに対するアプローチ
・コミュニケーション力の向上を実感してもらえる言葉をかける
・効率性の向上を実感してもらう言葉をかける

▼プライベート優先型のアルバイトに対するアプローチ
・職場においてもプライベートの充実を実感してもらう言葉をかける

今回の記事が、明日からのアルバイトとのコミュニケーションにお役立て頂ければ幸いです。

出典:株式会社 パーソル総合研究所「働く1万人成長実態調査2017」
*photo / photo-ac.com

 

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[出典記載例] 出典:求人情報サービス アルバイトレポートより(該当記事URL)

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