髪形・髪色自由の求人で若者求職者が知りたいのはその「自由度」 迷う場合は25%が応募を避ける

  • 市場動向

 

人手不足解消の手段の一つとして、募集条件を緩和して採用ターゲットを広げる方策が挙げられます。今回のアルバイトレポートでは、大学生・フリーターの若者に対し、髪形や髪の色といった「身なり」に関する規則を緩めた場合、求人の応募数を増やすことができるのか、また、どういう風に身なりの自由さをアピールしたら良いのかについて調査・分析を行いました。時給アップ以外の方策として「身なり自由」を是非検討してみてください。

調査概要

【調査地域】全国(インターネットリサーチ)
【調査対象】現在アルバイト・パートに従事している大学生またはフリーター
【有効回答数】1,000サンプル(うち、大学生500サンプル、フリーター500サンプル)
【調査期間】2017年1月19日~1月23日

「時給の高さ」と「身なり自由」はどっちが大事?

はじめに、若者のアルバイト探しにおける「身なりの重視度」を測る物差しとして、身なりの自由さと時給の高さを天秤にかけてみました。勤務地や仕事内容はほぼ変わらない2つの求人があったと仮定し、Aの求人は時給がやや低めだが髪形や髪の色など身なりを自由にして良いところ(以降、本文で「身なり自由」と表記)、BはAより時給がやや高いものの身なりには厳しいところの場合、前者を選ぶ若者はどのくらいいるのでしょうか?

アンケートの結果、若者全体の約3割が少し高い程度の時給よりも身なり自由を選ぶことが分かりました。時給を上げなくても、若者求職者のうちの3割の応募を獲得することができると考えれば、人手不足・採用費の高騰に悩みを抱える企業や店舗にとって、有効な募集施策として検討に値すると言えるでしょう。

時給よりも「身なり自由」を重視する人はどのような人を見てみましょう。フリーコメントを見ていくと、髪形や髪色に強いにこだわりを持っている「個性重視派」の人から、強いこだわりがある訳ではないものの、「緩く楽しく働きたい派」の人まで一定の幅があるようです。いずれも、束縛されることに抵抗感があり、自分らしく働きたい志向性が強い人たちであると見られます。

<個性重視派> フリーコメント

  • 時給の問題より自分がいきいきと仕事がしたいから。自由な身なりは個人の個性だと思う。
  • 大学ではお洒落な髪色髪型でいたい。アルバイトのためだけに自分が望むお洒落ができず、地味な格好でいたら、大学でお洒落な髪色髪型でいる人を見るたびに羨ましく思ったり、劣等感を抱いたりしてしまいそう。
  • 身なりが厳しいバイトは個性を重視されていない気分がする。朝から大声をあげて挨拶をさせられる朝礼があるような所は嫌だ。

<緩く楽しく働きたい派> フリーコメント

  • 身なりが自由な方が気楽に働けると思ったから。学生はあくまで学業が主であるので、堅いアルバイトでいらないストレスをためたくない。
  • 長く働くとなると、身なりについてある程度許してもらえるところじゃないと難しいと思うから。
  • 時給が多少安くても大雑把な店の雰囲気の方が心地良い。

身なりの自由度が分からない求人は避けられる

続いて、若者求職者がアルバイト探しをしている際、勤務場所や時給などの条件がマッチしている求人を見つけたと仮定して、自身の髪形・髪色が、そこのアルバイト先でOKか迷う場合にどうするかを聞きました。

興味深いのは25%の人がそのアルバイト先には応募しないという点です。その理由を見ると「髪色等を理由に不採用されたら面接に行く時間がもったいない」「就労後になって散髪を強要されるかもしれないのはこりごり」というように、不採用や面倒になるリスクを回避したい心境が伺えます。身なりが自由な場合や、規定がある場合にかかわらず、求人原稿において、アルバイトの時の身なりに関する言及をしておくことが、応募を逃さない方策になると言えます。

効果的な求人原稿でのアピール方法は?

それでは、求人原稿で身なりについてアピールする場合、どのように表現すれば良いでしょうか?求人原稿でシンプルに「ネイルOK」「髪形・色自由」「服装自由」と記載した場合に、求職者がどのように解釈するかについてアンケートをとりました。

アンケートの結果、「常識の範囲で自由だが制限あり」が62%で最多となりました。フリーコメントを見ていくと「例えばネイルでもラインストーンなどを使った立体的なものはNGや、髪もある一定の長さを下ろしているのはNGなど、常識の範囲内での規定があるものだと思う」という声が見られていますが、詳細について記載がなければどこまでがOKか判断に迷うケースが多いと考えられます。また、「身なり自由と言っても接客業の場合は相手に不快に思われない程度に抑える必要がある」というように、業種・職種によっても「身なり自由」の解釈は様々となることが分かりました。

「常識の範囲で自由だが制限あり」を選んだ人のフリーコメント

  • 仕事に支障を来す場合や、お店の印象が悪くなるような派手すぎるものでなければ良いと感じる。
  • 会社側がどれくらいを想像しているかわからないから、多少自分が思っているより厳しめに解釈する。
  • 職種にもよる。例えば飲食系の場合、ある程度小綺麗にしないと衛生面を問われると思うので。
  • いくら自由でも派手過ぎたらダメとか、デニムはダメとかあると想う。

つまり、本当にどんな身なりでもOKなのか、一定の基準があるのか、程度感が伝わるような記載をすることがポイントになると言えるでしょう。その際、「お客様と対面することがないので」といったように、身なり自由である理由が記載されていると納得感がある表現になると考えられます。注意点すべきこととして、身なり自由を謳った求人は、「チャラチャラした人が集まる」「ネイルや髪を染めることに興味がない人には向かない」と解釈し、応募を避ける求職者もいます。回避策として、派手な人だけを募集しようとしているのではない点を補足しておくと安心感のある表現になるでしょう。

身なりについて一定の基準がある場合、髪色の明るさは日本ヘアカラー協会のレベルスケールで目安の明るさを示すことができます。また、求人原稿で実際に働く人の写真を掲載することで髪形や髪色に関する程度感を伝えることができるでしょう。

求人原稿での記載例①(完全に自由の場合)

お客さんとの接点がないため外見は何でも自由。金髪、パーマ、着帽、ジーンズ…スタッフは色々な格好で働いています。派手目のネイルやつけまつげもOK。派手な身なりだからといって注意されることは特にありません。もちろん大人しい恰好の人もいますのでご安心ください。

求人原稿での記載例②(一定の基準がある場合)

長髪・茶髪OK(目安としてヘアカラーのレベルスケール7番まで)。無精ひげは禁止ですが、整えていればOKです。イヤリングは、シンプルなデザインのものを耳たぶに着用できます。

求人原稿に表記できることには限りがありますので、面接の際にアルバイト時の身なりについて詳しく説明をしておく必要があります。採用後になって身なりについて注意してしまうと、「説明されていない!」と反発を買ったり早期離職に繋がってしまいます。働く人の納得する形で「身なり自由」を導入し、人手不足解消に役立ててみてください。

【参考】アルバイト選びの際に重視している身なりとは?

  • 1位 髪色自由 (149票)
  • 2位 髪形自由 (118票)
  • 3位 服装自由 (94票)
  • 4位 ピアスOK (48票)
  • 5位 ネイルOK (37票)

※調査サンプル数1,000人

まとめ

身なり自由を重視する人は束縛されることに抵抗感があり、自分らしく働きたい志向性が強い。
応募を逃がさないため求人原稿では身なりは記載した方が良い。どこまで自由なのか程度感が分かるレベルで記載することがポイント。働くスタッフの写真を載せるのも有効。
面接の際はアルバイト時の身なりについて詳しく説明したい。

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