10~20代を徹底調査! vol.01 若年層フリーターの実態
- 求職者動向
アルバイトとして貴重な戦力になってくれる若年層。なかでも、学生と違って卒業や進学等による退職がない若年層フリーターは、長期的に活躍してくれる可能性のある大切な人材だ。
総務省統計局の「労働力調査」によると15~24歳の若年層フリーターは、平成22年の時点で日本に86万人いると報告されている。少子高齢化が進み、若手の労働力不足が叫ばれる日本において、若年層フリーターが今後一層重要な戦力となってくることは間違いない。
今回のトレンドDATAでは、若年層フリーターの悩みや月収、仕事探しで重視する点などを調査。彼らがどのような意識を持っているのかをしっかり把握し、求人活動や人材育成に役立ててほしい。
目次
今月のポイント
- お金や仕事、老後についてなど、同年代に比べて若年層フリーターは悩みが多い
- 若年層フリーターの月収は、同年代全体の平均に比べて5万円少ない
- 将来について明確なイメージを持っていない若年層フリーターが多い
- 若年層フリーターは、適職に就き、やりがいがあって昇給・昇格も可能な仕事をしたいと思っている
調査概要
■グラフ4以外について
- 調査期間:2013年6月13~16日
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査対象:全国の15~25歳の男女で、下記条件を満たす人
※これまでにアルバイト・パート経験がある人
※アルバイト経験はないが、やってみたいと思っている人
・サンプル数:2,455
■グラフ4について
- 調査名:若年層調査
- 調査期間:2012年12月8日~11日
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査対象:現在アルバイト・パートの求職活動をしている全国の15~34歳の男女
- サンプル数:104 ※フリーターのみ
1 若年層が抱える悩み
読み取れるポイント
- 若年層の悩みごとで最も多いのは「お金」。約半数(47.5%)の人が悩んでおり、特に若年層フリーターだけでみると70.0%もの人がお金について悩んでいる
- 「仕事やアルバイトのこと」や「人生のこと」「老後のこと」などについて、若年層フリーターは若年層全体に比べて悩みを抱えている人が多い
若年層フリーターの悩みは仕事に関すること?
若年層に何について悩んでいるかを聞いてみたところ(複数回答可)、若年層フリーターは若年層全体に比べて多くの悩みごとを抱えていることがわかった。なかでも「お金」「仕事」「人生」について悩んでいる人が比較的多い。「お金」も「人生」も、「仕事」と密接に関わってくることなので、若年層フリーターは「どのように働いて生きていくか」ということを悩んでいる人が多いのではないだろうか。
2 平均月収
読み取れるポイント
- 若年層の社会人全体の平均月収が約13万5000円なのに対し、若年層フリーターは約8万5000円と5万円少ない
- 若年層フリーターの約3割は平均月収が5万円以下。また、10万円以上稼ぐ人も約3割
現状の生活よりも将来の金銭面が不安?
月収8万5000円というと、例えば時給850円で1日6時間×週4日×4週程度働いた計算になる。正社員として働く人に比べれば、労働にあてる時間は短いようだ。
また、今回の調査対象となった若年層フリーターの86%が家族と同居していることがわかっている。例え収入が少なくとも当面の生活に困ることはなく、自由になるお金もある程度確保できていると思われる。お金に対する悩みを持つ人が多いのは、現在の生活に窮しているというよりは、将来の金銭面について不安を抱えているのではないだろうか。
3 「将来」に対するイメージ
読み取れるポイント
- 同世代の大学生や高校生と比較すると、若年層フリーターは「特にイメージはない」が19.9%と非常に高くなっている
- 若年層フリーターの「将来」のイメージは、「就職」が26.1%で最も多いが、大学生の52.6%に比べると約半分
- 若年層フリーターで「結婚」をイメージしている人は16.1%。大学生や高校生に比べると約2倍
同世代よりもプライベートのイメージを抱く傾向に
「特にイメージはない」が高いことからも、自分の将来像をまだ定めずにいる様子がうかがえる。すでに働いているのにも関わらず「就職」をイメージしている人がいるが、これは現在とは別の仕事に就いたり、正社員として就職することをイメージしているのではと思われる。
また、同世代の大学生や高校生と比べると「就職」「社会人生活」をイメージする人が少なく、一方で「結婚」をイメージする人が多い。
4 若年層フリーターが仕事探しで重視すること
読み取れるポイント
- 「自分にもできそうな仕事である」を重視している人が6割を超える
- フリーター全体と比べて、若年層フリーターがより重視しているのは、「勤務地が自宅から近い」や「興味のある仕事内容である」「時間の融通がきく」「給与が高い」「やりがいのある仕事である」「会社が有名・または信頼できる」など
- 職場環境については、「職場がきれいな」ことを特に重視している
自分に適した仕事を見つけ、やりがいを持って頑張りたい
同じフリーターでも、若年層ならではの特徴を調べるため、フリーター全体と若年層フリーターの仕事探しで重視する点を比較してみた。その結果、若年層フリーターは「自分にもできそうな仕事である」を6割以上もの人が重視していた。フリーター全体でもともと多いが、さらに上回っていることについては自信のなさともとれるが、適職に就きたいという意志の表れともとれる。
また、「興味のある仕事内容である」「給与が高い」「やりがいのある仕事である」をより重視する傾向があることから、「自分の適職に就いて頑張りたい」という気持ちが伺える。
まとめ
今回の調査結果からは、若年層フリーターは自分の将来を明確にイメージできていない人が多い様子が伺える。若年層フリーターの採用・育成を行なう場合には、具体的なキャリアップのプランを提示したり、目標となる人材像をすり合わせるなど、雇用側が将来像を示すことが重要だろう。そうすることで、彼らの仕事に対するモチベーションを向上させ、長期的な活躍を期待できる。
また、求人広告を制作する際には、「自分にもできそう」と思ってもらえるように仕事内容をわかりやすく伝えるとともに、「3年後にリーダー、5年後にはマネージャー」など、キャリアアップのイメージを具体的に提示するといいだろう。