10~20代の“生活&はたらく”を徹底解剖『若年層白書2012』vol.2/アルバイトに関する「イメージ」と「意識・行動」 

  • 求職者動向

 

アルバイトレポートでは、15歳~25歳までの若年層の生活スタイルやアルバイトに対する意識、将来のとらえ方を調査し、3回にわたってその結果をお届けしている。
第2回目は、若年層のアルバイトに対する意識や考え方をまとめた。この結果から、いわゆる「ゆとり世代」と言われる彼らが、アルバイトをどうとらえているのかが見えてくる。この層にターゲットを絞った求人を募集するときや、採用面接時の対応の参考にしてほしい。

調査概要

  • 調査名:若年層ライフスタイル調査
  • 調査期間:2012年4月20日~22日
  • 調査エリア:全国
  • 調査対象:15歳~25歳の男女で、下記条件を満たす人
  • これまでにアルバイト・パート経験がある人
  • アルバイト経験はないが、アルバイトをしたいと思っている人
  • サンプル数:2,447 (これまでにアルバイト・パート経験がある人:1,227)

※原稿内の「大学生」は、短大生、大学院生を含む

「コンビニスタッフ」は「大変そう」ではない?

アルバイト経験の有無を問わず回答者全員に、一般的にアルバイト募集の多い職種について、それぞれのイメージを聞いた。

その結果が図表1。各職種に対するイメージの上位3位までをまとめたものである。

大半の職種で、「大変そう」という回答が上位1、2位に挙がっている。職種は違えど、アルバイトは「大変」という印象が強いのだろう。

そんな中、「コンビニスタッフ」「カフェスタッフ」は「大変そう」が上位3位以内にはなく、ランク外になっている。特に「コンビニスタッフ」は「未経験でもできそう」が2位に入っており、傍から見ている分には、比較的易しい仕事に思えるのかもしれない。だが、実際には覚えるべき業務が非常に多かったり、検品や売り場の整理など細やかな確認や配慮が必要だったりと、見えない業務も多い。採用後、彼らが「イメージと違う」「想像以上に大変」といった、イメージギャップを理由に辞めていくことのないよう、面接時に仕事内容のすり合わせを徹底させておきたいところだ。

それぞれの職種イメージを踏まえたアピールを

「事務」「コールセンター」は「女性が多く働いていそう」が1位、また、「居酒屋店員」「カフェスタッフ」「ファーストフード」「イベント・キャンペーンのスタッフ」は、「若い人が多く働いていそう」という回答が1、2位に挙がっている。

このように働いている従業員層のイメージが強い職種の場合、自分の属性に近い人や一緒に働きたい属性の人が多そうだと感じるものに対しては、より親近感、安心感を持って、応募しやすいと考えられる。しかし、反対にこういうイメージが弱い「販売スタッフ」「警備員」「軽作業」などの職種は、前述の職種よりもやや遠い存在に思われてしまう可能性がある。そのため、若年層が事前に持っている職種へのイメージに縛られないよう、求人募集の広告を出す際には、ひと工夫したいところだ。よく見られる工夫の一つとしては、「若いフリーターが中心に活躍しています」、「20代前半のアルバイトが多いです」など、職場が若い人も働きやすい雰囲気であることをアピールする一言を添えることなどがある。

また、「大変そう」「仕事の内容がわからない」などのイメージが高いものは、仕事の内容を具体的にわかりやすく説明することを心がけたい。特に「大変そう」と回答された職種は、仕事を詳しく知らない状態で「大変さ」のイメージだけが先行している可能性もあるからだ。

反対に「オシャレ・かっこいい」「給与が高そう」など、プラスのイメージがすでに高い職種は、求人募集に際してもそのイメージをうまく活用したい。とはいえ、「給与が高そう」と一口に言っても、いくらくらいのイメージを持っているかは人それぞれであろう。そのギャップを埋めるためにも、求人広告や採用時の面接で、具体的な仕事内容と、それに合わせて給与体系がどうなっているのかをしっかり説明しておくことが大切だ。

図表1:若年層の職種に対するイメージ

アルバイトに期待することは「経験・成長」

では、若年層がアルバイトに対して、給与以外で期待することは何か。

結果はグラフ2のとおりで、最も多かった回答は「人生経験になること」で50.6%と、約半数を占めた。その他では「仕事の経験が身につくこと」(48.9%)、「社会人としてのマナーが身につくこと」(40.3%)、「自分の成長につながること」(36.7%)といった回答が多かった。

このことから、多くの若年層がアルバイトをすることで何らかの経験や知識、スキルを身につけ、自身の成長につなげたいと考えていることがうかがえる。また「将来の就職につながること」を意識している人は13.8%、「将来につながる人脈づくり」を意識している人が8.0%だった。とりわけ多いわけではないが、将来を見据えて、アルバイトをしている人も一定いることが、この結果から推察できる。

グラフ2:若年層がアルバイトに期待すること

アルバイトでやる気になるのは「人に褒められたとき」

次に、「勉強」「アルバイト・仕事」「趣味」のうち、「頑張ろう!」と強く思った瞬間があるものについて、具体的に「やる気アップとなったきっかけ」を自由記述で回答してもらった。そして、その回答を、(1)どこから影響があったかを縦軸(他者や環境など自分の周囲から影響があった場合(外的要因)、自分自身の努力や気分など内部の影響があった場合(内的要因))、(2)その影響がプラスに推進させるものか、マイナスから反発させるものかを横軸に分類してみたところ、次の7つの「やる気アップポイント」が浮かび上がった(図表3)。

  1. 目標や目的ができたとき
  2. 環境や道具が変わり心機一転したとき
  3. 周囲の人からの影響があったとき
  4. 周囲のモノから影響があったとき
  5. 達成感を感じたとき
  6. とにかく好きで楽しい/自発的に向上心がわいたとき
  7. 失敗や危機感を乗り越えようとしたとき

 

「勉強」は「目標や目的ができたとき」が最も多く、次いで友達や先生など周囲の人の影響を挙げる人も多かった。また、幼い頃から関わっている身近な課題であり、「勉強すれば、結果が出るということを体感した」、「このままじゃヤバイと思った」といった経験を大なり小なりしてきているせいか、自発的に頑張ろうとしたと回答する人が多いことも特徴的だ。趣味に関しても、基本的に自分が好きなことなので、外から影響を受けなくても内発的に楽しみ、熱中している様子が結果からうかがえる。

ところが、アルバイトに関しては、「内的要因」側に分布する回答は極めて少なく、反対に「外的要因」の方に回答が集中している。つまり、アルバイトは、自分自身の努力や気分ではなく、周囲の環境や人からの影響を受けて「やる気をアップ」させている場合が多いということだ。

特に「周囲の人からの影響があったとき」にカテゴライズされる回答記述が多く、中でもプラス側に該当するものが多かった。「先輩や上司から必要とされていると感じたとき」「昇格」「仕事の先輩に褒められたり、お客様にありがとうなどのことばをもらったこと」などといった具合に、人から褒められたり、感謝されることがモチベーションにつながっていることがわかる。

こうした結果から、アルバイトのやる気をアップさせ、長く彼らに働いてもらうには、一緒に働く人々が褒めるべきところはしっかり褒めること、そして、実績を出したら昇給するなど正当に評価してあげることがポイントと言えそうだ。

図表3 若年層の「やる気になるきっかけ」

決める時は「親」「友達」に相談、辞めるときは自己完結

最後に、アルバイト経験者に限定し、「アルバイトを始めるとき」「辞めるとき」の相談相手について聞いた。その結果がグラフ4である。

「アルバイトを始めるとき」の相談相手として圧倒的に多かったのは「親」(39.4%)と「友達」(37.5%)。その主な理由は「経験者の意見を聞きたかったから」であった。しかし、「アルバイトを辞めるとき」は、「誰の意見も参考にしなかった」が最多で44.0%。「辞めるとき」は、誰にも相談せず、自己完結的に決めている人が多いようだ。

アルバイトを辞めたいと思うとき、明確な理由はなく何となく「辞めたい」と思う人も多いのではないだろうか。その場合、「誰かに話してもしかたない」と誰にも話さず、自分で「辞める」と決めてしまっている可能性が考えられる。だからこそ、以前「プロに聞け」でも紹介したように、「辞めたい」と言ってきた彼らに対して、きちんと向き合い、その理由を聞き出してあげることが大切だ。辞意を撤回させられる場合があるかもしれない。

前データで明らかになったように、アルバイトについては「外的要因」でやる気をアップさせる傾向がある世代だけに、話を親身に聞く姿勢を示せば、彼らも心揺さぶられ、辞めずに働き続けてくれる可能性も高まるのではないだろうか。

グラフ4 アルバイトを始めるとき・辞めるときの相談相手

『第3回 将来の『はたらく』をどう見ているか』記事を見る

『第1回 若年層のライフスタイル』記事を見る

vol.56 : PDFダウンロード

若年層白書 全文

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