正社員希望の動きと働く意識の変化

  • 求職者動向

 

長引く不景気の影響で雇用不安は依然として強い。
そんな中、非正規社員の意識にある「正社員希望」はどの程度高まっているのだろうか。
また、そういう動きをどう見据え、今後の人材確保にどう活かしていけばいいのか。
実際のアンケート結果をもとに考えてみたい。

今月のポイント

  • 非正規社員における正社員就業希望は全体に増加傾向。
  • 非正規社員の中には長期安定志向がみられるも、夢の実現のためや、将来のステップのために仕事をしたいと考える層が増加している。

調査概要

■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:北海道、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知)、関西(大阪、京都、兵庫)、九州(福岡)在住 かつ 1年以内にアルバイト・パート、契約社員、派遣社員のいずれかに就業した15-34歳の男女
■調査時期:2009年3月
■サンプル数:7608名

 

■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:北海道、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知、静岡、岐阜)、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀)、九州(福岡、熊本、鹿児島)在住 かつ 1年以内にアルバイト・パート、契約社員、派遣社員のいずれかに就業した15-34歳の男女
■調査時期:2008年3月
■サンプル数:8866名

 

1.非正規社員の正社員就業希望割合

アルバイトの正規社員志向、過半数に迫る46.7%

まずは、非正規社員のうち、正社員としての就業希望者はどのくらいの割合なのかを見てみると、全体では「希望する」が53.3%、対して「希望しない」が46.7%という結果となった。やや希望者が多いが、概ね半々となっている。

では、雇用形態別ではどうだろう。もっとも正社員希望者が多かったのは、契約社員で、実に77.2%。契約社員全体の4人に3人は「正社員希望」という高い数値となった。次いで希望者が多かったのが、派遣社員の57.0%と、過半数を超えている。

では、アルバイト・パートはどうか。正社員希望者は46.7%で、希望しない割合を6.6ポイントほど下回った。この数値だけを見れば、正社員希望者は契約社員、派遣社員を下回っているが、働き方や仕事内容では、非正規社員のうち、もっとも正社員に遠いはずのアルバイト・パートが半数近く正社員希望しているという意味では、「かなり高い数値」と捉えていいだろう。

この背景には、もちろん不景気による雇用不安の高まりが予想されるが、見方を変えれば、これまでアルバイト・パート層では少数だった「未来の正社員候補」が半数近くに膨れ上がった、ということになる。そしてそういった動きが、職場のスキルアップや仕事への意識の高さにつながっているとも考えられる。

図1. 非正規社員の正社員就業希望割合

2.非正規社員の仕事への意識の変化

長期安定を望む層、目標を優先する層、ともにアップ

次に、非正規社員は具体的にどんな仕事への意識が、正社員希望へとつながっていったのか。昨年と今年でその動きの変化を見てみたい。

仕事に対する意識で、今年もっともアップしたのが「ひとつの仕事(またはアルバイト)を長く続けたい」で、昨年の48.1%から61.4%と、実に13.3ポイントも上がっている。次いでアップ率が高かった「将来に不安を感じる」(7.1ポイント)とともに、長期で安定した雇用を望む意識の高まりが、はっきり見て取れる。正社員希望の増加も、そうした意識がストレートに反映されたものと考えていいだろう。

また一方で、「仕事(またはアルバイト)を通して、自分の目標や夢を実現させたい」(6.8ポイント)や「仕事(またはアルバイト)を通してお金以外のものも得られると思う」(5.7ポイント)といった意識のアップも目立った。これらは、安定志向層とは異なり、雇用や収入の安定より、目標や夢の実現を優先させたい、あるいは経験や人との出会いを大事にしたい、といった意識が強い。そういった将来を見据えた層の増加にも注目すると同時に、その仕事への意欲、ポジティブさを活かすことが鍵となる。

思い切って任せてみて、環境や仕事への適応力や業務スキルが評価できる人材を正社員として活用していく、といった試みが、今後の人材戦略のポイントのひとつと言えるだろう。

図2. 非正規社員の仕事に対する意識の変化

vol.25 : PDFダウンロード

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