【セミナーレポート】“採っては辞める”のネガティブスパイラルに終止符を打つ! <令和の新しい店舗人事戦略セミナー 第1回>(2020年7月9日開催)

  • セミナーレポート

 

「ようやく採用できたと思ったのにまた人が辞めてしまった。一体いつになったらウチは充足するんだ。」
とお悩みの店長・現場リーダーの方は多くおられるかと思いますが、
パーソル総合研究所の発表によると、2030年の日本では、644万人(*1)という深刻な人手不足が予測されています。
*1)出展元:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」

新型コロナウィルスの影響もあいまって、これからの”人材確保””人材育成”はどうなっていくのか、どうあるべきなのかをお伝えすべく、接客・サービス業の現場にある人事課題を支援しているパーソル総合研究所 フィールドHRラボとアルバイト・パート採用管理システムのHITO-Managerを運営するパーソルプロセス&テクノサービス SEEDSカンパニーが協同でオンラインセミナー(全5回)を実施することとなりました。

<令和の新しい店舗人事戦略セミナー>は、“採っては辞める”のネガティブスパイラルに終止符を打つためのノウハウを100万人のアルバイト採用を推進した店舗人事のプロフェッショナルである日比谷氏がお伝えします。

今回はその第1回 <【アフターコロナ 】 コロナショックを乗り越える店舗人事のあるべき姿 ~有事でも揺るがない組織・ブランドの創り方~>のレポートをお届けします。

登壇者①

株式会社パーソル総合研究所 フィールド HR ラボ 責任者 日比谷 勉

日本マクドナルド株式会社採用部門責任者として、様々な新しい採用戦略を実施し、
計100万人のアルバイト・パート採用を推進。 “e-Recruiting 戦略の一環で
開発した自社運営のアルバイト求人サイト「マック de バイト」と一括応募を可能とした
コールセンター設立による功績は、全世界でトップ 1% の優秀な業績を残した従業員に贈られる「プレジデントアワード」を
受賞。 2018 年4月、株式会社パーソル総合研究所入社。アルバイト・パート領域に特化した調査・研究・コンサルティングを行う「フィールド HR ラボ」を設立。

登壇者②

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 SEEDS COMPANY 野田 歩美

大手外資系アパレル会社にて10 年間ストアマネージメント業務に従事。
リファラルやスカウト型採用を駆使して 人員充足を達成し、採用難店舗にて CS 改善率全国 1 位、
売上達成率上位ランクインを実現 。その後、医療・福祉系人材紹介会社にて、営業とキャリアアドバイザーの
双方を担当。採用困難な地方エリアでのサービス立ち上げに貢献し、営業売上 BEST 5にランクイン。 2019 年 11 月、パーソルプロセス&テクノロジー(株)入社。圧倒的現場感を持った採用コンサルタントとして大手企業を中心に担当。

【前編】コロナ感染拡大から現在 採用市場の変化

新型コロナウィルスの影響を受け、アルバイト・パート求人の市場がどのように変化したのか、傾向を見ていきます。

▼就業時間や日数(シフト)への影響

約6割が「シフトが減った/減りそう」と回答しております。もし収入を維持することが必須の場合、「シフトが減った/減りそう」と回答した方は急いで新しい仕事を見つけに行く必要がありそうです。

▼求人案件数の推移

求人5月中旬時点で、4月頭から半減。
アルバイト・パートのスタッフを多く必要とするのはコロナの影響を受けやすかった接客・サービス業ですので、
予想通り急激に採用ストップがかかった様子が伺えます。

▼今後の仕事について転職を考えている割合

シフトは減っている/減りそうだが、選べるほど求人数がないと思っているからか、ここでは、変えないという回答が多く見られます。
しかしながら、そこから「転職せざるを得ない」状況になってしまったのか、実際は、コロナ禍でも「営業している」「繁盛している」業界(スーパー/コンビニ/物流)への応募が殺到しており、最大で昨年同時期の163%に達しています。

【後半】コロナショックを乗り越える 店舗人事のあるべき姿

『このコロナウィルスの影響で、いい意味でも悪い意味でも、「企業の本質が見えた」のではないでしょうか。』(日比谷氏)
スピード感があり、従業員に寄り添った決断を下せた企業は称賛され、企業イメージもよくなった一方、
対応の遅れや、配慮に欠けた対応を行った企業も連日ニュースで取り上げられました。

まず日比谷氏は、『緊急事態宣言中で、自分たちだけほぼ”いつも通り”お店に立っている現場人材が抱えている感情を理解し、丁寧にケアしていく必要』と強調。

現場人材が抱えているのは、3つの不。

不安 : 「感染したりしないかな・・・」
不満 : 「社員はテレワークなのに・・・」
不信 : 「他企業と比べて手当金等の連絡が遅く、まだ情報が来ていない。大丈夫?」

3つの不が根源になり、「より安全対策がなされ、寄り添ってくれる企業へ転職」「そもそもフロントワーカーとして働くことを辞める」ことも予想されるため、”これからどう採用していけばよいか?”よりもまず ”どのようにいまいる現場人材をケアし、引き続き自社で働き続けてもらうか”が重要のようです。

では、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。
キーワードは、「Togetherness」のようです。

まずは、守り

当たり前ですが、感染症対策は万全に。
一方で、「物理的には非接触が推奨されていますが、心は接触している状態が望ましい」(日比谷氏)
何日も会わず、声もかけられずでは心が離れ、職場から人離れてしまいます。
働く意義や楽しみが見いだせなくなってしまった結果、離職予備群になってしまいます。

『感染症対策の為、物理的な距離が縮められない場合は、コミュニケーションの質を高めましょう。
店長さんたちがスタッフ間の間をつないだり、テクノロジーを使ってコミュニケーション量を担保する等駆使する必要があります』(日比谷氏)

次は、攻め

現場人材をウィルスや孤独感から守ったうえで、「有事の際でも売上を拡大する為」にできることはなんでしょう。

売上は店舗体験が最重要です。マスクでもごもごしてしまって、注文に時間が掛かってしまっているなら、
アナログですが、ペンとメモ帳を用意してオーダーを取ってしまいましょう。ハンディの導入も1つの手ですが、お金も時間もかかります。お客様に不便をかけてしまう時間は1秒でも少ない方がよいですので、まずはスピード感を重視します。

他にも、レジ前の感染症対策としてあるアクリル板や、ビニールカーテン。急ぎで手配したというのは重々承知ではありますが、ほとんどの方が通過する場所ですので、是非見え方にもできるだけ配慮頂きたいと思います。』(日比谷氏)

最後は、基礎固めです

有事の際は、「普段もっとこういうことに気を付けていればよかった・・・」というような気付きがたくさん出てきます。
店舗営業における緊急対応がある程度落ち着いたら、今後類似な経済ショックが発生しても、同じトラブルが起こらないように、自社の人材マネジメントシステムについて点検・改良することが推奨されます。

『私も「こんなことをすれば絶対&すぐ問題は解決しますよ!」ということがあればお伝えしたいのですが、
前職にいた31年、複数回の経済ショックや震災を経験しましたが、
いつだって答えは「基本に立ち返ったところ(Back to Basic)」にありました。
私が考える人材マネジメントの基本は、このフィールドHRサイクルです。
この土台が整っていれば、有事もゆるぎない組織やチームを創ることができると考えています。』(日比谷氏)

以上、『令和の新しい店舗人事戦略 』 セミナー 第1回 【アフターコロナ 】 コロナショックを乗り越える店舗人事のあるべき姿 ~有事でも揺るがない組織・ブランドの創り方~ でした。

当日使用した資料と、録画映像をご覧になりたい方は、下記リンクまで。

資料と録画映像はこちらまで

次回のセミナー情報はこちら

令和の新しい店舗人事戦略

Q&Aタイムや事後アンケートにて頂戴したご質問と、日比谷氏の回答は以下の通り。

Q1)31年在籍されていたということは、リーマンショックやバブルもご経験があるのでしょうか?
その際、店舗におられましたか?それとももう本社に来ていたのでしょうか?

はい。バブル崩壊時は、副店長をしていました。リーマンショックの時は、本社人事におりました。

Q2) 支援中の企業からの相談というのは、どういうものが多いですか?
やはり、早期退職の防止や定着についてのご相談が一番ボリュームが多いです。

Q3)今後の求人のトレンドは3つの不をいかに払拭できるかということもポイントになりますか?
3つの不の払拭は、求人のポイント、PRの為ではなく、会社の基本スタンスとして行っていただきたいものになります。
従業員に対して誠意のある対応を行っていれば、自然にその情報は外へ染み出て、人が集まる要因になります。
詳しくは8月20日に行われる第2回のセミナーでお話ししますが、5つの採用ステップの2番が増えていきます。

Q4)日比谷さんが今店長だったら、どんなことを行いますか?心の接触を行う際の具体的ポイントを教えてください。
まず、全員と話をする機会を設け、生活状況を把握します。
「聴く」という姿勢だけでもスタッフの不安は軽減されると考えます。

その上で、店舗単位、店長個人単位で各スタッフに何をしてあげられるかを練ります。
一人一人にまなざしが向けられていると感じてもらえるように、平等に接します。
できることはすぐ行います。約束は守る。
仮に何もできなくても、本部との調整の進捗や、なぜできないかを誠意をもって伝える。

Q5)不満を聞いても解決できないのに面談をやる意味があるのか
問題を解決できるできないではなく、不満や不安を聴くことに意味があると考えています。
聴く姿勢を見せることが、信頼構築につながります。
信頼を獲得し、スタッフの3つの不を払拭してもらうには、〇〇をすればよい、という強力でてっとりばやい方法はなく、
会社や店長から発信される言動1つ1つの積み重ねでしか実現できないと考えています。

Q6)現場を一丸にするために、どんなことを人事ができると思われますか?
togethernessのために、人事ができる事って何なのか、東日本大震災で行って良かった事例などと併せてもっとお聞きしたかったです。
1つは、店舗に負担をかけないために、備品の送付など、通常以上に仕事を巻き取り、店舗が必要作業に集中できる時間を作ることでしょうか。
2つ目は、いつ再開できるかばかり考えず、現場が無理なく営業再開できる基準を設定することです。
(東日本大震災の時、営業再開を急ぐ経営陣を止めた経験もあります。)
3つ目は、スタッフ同士が非接触な状態でもコミュニケーションができるようなツール(ITインフラツール)を提供・導入の検討も同時に行うかもしれません。もしすでにLINEなどで連絡が取れる状態だとしたら、どのようなコミュニケーションを取るべきか、店長たちへ指導するかと思います。

Q7)日比谷さんから見てお手本となるコロナ対策をされている外食企業はとちらでしょうか?
レジ前のアクリル板、シールドが接客しやすく設計されていたり、景観維持しながら設置できている企業は、すてきだと思います。また、消毒液が入口に置いてあるだけでなく、人を配置して消毒を促したり、マスクを持っていない方に配布したり、検温をするなど、予防策を徹底させている企業は、いち消費者として、非常に好感が持てました。

Q8)フィールドHR対策について詳しく聞きたかった。具体的な事例をもっと多くご教示頂きたかった
次回以降のセミナーにて、詳しくお話しいたします。ご希望であれば、ご訪問も致しますので、お問い合わせくださいませ

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