夏の採用準備は6月からスタート!夏期休暇時の応募動向

  • 求職者動向

高校生は1ヵ月以上、大学・大学院生なら2カ月近くとなる夏期休暇。
それは、アルバイト・パートを取り巻く環境が1年でもっとも変化する時期、と言えるかもしれない。
今回は、その時期でのそれら属性の応募動向を知り、募集するターゲットを定めるとともに、希望時給の推移とも付け合わせ、この時期の効率的な人材確保のポイントを探ってみた。

今月のポイント

  • 大学・大学院生よりも高校生の方が2週間ほど早めに応募割合が増加する。
    ただし、増加のピークはともに2週間程度と短め。
  • 希望時給額は高校生、大学・大学院生ともアップが見られるが、総じて変化は小さい。
  • 勤務日数は高校生、大学・大学院生とも「週1~2日」が夏休みに人気がアップするが、その動きは高校生の方が早い。

調査概要

■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:北海道、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知、静岡、岐阜)、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀)、九州(福岡)在住かつ 1年以内にアルバイト・パート、契約社員、派遣社員のいずれかに就業した15-34歳の男女
■調査時期:2008年7月
■サンプル数:3000名

1 属性別に見る6~8月の応募動向

[高校生の応募動向]7月初旬から変化を見せ、8月には戻る

まずは、一般的に夏休みの期間にあたる6月から8月の属性別応募動向を見ていこう。
他と比べて、大きく動きがある点がみてとれる。
高校生の応募動向の変化が見られるのは、まず7月6日~12日の週。それまでの4~5%から7%へとアップしている。その翌々週にかけて上昇しこの時期にピークその後ゆるやかに下降していき9%となる。この後に詳しく触れるが、動きは小さく、タイミングが早いのが特徴だ。7月の第2週にピークに入り、月末には下降する。
少しでも採用の機会損失をなくすなら、募集の動き出しは早くしたい。早めにプランを固め、6月末には求人広告を打ちたいところだ。また8月に入っての応募となると、すでに夏休み効果はあまり得られないと考え、よりじっくりと採用活動を行っていくことが肝要だろう。

[大学・大学院生の応募動向]高校生とピーク時期は重ならず、期間は短い

大学・大学院生の、6月での応募割合は全体の22~23%で推移しているのに対し、7月20日~26日の週には25%、その翌週7月27日~8月2日には27%、さらにその翌週も全体の27%を占めた。また、8月17日~23日には22%と、夏休み前の水準に戻ってくる。傾向としては、応募が増える時期は7月20日過ぎからお盆休みの8月15日あたりまで。ピークは7月末から8月上旬ということになるだろう。

採用についても、もっとも応募割合が増えるこの時期に合わせるのが効率的だが、期間にして2週間ほどと決して長くない。7月末に募集しても、すぐにピークが過ぎ、期待したほどの効果を得られないことも考えられる。6月から出稿準備を進め、7月頭には募集広告を出せる状態がベストである。また、気を付けたいのは8月後半。夏休み期間中ではあるが、応募割合はすでに通常の時期に戻っており、大学の前期試験の日程によっては、ピーク時が前後することも十分考えられる。どちらにしても早めの準備が人材確保の鍵となる。 また、出稿予定エリアの大学の夏休みの日程を事前に調べておくことも、採用プランを立てる上でのポイントとなるだろう。

図1. 6月~8月の属性別応募割合推移

 

2 夏季休暇時の希望する時給額

[高校生の希望時給額]7月末に増え始める「1000円以上1200円未満」

では、希望時給額は夏休みの時期に何らかの動きがあるのだろうか。

まず高校生だが、6~8月のすべての週で「800円以上1000円未満」がもっとも多く、とくに6月1日から21日までの3週は全体の希望額の60%を超える。それが6月22日~28日になると、52%と10ポイントのダウンとなる。さらに7月27日~8月2日には44%、翌週の8月3日~9日には38%にまで下降。そしてまた徐々にポイントはアップし、8月24日~30日の週には60%に戻るという動きとなった。

夏期休暇の時期に合わせるように「800円以上1000円未満」を希望する割合が減り、結果的に「1000円以上1200円未満」と「1200円以上1500円未満」の割合が増した。とくに「1000円以上1200円未満」は6月前半まで16~17%だったのが、7月27日~8月2日には33%、翌8月3日~9日の週には36%と大きく割合を増やし、同週では「800円以上1000円未満」との差はわずか3ポイントだった。

この傾向は、夏期休暇の時期に希望時給額が上がったことを意味する。その理由はいくつか考えられるが、普段は時間がなく職種が限定される高校生のアルバイトの場合、夏期休暇はその選択肢がグンと広がり、もともと時給の高い職種への応募が増えた結果とも言える。夏期休暇の応募は時給アップをしなくては高校生が採用できないと決めつけるべきではないが、夏休みの希望時給が上がる傾向があることは確か。時給額が見劣りするようであれば、他のメリットの打ち出しを大きくするなどの工夫は必要だ。

図2-1. 6月~8月の高校生の時給推移

[大学・大学院生の希望時給額]夏季休暇に合わせた動きは少なめ

大学・大学院生の場合、高校生と比較して、あまり目立った変化が見られない。ただし、最多希望時給額は週によって変わる。6月1日~28日までの4週は「800円以上1000円未満」が最多希望額となり、30%台で推移している。それが、6月29日~7月5日の週には「1000円以上1200円未満」が33%で最多希望額となり、以降、両者のどちらかが、あるいは両方が最多回答となっている。

だが、時給の価格帯でみると6~8月の2ヶ月間を通して「800円以上1000円未満」「1000円以上1200円未満」ではともに20%台後半~30%台半ばで推移している。夏期休暇に入ると「1000円以上1200円未満」の方が増加傾向にあるとも言えるが、それも若干といった程度だ。一方、「1500円以上」が、6月には10%という週もあれば、7月には18%の週もあり、こちらの方が変化が大きい。

したがって、基本的には夏休み時の応募に対する時給アップの必要性は、高校生のケース以上に小さいだろう。もともと希望時給を高く求めている層が高校生に比べ多いことも理由のひとつ。もちろん、時給の高さは募集時の強いアピールポイントになるが、夏期休暇だから特に上昇傾向というわけではないといえる。夏休みの大学生の取り込みは時給以外での差別化がより重要だといえそうだ。

図2-2. 6月~8月の大学・大学院生の時給推移

 

3 属性別希望勤務日数

[高校生の希望勤務日数]夏休みに「州1~2日」人気はさらにアップ

最後に、希望する勤務日数での夏休みの変化を探ってみたい。

高校生の場合、大きくはないが明確な変化は見て取れる。6~8月のすべての週で希望する勤務日数の最多回答は「週1~2日」だが、6月1日~21日までの3週では同回答の割合は60%台だった。それが翌週には70%、さらにその翌週には78%とポイントを伸ばす。そして8月10日~16日の週まで70%台後半~80%と高い割合で推移。その翌週には67%とダウンしている。夏休み期間中はより「週1~2日」の勤務に人気が集中していると考えていい。また、「週3~4日」希望者も夏休み終盤の8月17日~23日の週には27%と、その割合を上げてくる。
したがって、シフト勤務などで対応可能ならば、「週1日~勤務OK」という広告の掲載は、より効果をもたらすはずだ。

図3-1. 高校生の希望勤務日数

[大学・大学院生の希望勤務日数]高校生より4週間遅い夏季休暇の変化

全体としてはやはり「週1~2日」勤務の人気が高く、高校生同様、6~8月のすべての週で希望勤務日数の最多回答となった。だが、夏期休暇による動きは高校生と多少異なってくる。6月初めから割合は60%台後半で推移するが、7月27日~8月2日の週に70%となり、8月17日~23日の週まで70%台が続き、その翌週には60%台に戻ってしまう。結果として、夏期休暇による動きの内容は高校生と同じでも、時期は4週間ほど遅いということになる。これは、先に触れた6~8月の応募動向での大学・大学院生の動きとも合致する。

ただ、数値としては、高校生と比較するとやや小さい動きだ。それでも採用プランに反映させたいところではある。注意したいのは、高校生との動き出しの時期の違い。また、動きが遅い分、「週3~4日」や「週5日以上」も7月末まで希望する割合が落ちない。
これは、大学・大学院生が夏休みに関わらず、普段からアルバイトをしている層が高校生に比べると比較的多いということだ。
上記を踏まえて最大限の応募効果を狙うなら、週1日からの勤務で応募者を募り、そこから「週3~4日」「週5日以上」の勤務へシフトしていくことを検討したい。そのためにはアルバイトのモチベーションアップが必要になってくる。(バックナンバー「公開!モチベーションがあがるとき、下がるとき」を参照)採用を段階別に大きくとらえ、どの段階に重きを置くかも採用の戦略の肝になってくる。

図3-2. 大学・大学院生の希望勤務日数

 

今月のまとめ

高校生の応募割合が増加するのは7月初旬からで、大学・大学院生の下旬より2週間程度早い。採用プランは早めに練り、6月に掲載の準備が整っていることが望ましい。また、増加の動きも、高校生と大学・大学院生では異なる点を考慮しての計画することが肝要だ。高校生の応募割合が増加するのは7月初旬からで、大学・大学院生の下旬より2週間程度早い。採用プランは早めに練り、6月に掲載の準備が整っていることが望ましい。また、増加の動きも、高校生と大学・大学院生では異なる点を考慮しての計画することが肝要だ。 希望時給額は、高校生で「1000円以上1200円未満」が若干アップ傾向にある。大学生の動きはさらに小さい。したがって、時給アップがこの時期の採用の絶対必要条件とは考えにくく、違うアピールポイントでの募集を積極的に行った方がよい。 夏期休暇の希望勤務日数は、高校生、大学・大学院生とも他の時期よりも「週1~2日」がアップする傾向にある。ただし、その動きは応募割合と同様に高校生が早め。全体的なポイントとして、夏期休暇前のニーズの変化は思った以上に早く、採用プランも6月には確実に動き出したいところだ。

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