学生アルバイトが辞めない会社エー・ピーカンパニーの就活生応援プログラム

  • 企業採用成功事例

掲載企業DATA:株式会社エー・ピーカンパニー

株式会社エー・ピーカンパニー

本社所在地 東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル9F
代表取締役社長 米山 久
設立年月日 2001年10月
事業内容 飲食店及び食品販売店の経営など

 01 きっかけはあるIT企業人事担当者の来店

居酒屋「塚田農場」をはじめ、数多くの飲食店を経営する株式会社エー・ピーカンパニー。そこで働くアルバイトの多くは大学生だが、就職活動を機に辞めてしまう人も多い。その課題を解決し、より長期間働いてもらえる仕組みとして同社が取り組んでいるのが、就活とアルバイトを両立できる環境作りだ。
「弊社では、現在年間40店舗のペースで出店しています。1店舗当たり約30名のスタッフが必要になるのですが、その人員を確保するために、求人に対する応募者をどう増やすかが大きな課題です。また、一度採用したアルバイトにはできるだけ長期間働いてもらいたいというのもあります。そこで、アルバイト向けの研修を“AP大学”と称して、自己成長につながるような講座を開き、従業員満足度を向上させる取り組みを行っています」と、同社営業企画部で部長を務める森尾太一氏は話す。

ヒューマンリソース系のコンサルティング会社等を経て、3年前に入社。新卒採用や人材教育を担当する森尾氏ヒューマンリソース系のコンサルティング会社等を経て、3年前に入社。新卒採用や人材教育を担当する森尾氏。

 きっかけは、たまたま塚田農場に来店した、あるIT企業の人事担当者。店舗で働くアルバイトのコミュニケーション能力の高さやホスピタリティマインドに感心し、「ぜひ、塚田農場で働いている就活生に対して、会社説明会を開きたい」というオファーがあった。そのIT企業は学生にリーチするのが難しいことなど、新卒採用に障壁を感じていたという。
「従業員満足度を高める一環として、我々も大学生アルバイトを対象に就活支援セミナーを開こうと考えていたタイミングでした。そのセミナーで実際に企業さんに説明会を開催していただき、さらに選考についても弊社のアルバイトを優位に進めていただけるのであれば、中小の企業さんにとってはダイレクトに学生に認知してもらうことができます。また、弊社のアルバイトにとっても、就職支援サイトに掲載されていない隠れた優良企業と出会え、かつ選考を優遇してもらえる利点があります。さらに、弊社にとっても、こうした取り組みに付加価値を感じてもらえれば、学生がアルバイトを辞めずに長く働くモチベーションにつながります。三者それぞれにメリットがあったのです」と森尾氏。

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 02 充実した就職支援セミナー

こうしたきっかけで就活支援セミナーが2012年からスタート。大学3年生の就活生を対象に、9月から翌年2月までの半年間、毎月1回3時間程度の就活支援セミナーを実施した。

就活支援セミナー風景。各回50人~60人の大学生が参加している就活支援セミナー風景。各回50人~60人の大学生が参加している

「費用は無料で、参加自由です。弊社で働いているアルバイトだけでなく、学校の友達でも興味があれば参加OKとしました。スタート時期には、就職支援サイトでの企業の探し方や企業研究の仕方、自己分析の方法といったテーマを扱います。就活が本格化してくるとエントリーシートの書き方や面接の受け方、合同説明会の歩き方など、時期に応じた内容を実施。講師もすべて社内のリソースですし、弊社のノウハウを惜しみなく提供しています」
森尾氏自身も講師役を務めるほか、社内教育の責任者でもある取締役副社長の大久保伸隆氏も講師を務める。同氏はいくつかの大学で非常勤講師を務めている関係で、大学のキャリアセンターと情報交換を行いつつも、そこでは提供しづらい企業側の目線で指導を行えるのが強みだ。そのほかにも、セミナー参加者からの要望に応じて、エントリーシートの添削や、模擬面接なども実施している。

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03 学生アルバイトの勤続期間が1.87倍に

第1期は100人強の学生が参加。セミナーの中で説明会を開いた企業は5社で、30名ほどがその企業の選考に進んでいる。
「第2期となる今年度は、10社ほどの企業に参加をご検討いただいています。弊社でアルバイトをしている就活生は約300~400人なので、参加率をもっと上げたいですね。実際に内定者が出て、実績が上がれば認知度も高まると思いますし、セミナーの内容を充実させていくことが今後の課題です」
また、セミナーに参加した学生アルバイトとそれ以外のアルバイトの勤続期間をサンプリング調査したところ、参加した学生アルバイトのほうが1.87倍長く働いているというデータが得られたという。さらに、就活が始まると、一般的にはアルバイトのシフトを入れないようになる傾向だが、同社ではアルバイトと就活を両立させている学生が多いと森尾氏は語る。
「塚田農場では、料理の説明など、お客さまとコミュニケーションを取る時間がほかの居酒屋さんと比べて4~5倍くらいあり、おのずとコミュニケーション能力が上がります。また、マニュアル通りに与えられた仕事をするというよりは、自らアイデアを出してお客さまが喜ぶサービスを提供することを重視していますから、面接で語るネタも豊富なのです。弊社でのアルバイト経験はもともと就活に役に立てられますから、就活とアルバイトをできるだけ両立させてほしいとセミナーでも強調しています」
また、同社ではアルバイトスタッフを確保するため、求人募集においても、就活に有利に働くことや自己の成長につながることをアピールしている。時給や勤務地という要素以外の付加価値でアルバイトを探すという考え方を学生に認知してもらいたい考えだ。

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04 あらゆる付加価値がアルバイトの満足度を高める

ユニークな取り組みを行う社風を気に入り、同社にそのまま入社を希望する学生もユニークな取り組みを行う社風を気に入り、同社にそのまま入社を希望する学生も

 ほかにも人材教育における取り組みでは、塚田農場をはじめとしたエー・ピーカンパニーで扱う食材の生産者とアルバイトスタッフの交流の場を設けようと、年に1回「AP万博」というイベントを実施している。
「全国から漁師さんや農家の方に集まっていただき、生産者の方からナマの声を聞くことができます。食材についての知識を身につけて、接客やサービスに生かしてもらおうという施策です。生産者の思いを背負って働くというやりがいにもつながりますし、漁業や農業などの1次産業に入り込んでいる弊社のビジネスモデルならではの取り組みだと自負しています」
エー・ピーカンパニーのこうした取り組みは、アルバイトにも働くことのやりがいや付加価値を提供し、未来ある若者たちの夢と希望の実現に少しでも貢献したいという姿勢の表れだといえそうだ。

 

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