【2017年総括】 学生人気アルバイトランキング 今年の人気アルバイトの傾向を読み解く

  • 市場動向

 

 

アルバイトレポートでは、学生を対象に、「やってみたいアルバイトのブランド」のアンケートを実施。今回は、その結果を回答者の声とともにランキング形式でお届けします。2017年に若者から多くの支持を集めたのは、果たしてどんなブランドなのでしょうか?

調査概要

【調査地域】全国(インターネットリサーチ)
【調査対象】高校生もしくは大学生(専門学生、大学院生含む)で、アルバイト経験もしくは今後のアルバイト就業意向がある人
【調査期間】2017年12月5日~12月10日
【調査方法】インターネット上のアンケートで、アルバイト希望ブランドを最大5つまで選択肢から選ぶ・または自由記入する方式で回答してもらう。昨年と今年の調査の違いとして、選択肢に用意するブランドを一部入れ替えた。
【有効回答数】1,041サンプル(そのうち、高校生:441サンプル、大学生:600サンプル)

 

人気アルバイト ランキングトップ20位

学生1,041人に対し「やってみたいアルバイトのブランド」についてアンケートした結果、ランキングトップ20位は以下のようになりました。参考値として、昨年実施した若者人気アルバイトランキングの結果も併せてご覧ください。

2017年の「やってみたいアルバイトブランド」は、一昨年より三年連続で「スターバックスコーヒー」が1位に輝きました。同様のカフェ系ブランドも「コメダ珈琲店」が20位にランクインしており、カフェ系ブランドの人気は引き続き高いと言えるでしょう。2位は「セブン–イレブン」で、こちらも1位の「スターバックスコーヒー」と同じく昨年と同順位をキープし続けており、7位の「ローソン」と11位の「ファミリーマート」とあわせて大手コンビニ3ブランドの支持率の高さが伺えます。3位にランクインしたのは昨年5位の「アニメイト」で、4位の「ブックオフ」、6位の「タワーレコード」など、個人の趣味嗜好と関連性のあるブランドは高い人気を誇るようです。

今回、初登場で12位にランクインしたのは「ヴィレッジヴァンガード」。同じく初登場の13位「TOHOシネマズ」と同様に、個人の趣味嗜好に近いところにあるブランドとして人気を集めています。一方、それとは少し毛色が異なるのが初登場15位の「コストコ」。10位の「イオン」と同じくスーパーという業態に属するブランドではありますが、どちらかというと「コストコ」はそのインターナショナルなイメージに注目が集まっているようです。

それではここからは、上位にランキングされた各ブランドの傾向を、回答者のブランド選択理由と共に詳しく見ていきましょう。

 

2017年のトレンドは“趣味系”ブランドのさらなる人気上昇

2017年の大きなトレンドは、“若者が興味のある趣味(アニメ・音楽・本・ファッション)に関連したアルバイト先”の得票が昨年以上により多くなっているという部分でしょう。個別のコメントを見てみると、「紀伊國屋書店」では『今オススメ、話題の本などを知り、自分も楽しみたい』とあり、「ユニクロ」では『最新の流行がすぐに分かりそう』、「タワーレコード」では『最新の音楽に触れられるから』との回答がありました。今の若者は、働きながら“自分の趣味にまつわる最新情報をキャッチする”ということにより強い価値を感じるようになってきたと言えます。

一方、カフェ・スイーツ系ブランドは1位の「スターバックス」を筆頭に引き続き高い人気を誇るものの、トップ20にランクインするブランド数が昨年の6から3へと減少しています。『お洒落な雰囲気が好きだから』『雰囲気がポップでかわいいから』という雰囲気重視目線で選ばれることの多いこれらのブランドですが、お洒落で可愛いカフェ・スイーツ系店舗の裾野は個人店や数店舗しかないチェーンを中心に多様化しています。2017年はそれら小規模店舗と大規模ブランドのあいだで雰囲気重視の学生の獲得競争がより激しくなった可能性があります。

そんななか、この2つのトレンドの影響を全く受けていないのがコンビニ系ブランドです。2位の「セブン-イレブン」をはじめ、「ローソン」「ファミリーマート」の順位はほぼ変動がありません。コンビニ系が選ばれる理由は『通学途中に幾つかあり、通いやすいから』『家から近い』といったアクセスに関する理由や、『よく利用するから』『いつも使っているのでなじみがあるから』といった利用頻度に関する理由が圧倒的です。先の“趣味系”、“カフェ・スイーツ系”を求める人々とは全く別の傾向を持った人々がコンビニを働く場所として求めており、アクセスや利用頻度といった面で競合になりうるブランドも存在しないため、独自の母集団をキープし続けていることがコンビニの順位を不動のものにしているようです。

学生は“スキルアップ”と“仕事内容そのもの”に興味がある

昨年から1位と2位を独占している「スターバックスコーヒー」と「セブン–イレブン」。「スターバックス」は『オシャレな空間が好きだから』、「セブン–イレブン」も『学校から近いから』といった、それぞれの独自の強みがそのまま求職者人気にも繋がっているようです。しかし一方で、全く異なるこの2つのブランドに共通するコメントも見受けられました。それが『接客スキルが身につきそうだから』、『仕事の基本が学べそうだから』といった、自らのスキルアップに関係するものです。

コンテンツが圧倒的に人気の「東京ディズニーランド・シー」でも、『英語のスキルが身に付きそう』といった声がみられ、8位にランクインしている「ユニクロ」では、『店員さんの質が高く、自分も学びたい』、13位の「マクドナルド」でも『色々なお客さんが来るので勉強になりそうだから』という意見が挙がっていました。

また、少し角度を変えると、学生の中には仕事内容それ自体に興味がある人もいるようでした。「ローソン」「ファミリーマート」でアルバイトをしたい人の意見を見ると『レジがしたい』『オペレーションに興味があるから』『いろんな仕事ができるから』と、普段当たり前のように利用するコンビニの仕事内容に実は学生が魅力を感じている様子が見てとれます。また、趣味色の強い「ヴィレッジヴァンガード」「タワーレコード」では『POPを書きたいから』という声があり、飲食では「サーティーワンアイスクリーム」の『アイスを丸くするあの器材を使ってみたいから』、「コメダ珈琲」の『シロノワールを作ってみたい』など、お店の特徴や売りポイントを今度は自分が作ってみたい、という願望があることが伺えます。

仕事を始めるまであと数年という立場にいる学生には、お洒落さや立地の良さだけでなく『普段目にするあの仕事はどんなふうに行われているんだろう』『自分がその仕事をやってみたらどうなるだろう』といった仕事内容そのものを見る目線でアルバイト選びをしていることがわかります。そして更には、将来自分が就職した時のことを見据えて、アルバイトを通じて“スキルアップ”を図ろうとする傾向にあるようです。ここから考えると、学生を採用しようと考えるときには、まずは“仕事内容を明確に相手に伝えること”、そしてその上で“仕事で身に付くスキルをアピールすること”が重要なポイントになってきそうです。

 

学生がアルバイトを選ぶ理由は多種多様

そのほか、学生がアルバイトを選ぶ理由は様々です。先程と同様に仕事内容そのもので興味を集めた郵便局の『年末はがきの仕分けをやってみたい』のほか、『職場体験で雰囲気が良かったから』という理由でイオンを選択した方もいました。また、「コストコ」を選ぶ理由として挙げられたコメントには、高時給を求める声ばかりでなく、『色んな国の方が働いてるから』『語学が上達しそうだから』という国際色豊かな理由が比較的多く見られました。

また、特に企業が個人に対して商品・サービスを提供するBtoCブランドにたくさん見られた意見が、『よく足を運ぶから』というもの。『普段からよくアニメイトにグッズを買いに来るから』『ジュンク堂はよく利用していて親しみがあるから』『いつもTOHOシネマズで映画を見るから』というように、普段足繁く通ってくれるお客様が“身近だから”という理由で応募するケースがよく見られます。ここで重要なのは普段の営業努力。お客様として店舗を身近に感じてもらうことが、そのまま応募効果にも表れてくるようです。

【参考】人気アルバイト 回答者フリーコメント(10位まで)

 

1位 スターバックスコーヒー

・オシャレな空間が好きだから(高校生女子)
・お店の方の対応がいつも良いから(大学生女子)
・接客スキルが身につきそうだから(大学生女子)

 

2位 セブン–イレブン

・学校から近いから(高校生男子)
・よく利用するから(大学生男子)
・仕事の基本が学べそうだから(大学生女子)

 

3位 アニメイト

・色々な情報を仕入れたい(高校生女子)
・普段からよくアニメイトにグッズを買いに来るから(大学生男子)
・好きなものに囲まれて働けるから(大学生女子)

 

4位 ブックオフ

・珍しい本に出会えそうだから(高校生女子)
・静かでいい(大学生男子)
・自分自身がよく利用する書店なので(大学生女子)

 

5位 東京ディズニーランド・シー

・英語のスキルが身に付きそう(高校生男子)
・人の笑顔が見られるから(高校生女子)
・一流の接客が身につくところだから(大学生女子)

 

6位 紀伊國屋書店

・今オススメ、話題の本などを知り、自分も楽しみたい(高校生女子)
・制服のエプロンが好きだから(大学生男子)
・客層が良さそう(大学生女子)

 

7位 ローソン

・いつもお世話になっているから(大学生男子)
・オペレーションに興味があるから(大学生男子)
・レジがしたい(高校生女子)

 

8位 ユニクロ

・最新の流行がすぐに分かりそう(高校生男子)
・接客により成長できそう(大学生男子)
・店員さんの質が高く、自分も学びたい(大学生女子)

 

9位 タワーレコード

・最新の音楽に触れられるから(高校生男子)
・ポップとか書いてみたい(高校生女子)
・アーティストがイベントで店舗に来るため、会えるかもしれないから(大学生女子)

 

10位 イオン

・職場体験で雰囲気が良かったから(高校生男子)
・普段から頻繁に使う店舗だから(大学生男子)
・お客さんが沢山来てくれてやりがいがありそうだから(大学生女子)

 

まとめ

今回は、年末の総ざらいとして、2017年の学生がどのようなアルバイトに興味を持っているのかをランキング形式でお届けしました。全体的には、趣味系ブランドの更なる人気UP、カフェ・スイーツ店舗の多様化と母集団獲得競争の激化、不動の人気のコンビニというのが2017年ランキングのトレンドでしたが、それ以外の観点で明日からの採用活動で活かせそうな部分を見ると、以下の2点が見られました。

・仕事内容とスキルアップをアピールすることが大切

学生にとって給与や立地といったベースの条件はもちろん大事ですが、その上で“スキルアップができるか”が決め手になるケースが多いようです。一度自社の仕事内容を見返して、それを通じてどんな成長機会を提供できるのかを明らかにしてみるとよいでしょう。

・お客様を大切にすることが、間接的に応募効果UPに繋がる

ユーザーとしてよく触れる仕事に学生が親しみと安心感を感じ、それが応募理由になる場合が多いようです。普段の営業活動はもちろん直接的には売り上げなどをUPさせるためのものですが、そこで好印象を残すことが、間接的に採用活動にも大きな影響を与えます。

上位に挙がった人気ブランドの傾向を参考にしていただき、今からの、そして2018年からの採用活動にぜひお役立てください。

*photo / photo-ac.com

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