我ら「ただの高齢者じゃない!」スーパー元気なシニアアルバイト集団のアジトを潜入取材!

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我ら「ただの高齢者じゃない!」スーパー元気なシニアアルバイト集団のアジトを潜入取材!

「アルバイトレポート」からいわゆる高齢者シニアのアルバイトの取材を頼まれたので、早速探してみることに。調査を進めていくと、高齢者が働ける仕事内容や職種は極めて少ないということが判明。そんな中で、もっと面白い仕事をしている高齢者っていないのかな?と、更に探していると、輝きを放っている高齢者アルバイターグループを発見!「せめてしゅういち」この変てこりんなネーミングの集団(総勢現メンバー10名)はどうやら、自分たちでアルバイトを生み出す高齢者達だというので、早速、私、ガテン系ノンビリスト♪であるライターのCana( Twitter @lukecana )が突撃取材をしてきました!そのユニークなメンバーである7名にインタビューをして、シニアの働き方の秘訣を探ってみようと思います!

場所は、二子玉川駅界隈にあるNPOら・ら・らが運営する「らくちん堂」というカフェ。どうやら、ここが「せめてしゅういち」のアジト。

中に入ってみると…
壁一面の本棚には、演劇関係の本を中心に、面白そうなマニアック本が山のように置かれたお洒落なカフェ。なのに、なぜか奥の方には座敷っぽい空間があり、夏休みで暇を持て余した子どもが寝っころがってマンガを読んでいる。また、老若男女入り交じり、美味しそうな食事を囲みながら、み〜んなタメ口で、楽しそうに語り合っている自由空間…と言うことで、私も尊敬の念を持って、ここのルールに乗っ取り、遠慮なく名前は呼び捨て&オジジ・オババと呼ばせていただきます。笑

ここは、元々イッセー尾形さんの舞台稽古場として使っていたのですが、活動を休止したその後、この場所を持て余すのは勿体ないということで、カフェをオープンしたそうです。

「せめてしゅういち」のリーダー お茶目なパワフルオババ 清子 65歳。

なぜ『せめてしゅういち』を始めたのかを聞いてみると「高齢者って、一般的には60歳以上の人のこと。“高齢者”のイメージって、“縁側でお茶をススっている”みたいに思われがちでしょ。でも現実は、体力も気力も元気もあって、今のジジババは、一般的に言う「高齢者」のイメージからかけ離れているのよ。実際、元気なのに老人扱いされるうちに、落ち込んだり、引きこもったりして、だんだん気力がなくなってしまう。これじゃ悪循環でしょ。ある時、ひらめいたのは、60歳以上の人が頭寄せ合って喜びある職場を創るってこと。自分たちで仕事をつくって、いつまでも元気で活躍できる場を!と始めたの。参加者が、発案・企画・制作をする場を提供し仕事にしていく。それぞれに負担にならないように“せめて週1回でも”って事で『せめてしゅういち』と名付けたのよ。そのうち名前も変わって“すでにしゅうさん”とか“もはやしゅうご”とかになるかもね。」とのこと。

とにかく、清子に会えば分かるけれど、元気、元気スーパー元気!

さて、「取材です。」と、“らくちん堂”を訪ねてから、ひと際熱い視線を送ってくるオジジが。

その名は、ダンディMr.新屋 68歳 人生満喫中。
真っ昼間からビールを飲んでご機嫌さんですが、アルバイトは、なんとシニアモデル。

こんな具合に、シニアモデルとして活動しています。元は、大手製造会社の営業マンをしていたMr.新屋は、毎日眉間にシワを入れながら、売り上げ向上のため部下を怒鳴りつけていたそうです。それが、今やスマイルが売りの爽やかシニアモデルに。リタイア後は、地域に貢献しながらのんびりしようとしていたダンディMr.新屋ですが、お友達がモデル事務所に勝手に写真を送ったことがきっかけで、シニアモデルになったそうです。どうせモデルをするのなら演技の勉強をした方がいいぞ。と知り合いだった、後で登場する加藤オジジに勧められて、“せめてしゅういち”にやって来たのがきっかけだとか。今では、かつての敏腕営業マンのキャリアを生かして、“せめてしゅういち”が主催する演劇ワークショップ、らくちん堂カフェや、イベントに人をたくさん連れてきて、収益を上げる重要な役割を担っているそうです。また、“せめてしゅういち”に欠かすことのできない俳優へと成長中なのだとか。元気な限りいつまでも働き続ける意気込み!

次なるオババは、お料理上手な千鶴子 69歳。

専業主婦だった千鶴子は、48歳にして初めて清掃会社で正社員になり、65歳の定年後はパートに。現在は早朝にスタジオの掃除に行き、その後、らくちん堂のカフェランチを担当しているという若者級アルバイター。「私ね、どの仕事も好きなのよ。雑にしたくないから、やることはしっかりとやる!」と。カッコイイじゃないですか〜。らくちん堂のおいし〜いランチメニューは千鶴子が考えているそうです。

これが、いつも前日に“らくちん堂カフェ”にfaxで届くという千鶴子のレシピ。いつか本にしてくれないかな〜。

そして、控えめな新人 順子さん ※控え目な方なので特別「さん」づけ 66歳。

63歳までOL、その後、区議会員の元で3年働いたという順子さんは、現在、ランチアルバイト部隊の一人。最近、“せめてしゅういち”にデビューしたばかり。順子さんは、実はマンドリン奏者で、高校生の時からやっているというから、かなりの腕前のはず。

そんな千鶴子と、順子さんの作る美味しそう過ぎる「まかない」をご覧ください。

美味しそうでしょ〜♪
パンは若いスタッフのお姉様が作っております♪

さて、お次は、おもしろオジジ 山渕氏 69歳。

この乱れ髪のオジジ、何者かと思えば、実は、相当デキル経営指導者であり、大手予備校の人気講師なのだとか。“せめてしゅういち”では、らくちん堂カフェを利用して、簿記の先生を担当し、子どもたちや希望者に教えています。

授業を少し見学させていただきましたが、いや〜これはスゴイ!とにかくこの山渕氏の講座、ヤバイほど教え方が面白い。突然、大声で「よろし〜い!」とか、「そのと〜り!」など励ましの言葉がたくさん飛んでくる。それが面白いだけではなく、見事ポイントを抑えている。難しい簿記もこんな風におもしろおかしく教えて貰えたのなら、頭に入ってきそうです。“人気講師”と自分で言っているだけでなく、本当の話だと思います。笑
ちなみに、たったの10日間、このオジジの講座を受けたら合格するというのだから、ちょっと試してみたい気も。

さて、お次はせめてしゅういちの“スチャラカ社員”の加藤オジジ 68歳。

加藤オジジは、“せめてしゅういち”の立ち上げメンバーの一人で、清子夫妻の古くからの友人。かつて、東京の人なら耳にしたことがあるいくつかのラジオ番組の制作をしていたという名プロデューサー。現在は退職したので、アルバイトで番組制作をしているという。

加藤オジジは、“せめてしゅういち”にて、素人(フツーの人々)と演出家によって創る「ラジオドラマ」の制作担当。これが、独特な世界観と緊張感があって本当に面白い。「せめてしゅういちとは?」と聞いてみると、加藤オジジ曰く、「60年も生きてきたら、だいたい誰しも得意なことを何か持っているもの。過去の肩書きに縛られず自由な発想で、ジジイ・ババアたちがアイデアを出し合い実行していき、お金にしていくところ」とのこと。

そんな加藤オジジのもう一つの役割は、子どもを外に連れ出すお仕事。目の前に流れる多摩川へ釣りに連れて行ったり、様々な外遊びを教えたりするのだとか。子どもたちも、こんなオジジと遊んだら絶対に楽しいよな〜!

さて、最後に大物が残っていました。
せめてしゅういち、らくちん堂のドン。イッセー尾形の舞台を作ってきた舞台監督、演出家の雄三 68歳。(清子の旦那)

部屋に入ってきたら、ピンとした空気感が漂う静かな気迫がある。そんな雄三は、中学の頃からず〜っと一度もブレずに演劇に携わり続けているのだとか。

ラジオドラマは、雄三が導いて、どんどん展開されていく。なぜ、素人を使ってラジオドラマをするのかと聞いてみると、「年寄りはね、すぐに自慢話しをするから嫌われちゃうでしょ。だから、そういうことは、フィクションの世界でやりなさいよ。そしたら笑い話になるでしょ。年寄りが嫌われないようにするためには、ラジオドラマが必要なのよ。」と。雄三の高齢者に対する愛情から生まれた、せめてしゅういちのラジオドラマ。これをどのようにお金に変えていくのかが今のテーマだそうです。

らくちん堂では、夜働くお母さんのサポートとして子どもを預かることもしていて、その際、子どもたちは、このオババ達のたっぷり愛情ご飯と、超濃いキャラの夫婦である清子と雄三に挟まれて寝るという特典つきらしい。
みんなのお父ちゃん、じいちゃんの役割をしている雄三。

歳を取るってことは楽しいんだぜ!と、オジジとオババ達を励まし、高齢化社会を活性化してくれる「らくちん堂のせめてしゅういち」でした。これから、発展して日本中に元気な高齢者アルバイターがいっぱい出てきたらいいな。

<取材協力>
せめてしゅういち
http://www.issey-ogata.net/semeshu.html
イッセー尾形・ら株式会社
http://www.issey-ogata.net/index.html
らくちん堂café
http://lalala-raku.sub.jp/cafe/index.html
NPO法人ら・ら・ら
http://www.la-la-la.or.jp/index.html

<編集後記>
老人もブッ飛んじゃえ!
“せめてしゅういち”のオジジとオババを見ていて思ったのは、シニアと言われる年齢ですが、誰ひとりとして年寄り扱いをして貰おうなんて思っていないこと。むしろ与えることを喜びとしている。そしてとにかく明るく笑っている。これが、若さの秘訣なのだと思う。「働ける限りは働きたい。」そんな前向きな言葉が“せめてしゅういち”のメンバーの口からは飛び出してくる。身体は確かに老いていくのかもしれないけれど、心がオジジとオババにならない。年寄りだから、「年寄りらしく」なんてことは全く必要なく、年寄りだからこそフィーバーする。そんな姿に元気をもらいました!

高齢化社会に光を見ました!
経験や適正を活かせる場所があれば、まだまだ活躍できるシニアが日本の至るところにイッパイいるはず。日本中のオジジとオババが明るく、楽しく、前向きに輝ける、また活躍できる場所を見つけ出すことができたのなら、「高齢化社会が心配」なんて、そんな暗い話しはなくなるはず。このような活動が日本中に広まっていき、そのような場が日本各地にできれば日本の未来はもっと楽しくなりそう!取材に協力して下さった、元気でステキなオジジとオババに心からありがとう〜と叫びたい。

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