アパレル業界の採用担当者必見 分析!アパレル販売の仕事探し

  • 業界別求職者動向

 

ファッションに敏感な若者の間で人気が高い「アパレル販売」は、一見華やかで人手不足とは無縁の職種のように思える。しかし、アパレル希望の求職者でも、「販売職が未経験で知識がない」「洋服は好きだけどセンスに自信がない」といった不安から応募に踏み出せなかったり、学業に忙しい学生が勤務日数などの条件が合わず、応募を諦めたりすることも多いようだ。
人手不足の近年、幅広いターゲットに「ファッション販売の楽しさ・面白さ」を伝え、採用につなげていくことが必要となっている。そこで今回は、アパレル業界でアルバイトをする人々の仕事観について特徴をまとめ、業界で働く魅力を伝えるポイントについて考えてみたい。

調査概要

【調査実施】 2012年4月
【調査対象者】 全国の15~34歳の男女で、直近の就業形態が「アルバイト・パート」の人。
※うち、「アパレル販売」=直近就業していた仕事が「アパレル販売」の人。サンプル数は各グラフの中のn参照。
■グラフ1-2/平均時給:.弊社発行の求人情報サービス「an」に掲載された求人広告から「人材派遣業/接客を含む種類提供職種」を除き集計

1 アパレル販売スタッフの就業者現状

読み取れるポイント

  • 女性が9割以上を占めており、属性別ではフリーターと主婦が多い
  • 年代別では20代が多く7割弱を占めている
  • 平均時給(弊社求人広告から算出)は2013年1年間の平均で914円であり、全体(全職種総計)の977円より低い

【グラフ1-1】アパレル販売スタッフの現状 【グラフ1-2】平均時給推移

フリーターと主婦の20代女性が多数を占めている

採用については、女性の活用を拡大することはもちろん、現状シェアの低い10代の学生や男性フリーターなどを採用していく方法も模索したい。また、平均時給が全体より低いなかでも、時給以外の魅力を継続的に感じながら働く環境を作ることで、離職を防ぐことができるのではないだろうか。具体的な方法について、以下のデータを参考に考えていく。

2 アパレル販売スタッフの希望条件

読み取れるポイント

  • 時給は900円台を希望する人が3割強と最も多い。次に800円台と1000円台を希望する人が多く、2割強ずつ存在する
  • 勤務日数・時間は、1日8時間×週5日で働きたい人が多い

【グラフ2-1】希望時給 【グラフ2-2】希望勤務日数 【グラフ2-3】希望勤務時間

高い時給を望んではいないが、長時間勤務を希望している

時給にこだわるより、長時間しっかり働くことができる環境を望む層は、「働く」ということに対して意識が高く、仕事内容や得られるスキルに強く興味を持つ傾向がある。募集原稿には「どのような仕事をして、どんなスキルが身につくか」「働くためにはどのくらいのスキルがあれば良いか」などを明記することで応募意欲を高めることができるだろう。やりがいやキャリアアップの流れなどを明記し、働くことで得られるものを具体的にアピールするのも効果的だろう。
比較的10代のスタッフが少ないのは、長時間勤務や勤務日数が多い印象があるからだと推測される。条件を緩和して多様な働き方に対応できる体制にすることで、採用ターゲットを広げることができるだろう。例えば、繁忙期の短期募集でも、「仕事内容やスタッフの雰囲気を気に入ってくれれば長期雇用も可能とする」など、応募へのハードルを下げるように工夫したい。

3 アパレル販売希望者がバイト探しで「重視するポイント」

読み取れるポイント

  • 最も重視するのは「興味のある仕事内容であること」。また、「店長や社員の人の雰囲気が良いこと」へのこだわりも、全体に比べて高い
  • 「勤務地が自宅から近いこと」や「給与が高いこと」へのこだわりは全体に比べて低く、仕事内容に興味があれば条件へのこだわりは低い様子がうかがえる
  • 「自分にはできそうな仕事であること」が全体に比べて大幅に低い

【グラフ3】バイト探しの重視点

勤務条件よりも仕事内容を重要視している

一口にアパレルと言っても、「洋服」「雑貨」「靴下」など扱う商品はさまざまであり、求職者によって受け取る印象が異なる。ブランドやコンセプト、仕事内容についてしっかり記載することで、応募者との認識の違いがなくなるだろう。
仕事内容については、特に接客スタイルを記載すると「働く」イメージを抱きやすい。お客様について回りながら細かく商品案内を行うのか、基本的にはレジに立って接客するのかなどを具体的にすると良いだろう。在庫整備やPOP制作などの裏方で行っている仕事内容を垣間見せたり、スタッフ割引といった働く上でのメリットを明記したりするのも有効だ。
また、「販売職が未経験で知識がない」「洋服は好きだけどセンスに自信がない」などの不安を抱える求職者も多い。興味があっても踏み出せない人に対して、「未経験者歓迎」とアピールするだけでなく、「最初はレジの使い方など基本的なところから教えます。慣れてきたら、商品陳列や季節ごとの店内ディスプレイもお任せします」「自社ブランドの服を無料でお貸しするので、仕事時の服装については安心してください」というように、原稿へ具体的に記載することで、求職者に安心感を持ってもらえるだろう。

4 バイトを辞めた理由

読み取れるポイント

  • 辞めた理由は「店長や社員の雰囲気が悪いから」「もっと良い条件の仕事が見つかったから」「給与が低いから」が多く、他業種を含めた全体と比べても高くなっているのが特徴的
  • 「仕事内容」に興味を失うことは比較的少なく、「ファッション」に興味がなくなるわけではないようだ

【グラフ4】バイトを辞めた理由

仕事内容よりも職場環境が理由で退職する人が多い

長時間働く傾向が高く、時給より仕事内容を重視して求職したスタッフたちは、何より働く環境を重視する。スタッフの年齢層や店長とスタッフの関係などを原稿に明記し、お店の雰囲気を事前に伝えておきたい。面接などでもできるだけ詳しく普段のやり取りのようすを伝え、実際に働いたときに意識の相違がないようにすることで離職率が下げられると考える。
また、日頃からスタッフの要望や意見をヒアリングすると共に、商品管理や運営の仕事などを任せるといった業務内容のステップアップについて具体的に見える形にしておきたい。コミュニケーションを密にとり、不満の種をつみとっておくことが、離職率を下げるためのポイントとなる。

vol.73 : PDFダウンロード

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