新1年生獲得に役立つ!学生が最初のアルバイトを決めるときの基準
- 求職者動向
アルバイトレポートでは、学生を対象に、「はじめてのアルバイトで選びたいブランド」のアンケートを実施。前回の「やってみたいアルバイトのブランド」ランキングの結果と比較しながら、アンケート結果を回答者の声とともにランキング形式でお届けします。
これからの季節、職場を支えてくれた学生アルバイトが大量に卒業し、代わりに新たな学生アルバイトを大量に採用する時期がやってきます。そのなかでも特に新1年生にはアルバイトをはじめてする方が多くいらっしゃいます。そんな4月、5月の募集に向けて、今からいったいどのような準備をすべきなのでしょうか?今回はその具体的方策に迫っていきたいと思います。
それでは、アンケート結果を見ていきましょう。
調査概要
【調査地域】全国(インターネットリサーチ)
【調査対象】高校生もしくは大学生(専門学生、大学院生含む)で、アルバイト経験もしくは今後のアルバイト就業意向がある人
【調査期間】2017年12月5日~12月10日
【調査方法】インターネット上のアンケートで、アルバイト希望ブランドを最大5つまで選択肢から選ぶ・または自由記入する方式で回答してもらう。昨年と今年の調査の違いとして、選択肢に用意するブランドを一部入れ替えた。
【有効回答数】1,041サンプル(そのうち、高校生:441サンプル、大学生:600サンプル)
人気アルバイト ランキングトップ20位
学生1,041人に対し「はじめてのアルバイトで選びたいブランド」についてアンケートした結果、ランキングトップ20位は以下のようになりました。比較対象として、前回お届けした「やってみたいアルバイトのブランド」ランキングの結果もあわせてご覧ください。
「はじめてのアルバイトで選びたいブランド」ランキングでは、TOP3を「セブン–イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の大手コンビニが独占するという結果になりました。その他にも「ミニストップ」や「NEWDAYS」がランクインしており、コンビニがアルバイト初心者に特に好まれやすい傾向が浮き彫りになっています。
また、ドラッグストアの「マツモトキヨシ」、教育系の「明光義塾」「家庭教師のトライ」など、「やってみたいアルバイトのブランド」ランキングではTOP20に入ってきていなかったブランドも新たに顔を見せており、“はじめてのバイト”という限定的な状況下においては、学生のアルバイト選びの基準が少し変化していることが伺えます。
それではここからは、上位にランキングされた各ブランドの傾向を、回答者のブランド選択理由と共に詳しく見ていきましょう。
初心者でも安心な教育制度が求められている
今回のランキングで最も存在感を放っているコンビニ。学生の回答には、『同年代が多そう』という自分と同じ境遇の仲間を探そうとするものや、『身近にあるから』といった馴染みを求めるもの、『ザ・バイトといえばコンビニというイメージ』のように最初は定番からはじめたいという思いが表れているものなどが多くを占めていました。
これらの声を裏返して考えると “はじめてのアルバイトはちょっと不安” という学生の心理が汲み取れます。アルバイトに限らず、全く新しいことをはじめるときには不安がつきもの。だからこそ学生は、仲間や馴染み、定番をまず最初に求めようとするようです。
そんな学生の不安を解消するのが、しっかりとした教育制度の準備です。『バイトが多いので、教育などが充実していそうだから』『マニュアルがちゃんとしてそうだから』『研修がしっかりしてそう』というように、コンビニを選んだ学生の回答には、その教育制度を頼りにしている回答が目立ちました。実際、コンビニ以外のブランドでも、7位の「マクドナルド」では『サポートがしっかりしていそうと思える』などの声があり、学生が業界問わず教育制度を気にしている点が伺えます。
まだ自社の教育制度の整備が行き届いていない場合は、4月~5月の募集時期にきちんとした教育制度があることをアピールできるように、今から教育制度の設計を始めたほうがよいかもしれません。
最初だからこそ、他のアルバイトでも役立つか、は重要
引き続き、はじめてのアルバイトにコンビニが好まれる理由を見ていくと、『いろいろな人が来店するので勉強になる』『社会経験が積めそう』という声がありました。ここからは、様々な顧客とコミュニケーションしながら社会を知りたいという姿勢が垣間見えます。また、『接客など基本的な仕事を覚えられる』『最初にコンビニで働いたら、その後どんなところでもやっていけそう』といった回答も多く見つかりました。ここからは、最初のアルバイト先では仕事の基礎から勉強したいと考える傾向が伺えます。
このようなコメントから察するに、“はじめてのアルバイト”は“その経験が次にはじめるアルバイト”に役立つかどうかというのも選択における重要な判断軸になっているようです。今回のランキングで5位につけている「イオン」も『社会を知りたい』という理由で選ぶ回答が見受けられ、また今回新しくランクインしてきた「ガスト」でも『接客の基本が学べそうだから』という理由で支持されていました。
一方、ランキングにふたたび目を向けてみると、「やってみたいアルバイトのブランド」ランキングで2017年に更に人気が上昇していた“趣味系”ブランドは、こちらの「はじめてのアルバイトで選びたいブランド」ランキングでは全体的に順位を下げていました。確かに『趣味が合う人の接客なら出来そう』という声に見られるように、顧客が限定されていることをメリットに捉えている学生は存在します。しかしその反面、はじめてのアルバイトの場合は、趣味の世界に限定された職場よりもよりオープンな職場で社会のことを学びたいと考える人が多いのかもしれません。
また同様に、「やってみたいアルバイトのブランド」ランキングで上位だったカフェ系やレジャー系も順位を落としています。これらのブランドは接客などにおける高いプロフェッショナリズムから憧れのバイトとして支持される傾向にありますが、もしかすると、最初は仕事の基礎を学びたいと思う学生にとってこれらのブランドは応用編の位置づけにあり、基礎を学んだあとで挑戦したいアルバイト先と思われているのかもしれません。これは、接客×センスという高度なスキルが要求されるイメージがあるファッション系においても同様だと思われます。
いずれにせよ、アルバイト初心者を応募層に取り込みたいと考える場合、企業はその職場で働けばいかにその後の職場で潰しが利くかをアピールすることがポイントのようです。今一度自社の仕事内容を見直し、ほかの職場でも活きるどんなスキルが身に付くのか、改めて考えてみるとよいでしょう。
ほかにも見られるはじめてのアルバイト選びの傾向
今回、全体的に順位を下げている傾向のあった趣味系ブランドですが、4位の「紀伊国屋書店」と14位の「ジュンク堂書店」は逆に順位を上げています。回答を見てみると『落ち着いた雰囲気で焦らず働けそうだから』という回答が多勢を占めていました。せかせかしていなさそうな職場を選ぶということは、先に挙げた”はじめてのアルバイトはちょっと不安”という思いを解消するひとつの手段となるようです。
また、12位にあがっていた「郵便局」をはじめてのバイトとして選びたい理由を見てみると、『まずは短期で働いてみたい』という回答が目立ちました。郵便局が年末年始に年賀状の短期アルバイトを募集していることは広く知られていますが、年末年始の短い期間だけ、というところが心理ハードルを下げる役割を果たしているのかもしれません。
17位の「明光義塾」、19位の「家庭教師のトライ」などの教育系ブランドがランクインしているのも、「はじめてのバイトで選びたいブランド」ランキングの特徴です。教育系ブランドに対するコメントの共通項としては、『学んできたことが活かせるので』といったようなものが見られました。日夜学びに励んできた学生にとって勉強は自信が持てるスキルであり、不安なはじめてのアルバイト選びでもそのスキルが心の拠り所となるようです。
まとめ
今回は、学生がはじめての職場としてどのようなブランドを選ぶ傾向にあるのかをランキング形式で解説しました。「やってみたい」ランキングとの比較を通して、学生の心理をもう一段深掘って分析したのが今回の記事のポイントです。2018年4月~5月の募集時期に向けて、以下2点の準備を行うことが大切です。
・初心者でも安心な教育制度を整備する
ちゃんと仕事が出来るようになるのか、はじめてのアルバイトのときは不安に感じてしまいます。初心者でも安心なマニュアルや教育体制が整っていることは、アルバイト初心者にとっての不安解消材料になります。
・ほかのアルバイトで活きるどんなスキルが身につくか、を見つける
学生は今後いくつかのアルバイトをするであろうことを見据えた上で、その経験が次の職場に活きるかどうかが重要になります。求人企業は募集する仕事内容のどんなところが潰しが利くかをメリットとしてアピールするとよいでしょう。
上位に挙がった人気ブランドの傾向を参考にしていただき、今からの、そして2018年からの採用活動にぜひお役立てください。
*photo / photo-ac.com
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