アルバイトレポート特別座談会「人事担当者から見た“いい店長”とは」

  • お役立ちインタビュー

2/7更新のトレンドDATAによれば、仕事探しをする時に「店長や社員の人の雰囲気がよい」を重視する人が約半数近くいることがわかりました。アルバイト・パート採用においても、店長力が大きなカギを握っていることが読み取れます。今回、店長力の高い店長とはどんな人なのか?を考察するために、従業員の多くがアルバイト・パートである大手3社の人事担当者に、その本音を語っていただきました。

目次

【座談会参加者】

(株)ゼンショー

すき家カンパニー 営業推進部 教育課 マネジャー 藤原滋さん
人事部 人財開発課 主任 鈴木弘子さん

(株)ゼンショーベストクルー 採用企画課 マネジャー 石山朋広さん

事業概要:郊外型ファミリー牛丼店「すき家」を全国的に直営展開する他、多種多様な業態のフードサービスチェーンを経営。牛丼チェーン店舗数は日本一。今回は「すき家」における理想の店長像について語っていただいた。同社ではアルバイト・パートの従業員を「クルー」と呼んでいる。http://www.zensho.co.jp/jp/index.html

(株)三光マーケティングフーズ

総合企画ユニット 人事総務部 人財開発グループ マネジャー 向山幸代さん
総合企画ユニット 人事総務部 人財開発グループ 高橋悠介さん
事業概要:「東方見聞録」「月の雫」「金の蔵Jr.」など、国内では11ブランドを中心に全国展開。ドミナント戦略で総合フードビジネス業として急成長を遂げている。同社ではアルバイト・パート従業員を「クルー」と呼んでいる。http://www.sankofoods.com/

(株)ニトリ 東京本部

人材採用部 採用オフィス マネジャー 高橋佳孝さん
人材採用部 採用オフィス マネジャー 玉上宗人さん
事業概要:家具・インテリア用品の企画・販売、新築住宅のコーディネート、海外輸入品・海外開発商品の販売事業を手がける。1967年にスタートし、現在、全国200店舗以上を展開するナショナルチェーンに。http://www.nitori.co.jp/
※従業員の呼称が各社異なりますが、今回の座談会ではアルバイト、もしくはパートと表現させていただきます。
※役職名は取材当時のものです。

前編 各社の「いい店長」を探る

 

いい店長は、従業員のモチベーションアップが上手

まずは、各社どんな人が店長になっているのか、教えてください。

ゼンショー/石山さん 「すき家」の場合、新卒で入社し、2年目ぐらいから店長として現場に立ってもらっています。
ほとんど20代前半です。

三光/向山さん 入社後、店舗業務を一通り習得できたメンバーが店長職についていきます。当社は完全実力主義の会社ですので、早いメンバーであれば3ヶ月で店長職についていたりもします。店長職はあくまで次のステップに進むためのプロセスの一つと位置づけています。

ニトリ/高橋さん 当社は入社後、店舗を7~8年経験してもらった上で店長に登用しています。現場での作業を完全にマスターしてもらうには、それだけの時間を要すると考えているからです。30歳前半の店長が多いですね。

 

では早速、いい店長の共通項を探っていきたいと思います。まずは、各社の考える店長像についてお聞かせください。

(株)ゼンショー 藤原さん 鈴木さん 石山さん

(株)ゼンショー 藤原さん 鈴木さん 石山さん

三光/向山さん 当社が考えるいい店長とは、QSC(※編集部注:「品質<Quolity>」「サービス<Service>」「清潔さ<Cleanliness>」の頭文字を取ったマーケティング用語)を高い状態にさせることができ、また、アルバイト・パートさんをモチベートでき、能力を引き出せる人。従業員の方の年齢層が実に幅広いのですが、どの人にも働くことの付加価値を感じさせてあげられるのが、いい店長です。

ゼンショー/藤原さん 「すき家」も若い店長が多いわけですが、だからこそ、若さを武器、活力にして積極的に現場で知識や経験を積み重ねようとする人が、当社にとってのいい店長です。現場では、店長もアルバイト・パートさんと同じ仕事をするわけですから、“まずは、自分がやって見せる”、すなわち率先垂範できることも重要です。そんな店長の後ろ姿を見て、アルバイトさんたちも仕事が楽しく思える店にできる人がいいですね。

ニトリ/高橋さん 店長になるためには、店舗作業を完全にマスターしてもらうことが条件ですが、それだけではいい店長とは言えません。作業をマスターした上で「もっといい方法はないか」「アルバイト・パートさんたちを楽にさせる方法はないか」といった改善改革案を出せて初めていい店長と評価できます。

ゼンショー/藤原さん 三光さんが最初におっしゃったように、アルバイトさんのモチベーションをアップできる店長は優秀です。そのためには、普段からの接し方がポイントになってきます。当社の場合、店長とアルバイトさんの年齢が近いので、トップダウンで指示を出すのではなく、まずは素直に話を聞くというスタンスを取るようにしてください、と店長たちに話しています。その上で、お互いに歩み寄れるところを探し出し、相手を納得させるというか、腑に落ちるようにする。それができている店舗はアルバイトさんも意欲的に気持ち良く働いています。

ニトリ/玉上さん 腑に落とすってすごく大事ですよね。当社は一週間の中で実に様々な作業プロセスがあるのですが、一つひとつは案外単純作業だったりします。だからこそ、その作業がどういう意味を持っているのか、どういう成果に結びついていくのかを、ちゃんとパートさんに理解してもらう必要がある。何も説明せず、ただ、一方的に「次はこれやって」では作業する側のモチベーションは下がるばかり。当然、作業効率も悪くなります。

 

コミュニケーション力のある店長は強い

いい店長かどうかは、アルバイト・パートさんとのコミュニケーションが上手かどうかで決まってきそうですね。

(株)三光マーケティングフーズ 高橋さん 向山さん

(株)三光マーケティングフーズ 高橋さん 向山さん

三光/向山さん そうですね。特に店長の、アルバイト・パートさんへの話し方、伝え方というのは重要だと思っています。店長は社員ということもあり、自分なりの仕事観や使命感、様々な想いを持って日々の業務に取り組んでおりますが、アルバイトさんの場合、そこまで気持ちが醸成されていない方も多いのではと考えています。店長がいかに作業の意義を説明するか、何をしてほしいかをどう伝えるか次第で、モチベーションもガラッと変わってきます。

ゼンショー/鈴木さん アルバイト・パートさんに対して、課題の与え方が上手だと、いい店長だなと思います。それはもう本当にものの言い方一つみたいなところもあるのですが、アルバイト・パートさんのモチベーションをどう上げるのか、そのためにどんなふうに課題を与えるか。そこは店長の力量が問われるところです。

ニトリ/玉上さん 単純作業がどんな成果につながるのかをちゃんと話せる店長は従業員からの人気も高いです。相談しやすい、話せば答えてくれる、わからないことはわからないとはっきり言える人っていうのも、現場での信頼度は高いですね。

ニトリ/高橋さん でも、アルバイト・パートさんに人気が高くて、誰からもいい店長と言われているのに、売場がぐちゃぐちゃという人もいます(笑)。みんなの話を時間かけて聞き過ぎてしまうがゆえに、作業がパンクしてしまったわけです。その結果、売上も下がってしまうことも。だから、従業員にとってのいい店長と、会社から見たいい店長には差があるかもしれません。

三光/向山さん ニトリさんの場合、与えられた課題や作業に対して、アルバイト・パートさんが成果を出した場合、ただ褒められるだけでなく、金銭的な評価もあるのですか?

ニトリ/高橋さん 作業を段階的に習得してもらう制度があり、それをクリアし難易度が上がれば、時給もアップするシステムになっています。だから、時給1600円、1700円のパートさんもいます。優秀なパートさんは準社員登用し、トレーナーとして活躍してもらうこともあります。

三光/向山さん パートの方々も頑張りやすい制度があるわけですね。

ニトリ/玉上さん 基本的に、ベテランのパートさんには社員の教育係にもなってもらっています。謙虚にかつ積極的にパートさんから学ぼうという姿勢がない店長はダメです。パートはパートと区別して考えるようでは店長失格です。

教育上手な店長も高く評価

コミュニケーション力も含めて、いい店長に必要なスキルについてうかがいたいのですが。

(株)ニトリ 高橋さん 玉上さん

(株)ニトリ 高橋さん 玉上さん

三光/向山さん 教育力も店長には必要な能力です。実は昨年12月から、アルバイト・パートさんは1日4時間シフト勤務という体制に統一しました。それまで8時間近く勤務していたアルバイトさんも4時間にしてもらい、その代わり人数を倍以上に増やしました。その結果、多いところで1店舗につき100人ものアルバイトさんが働いている店もあります。一人ひとりの勤務時間が短く、かつこれだけの多人数のバイトをどこまで育てられるか。それも、当社の店長にとっては大きな課題です。今、当社の取り組みとしては「店舗内組織」を作り、クルーの中でも特にできる人財を選出し、そのメンバーを店舗内幹部とし、店長は店舗内幹部をいかに育てグリップするかを意識して店舗運営をしております。

ゼンショー/藤原さん 運営力でしょうか。基本的に店舗マニュアルはあり、動作や作業に関しては全国統一です。でも、それだけやっていてもうまくいかないのは、みなさんのところと同じ。その上で、いかに店を繁盛させていけるか、いかに従業員を上手に活用できるかは、店長の考える力次第です。店舗運営、人材活用に関しては店長の自由裁量に任せています。自分自身で考えることができない人は、その後マネジメント職にはつけません。

三光/向山さん どれだけ生産性を上げられるか、どうすれば効率よく店舗運営できるか。よりよいサービスを提供するにはどうすればいいのか。そこをしっかり考えつつ、従業員を育てていける力を店長には求めていますね。

ニトリ/玉上さん 今のニトリの店長に、一番求められる能力はシフト組みかもしれません。「この曜日のここに何人必要で」と人数だけでシフトを組んでいるようではダメです。パートさん一人ひとりのスキルを把握し、何曜日の何時にこの人にこの作業をやってもらおう、この人とこの人は仲が悪いので作業効率も落ちるから一緒にするのはやめようとか、人材の配分やバランスが絶妙な感じでシフトが組める店長は、実際のところ売上を伸ばすのも得意です。

ニトリ/高橋さん 当社のポリシーとして、接客専任という従業員がいないのですが、家具という商品は接客をしなければ売れません。となると、接客要員を作らなければならない。そこで、いかに接客のレンジを作っていくかを念頭に置いて、作業の標準化効率化をしていく必要があります。それをシフト組みによって実現する店長こそ、まさにデキル店長というわけです。

店長力に比例して業績もアップ

前半の部分で、「シフト組みの上手な店長は売上も伸ばしている」というお話が出ましたが、いい店長かどうかで業績も変わるものでしょうか。

「コミュニケーションがうまく取れている店長は、売上も高い」と語るのは、ゼンショーの藤原さん(写真右)

「コミュニケーションがうまく取れている店長は、売上も高い」と語るのは、ゼンショーの藤原さん(写真右)

 

ニトリ/高橋さん 以前は、店長の力量によって売上が如実に変わりました。次の店長がくると業績がガクンと下がったりなんてことが多かったです。それではいけないというので共通のマニュアルを作成しました。でも、やはりどうしても店長によって業績は違ってきます。結局、コミュニケーション力のない店長は、売上も作れないというところにつながっていくような気もします。

ニトリ/玉上さん パートさんに厳しく、いつもいつも叱りつけて、という教育方法で売上を上げているという店長も中にはいます(笑)。でも、そういう店は退職率が高いんです。その結果、新規採用費用がかかり、利益は減る。だから、売上も出しながら利益も出せるというのがいい店長でしょうね。売上がどんなに高くてもパートさんのモチベーションが低くて、他店が3時間かけている作業をその店では5時間かけているということもあります。従って売上だけを店長の評価基準にすることは、ニトリでは難しいですね。

ゼンショー/藤原さん 従業員とコミュニケーションがうまく取れているところは、売上としても高い数字を出しています。店長にコミュニケーション力がないと売上も下降ぎみ。また、教育が上手な店長も業績はいいです。アルバイト・パートさんをちゃんと育てられると売上もおのずと上がっていきます。

三光/向山さん もちろん、売上は店長の力量によるところが大きいと思うのですが、当社の場合、どのお店も比較的立地のいい場所なので、お客様にいらしていただきやすいということもあり、そこに甘んじてしまう面も無きにしもあらずなんです。ですから、今後店長の力でどう売上を伸ばしていくか、そのためにどういう仕組みを作っていくかが大きな課題です。
お陰様で当社は急成長させていただいておりまして、今期も50店舗ほどの出店予定があります。質をキープしながらの店舗展開をしていくためには店長の力量を上げる仕組み作りにも力を入れていかねばなりません。

ニトリ/高橋さん そこは難しいところですよね。私自身は会社が急成長している時に入社したので、普通なら7~8年後に店長になるところ、4年半で店長になったんです。よくわかってない中で右往左往し、お客様のクレーム対応にうかがっても「お前じゃ若すぎて話にならん」と言われたり。でも、そうやって社員自身が課題にぶつからないと会社も伸びていかないことも事実。とにかくやってもらうしかないですよね。

いい店長にはコミュニケーションを取ろうという行動力がある

いい店長というのは、どんなふうに従業員の方とコミュニケーションを取っているのでしょうか。具体的な事例をうかがいたいと思います。

「店長が情報を得るには『こうした方がいい』と気軽に言える雰囲気作りが大事」と、ニトリの玉上さん(写真右)

「店長が情報を得るには『こうした方がいい』と気軽に言える雰囲気作りが大事」と、ニトリの玉上さん(写真右)

ニトリ/玉上さん アルバイト・パートの人たちが、「こうした方がいいよ」「ああした方がいいよ」と気軽に言える雰囲気を店長が普段から作っておくと、いい情報が入ってきますよね。特にパートさんは地元の方が多いので、地域に根差した細かな情報を持っています。例えば、私が店長の時も「この日は地元のお祭りがあるから、午前中はお客さん来ないわよ」と教えてくれたパートの方がいました。それを受け、その日の午前のシフトを思い切り削り、無駄のない体制にしました。出勤した人は、店のコンデイションを整えるのに午前中いっぱい使って、午後からは売る方に専念してもらい、一気に売りましたね。

三光/向山さん 売上を上げる店長は、自分のところに情報が勝手に集まってくるような種まきを、普段の業務の中で自然に行っていますね。

ニトリ/高橋さん 「すき家」さんは24時間営業ですよね。でも店長が24時間ずっとお店にいるわけではないでしょう。店長と会話もできない従業員さんもいるのでは?

ゼンショー/藤原さん おっしゃる通りです。会えたとしてもそんなに長く一緒にいるわけでもない。そんな中でどうコミュニケーションをとるかは各店長の課題です。私が店長の時は、会えないアルバイトさんに対してはメールしたり、書き置きを残したりしていました。また、今は営業推進部に所属して何店舗かのアルバイトさんの教育を担当しているわけですが、約200人の名前とパーソナルデータは把握しています。なるべくどの従業員とも顔を合わせて話をしておきたいのですが、深夜勤務の人だとそうもいかないので、週一回は始発で行って会うようにはしています。とはいえ、もちろん全員にそうするわけにもいかないので、自分なりに優先順位をつけてコミットしていくよう心がけています。

三光/向山さん 当社も、アルバイトさんたちはみんな勤務時間がバラバラですからコミュニケーションをとるのが大変です。少しでもコミュニケーションを取ろうということで、「一人のアルバイトさんに対して、1分でもいい、1時間の中で1回は話しかけよう」という運動を推奨しています。それを実践すれば、アルバイトさんは4時間勤務なので、合計4~5分は話したことになります。店の混雑もあり、なかなか全員の店長ができているわけではないのですが、可能な限りやりましょう、と。アルバイトさんのモチベーションを上げるものの一つとして「私は、あなたをちゃんと見ていますよ」という店長や社員の姿勢って大きいと思うんです。

三光では、「一人のアルバイトに対し、1時間の中で1回は話しかけよう」という運動をしている(三光の向山さん:写真中央)

三光では、「一人のアルバイトに対し、1時間の中で1回は話しかけよう」という運動をしている(三光の向山さん:写真中央)

ニトリ/高橋さん 褒めるのが上手いっていうのも大切ですよね。私なんかは大げさに褒めましたね。アルバイトさんは叱っても伸びません。それぞれにいろんな事情があって仕事をする必要があるから働いているという方がほとんどで、別にニトリを愛しているからというわけじゃないですから(笑)。

ゼンショー/藤原さん 気づけて、褒める店長がいいですよ。例えば、アルバイトさんの一人が、何も言わないのにきれいに掃除をしてくれていた。そこに気づける店長は、売上も取れます。昨日店長が指示を出して、今日確認したらそれがしっかりできていた。そこで褒められない店長はダメですね。そうやって人を掌握するスキルは大切です。全体把握と細部把握。両方できないと運営そのものもうまくいかないですよ。

本部は、店舗のためにある。だから、店長を支える役目も果たす

アルバイトから店長への登用というのは?

「アルバイトから社員登用され、トップマネジメントをしている人もいる」と、ゼンショーの鈴木さん(写真中央)

「アルバイトから社員登用され、トップマネジメントをしている人もいる」と、ゼンショーの鈴木さん(写真中央)

三光/向山さん アルバイトからの社員登用はあります。本人の強い希望と店長からの推薦があることが最低限の条件で、その条件をクリアした方が人事の面接へと進みます。採用基準は他の中途採用・新卒採用の方の基準と同じです。当社のアルバイトをしてきているから…と甘い判断はしません。そこで採用されたメンバーはまずは一般社員からスタートしますが、その先は完全実力主義なので、ステップアップは自身の頑張り次第です。現在、アルバイトから社員に登用され、エリアマネジャーをやっている者もいます。

ニトリ/玉上さん アルバイト出身の店長は少ないですね。優秀なパートが準社員になるケースはありますが、店長まではなかなか……。

ゼンショー/鈴木さん 当社はアルバイトからの登用も多いです。経験を積んで、オペレーションができれば、次はマネジメントへ。そこからナショナル社員になって、トップマネジメントをしている人もいます。

ニトリ/高橋さん 店長になれる基準はあるのですか?

ゼンショー/石山さん 基本は上司の推薦ですがケースバイケースです。試験は行いますが、堅い決まりはないです。ただし、アルバイトから契約社員、その後、正社員という順を踏んでもらった上で店長になってもらいます。

いい店長を育てることが皆さんの役割でもあったりするのですが、何か実際にされているフォローを教えてください。

「いい店長を育てるために、店舗間や社員間でいつでも相談し合える環境・システムづくりに努めている」と、三光の向山さん(写真右)

「いい店長を育てるために、店舗間や社員間でいつでも相談し合える環境・システムづくりに努めている」と、三光の向山さん(写真右)

三光/向山さん 他店との情報共有がしやすい環境を作るようにしています。当社はドミナント出店しているので、例えば、新宿駅前だけでも35~40店舗あります。その中には接客がうまい店長、掃除が上手い店長、コントロールがうまい店長など、いろんな得意タイプの人がいます。私たちはそれぞれが得意とすることを情報として流し、自由にやり方を聞きに行けるように導いていますね。

ニトリ/高橋さん エリアマネジャーがいて、毎月1回はエリアで集まり、情報共有するようにしています。エリアマネジャーによっては、期間限定でパートの入れ替えを行い、互いの店のやり方の違いを知ることができるようにしています。

ゼンショー/藤原さん イレギュラーなことが起こった際、どう対処すればいいかを事前にシミュレーションできる研修を行っています。また、エリアミーティングや勉強会も行い、様々な情報が共有できるようにしています。

ニトリ/玉上さん 今、実は教育制度を改革しようとしているところなんです。作業をマスターするという話をしましたが、技術的なことは続けていれば身についていきますが、モチベーションをいかにキープするかは、実は店長職にある人間にとっても大事なこと。当社は様々な部署があるので、ジョブ・ローテーションによる気持ちの切り替えも可能なのですが、それだけでも難しくなっています。メンタル面でのフォローをどうしていくかが課題でもありますね。

三光/向山さん そうですね。何度か行う研修で出会った先輩や、私たち採用&教育担当が、何かあればすぐに相談できる“メンター”としての役割を果たすようにしています。彼らの気持ちを常に奮い立たせてあげられる、そんなシステムを模索しているところでもありますね。

いい店長を育てることが、より質の高いアルバイト・パートの育成につながっていきそうですね。また、モチベーションアップや従業員とのコミュニケーションをとるために様々な施策を実施されていることに驚かされました。
本日は貴重なお話、ありがとうございました。

【ポイント】店長力を上げるためには?

 

  1. 現場でのオペレーションに精通しており、従業員の模範的存在になれるだけでなく、業務効率化のための改善案を提示していく。
  2. 本部と店舗のつなぎ役として、今の作業がどんな成果を作るのかを語る。
  3. 従業員を「盛り上げる」ことを意識する。従業員がどんな人なのかを詳細に把握し、うまく褒めていくなど、各人のモチベーションアップを心がける。
  4. 従業員とのコミュニケーションを頻繁に取る。全員への声がけが難しい場合は、普段から情報が集まる雰囲気や仕組みを作る。また、要所を押さえた個別フォローなどのコミュニケーション手法もうまく活用したい。
  5. 人事部側では各店舗のノウハウを共有する場作りや教育・研修制度設計、相談のしやすい環境整備に努めている。そういった場に積極的に参加して、自らの知見を高める機会として活用したい。

 

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