労働人口減少時代の救世主!働くママが“選びたい職場”とは?

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景気回復、そして労働力人口の減少に伴う求人倍率の上昇により、多くの企業が新たな人材の確保に頭を悩ませています。そんな採用難の時代、企業側でも、採用枠を広げるなど、労働力確保のための新たな動きが広がっているのをご存知でしょうか?

なかでも、多くの企業が注目しているのが、子育て中のママの採用。「限られた時間の中、効率的に働いてもらえる」「一度定着すれば、長く働いてくれる」などの様々なメリットから、「時短勤務」などの制度を整備し、子育て中のママを積極的に迎え入れる企業が増加しています。こうした状況を表すように、厚生労働省が2016年に実施した「国民生活基礎調査」では、18歳未満の子どもを持つ女性のうち、就労している人が過去最高の68.1%に上ることがわかっています。

子育てと仕事の両立が当たり前となる時代を迎えた今、ママのアルバイト採用に取り組む企業が押さえるべきポイントや、働くママの本音について、有限会社モーハウス 青山ショップ店長の勝政美紀さんと従業員の品川瑤子さんにお話をうかがいました。

ママの本音は、働いている時間が「社会とのつながり」に

──モーハウス様では「子連れ出勤」など、いち早く子育てと仕事を両立できる環境を実現されていますが、その理由についてお聞かせください。

勝政:社長の光畑自身が子育てをしていたときの「こんな授乳服があればいいのに」という思いを軸に、周囲のママ友たちとともに会社を立ち上げたという経緯があります。いかに子育てと両立しながら働ける環境を実現していくかは、当社の設立以来のテーマといえますね。長く働いているスタッフも多いので、子どもの年代などは様々ですが、私も含め、現在もほとんどのスタッフが子育てと並行しながら仕事をしています。

──なるほど。そんなママたちが、子育てをしながら働くという選択をする上では、どんな思いや悩みがあるものなのでしょう。

勝政:多くの働くママと接してきた経験から感じるのは、「社会とのつながり」を求めて、子育てをしながら働くという選択をする人が多いということです。家で子育てをしていると、社会とのつながりが希薄になり、まるで取り残されているような孤独感を感じることがあります。働くことを通じて、少しの時間でも社会とつながることは、いい意味での「息抜き」のような効果をもたらしているのではないかと思います。

品川:私の場合もそうでした。現在、2歳の女の子と8ヶ月の男の子がいるのですが、1人目のときから、「チャンスがあれば、外に出て働いてみたい」という思いがありました。そんなときに、「子連れ出勤」にも対応してくれる当社のことを知りました。子どもと一緒にいながら働けるということに魅力を感じ、2人目を出産した2ヶ月後からこちらで働いています。当社の場合は「授乳服」を取り扱っており、接客中でも子どもが欲しがったらすぐに授乳が出来るため、授乳期の赤ちゃんと一緒に出勤する子連れ出勤ができるので助かっています。

勝政:ママが働く上でいちばん大切なのは、やはり子どもに負担がかからないことです。いざ働こうと思っても、子どものペースに合わせた働き方ができるか、そして、それをしっかりと受け入れてくれる職場に出会えるかどうかという点で、不安を感じているママさんは多いですね。

ママが長く働ける職場は、こんな取り組みをしている

──そんなママたちに選んでもらう職場の条件として、まずはどんなことが考えられますか。

勝政:事実として、子育てには、多くの労力と時間がかかります。だからこそ、その合間の時間を上手に活用しながら働ける職場であるかどうかが、働くママにとっては最も重要なポイントといえるでしょう。そこがうまく噛み合えば、結婚・出産前に社会人経験のある人も多い働くママという存在は、会社にとっても非常に頼りになる存在となるはずです。当社のように「子連れ出勤」までできる職場は限られていますが、「子どもを保育園に預けている間の数時間だけ働く」といった選択ができる職場であれば、「働いてみよう」と思うママさんをうまく業務の中に組み込んでいけるのではないかと思います。また、時間の面だけではなく、例えば「週2日からOK」など、出勤日数に関しても柔軟に対応してくれるかどうかもママたちが重視するポイントです。さらに、これはお仕事の内容にもよると思いますが、例えば「この作業は自宅でやってもOK」というものがある場合には、一部在宅での勤務にも対応できるようにすれば、より働きやすい環境を実現できるのではないかと思います。

 

品川:とくに子どもが小さいときには、いきなり高熱を出したりすることもしばしばあります。急にお休みをいただいて病院に連れていかなければならないことも当然あります。それも十分に理解した上で、サポートしてもらえるような職場を選びたいという思いはありますね。

勝政:そのために欠かせないのは、何よりも周囲からの理解です。子どもの発熱などは、仕方ないことではあるのですが、やはり周りに迷惑をかけることに対して、多くのママは申し訳ない気持ちを抱えていると思います。その点からいっても、勤務時間の問題などと同じく、一緒に働く人たちと良好な関係を築けるかどうかが非常に重要です。ママが働くことが、周囲からは負担としか感じられない環境では、いくら制度やサポートが充実していてもそれらを活用する気にはなれませんし、長く働くことも難しいのではないでしょうか。ママ以外のスタッフたちにばかり我慢を強いるのではなく、いろんな制約はあるとしても、ママが働くことが会社や職場にとってメリットになること、逆にママがいることが助けになることなどをしっかりと共有し、お互いに支え合っていける仕組みをつくり出すことが大切ではないかと思います。

ママ採用は人手不足解消、
さらに社会経験のある人が多いので研修コストも抑えられる

──多くの働くママを迎えるにあたり、それぞれの企業や職場などでは具体的にどんなことができるでしょうか。

勝政:先程の話と通じることですが、やはりまずは今いるスタッフの方たちからの理解を深めることでしょうね。「シフトが組みやすくなる」「人手不足を解消し、職場に余裕が生まれる」「社会人経験がある人も多いので、マナーから教えるような手間も省ける」といった、働くママを迎え入れることによって生まれるメリットについて、しっかりと説明する機会を設け、快く受け入れてもらえる環境を整えることが大切です。でも、「働くママだから…」と特別扱いしすぎるのはNG。子育てをしながらでも働けるということは、ママ以外にとっても多様な働き方を認めてくれる職場といえるはずです。時短勤務などの制度についても、ママにだけ特例として認めるのではなく、すべてのアルバイトスタッフが活用できるようにすれば、不公平感も生じないのではないでしょうか。男性か女性か、独身か既婚かといったことに関わりなく、誰もが自由な働き方ができる環境を目指すことが、ママが肩身の狭さを感じることなく、のびのびと働けることにもつながっていくのではないかと思います。

品川:当社の場合、周りも子育て中のママがほとんどなので、子どもの話ばかりしています。先輩のママさんから子育てについてのアドバイスしていただくこともあり、本当になんでも相談できる安心感がありますね。お互いの家族構成なども把握できているからこそ、例えば「この日は子どもの用事で出勤できない」といったそれぞれの事情などに応じても、柔軟に支え合える部分もあるのではないかと思います。

 

勝政:確かにママ同士の場合、「お互い様」という意識は自然に育まれていきますね。その意味でも、働くママ同士が相談できる機会などを意識的に設けて、しっかりとネットワークをつくっていくのもいいかも知れません。そして、それをさらに拡大し、ママ以外のスタッフとも互いに支え合う意識が育まれるようになれば、ママに長く、安心して働いてもらえる環境も自然と培われていくはずです。

まとめ

◎働くママの本音

・「社会とのつながり」を求めて働く人も多い

・勤務時間や日数の点で柔軟に対応してもらえる環境で働きたい

・子どもの発熱などで、周囲に迷惑をかけるんじゃないかという不安を抱えている

◎働くママを採用するメリット

・限られた時間の中、効率的に働いてもらえる

・結婚や出産以前の社会人経験なども活かしてもらえる

・一度定着すれば、その後、長く働いてくれる人が多い

◎働くママ採用をする企業が押さえるべきポイント

・働くママ以外の現場スタッフからの理解を得る

・勤務時間や出勤日数などの点で、柔軟な働き方ができる体制を整える

・働くママ同士がコミュニケーションを図れる機会などを積極的に設ける

 

制度面の充実だけではなく、「周囲に負担をかけるかも」というママの心理面の不安などにも向き合う職場の雰囲気づくりや、多様な働き方ができる環境を実現することが、安定して人材を確保できるかどうかの鍵になるといえそうです。

 

 

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