地域が違えば求めるものも違う?地域で異なる“時給”や“職場の雰囲気”などに対する意識調査
- 市場動向
例えば、初対面の相手の出身地を聞いたときに、「ああ、この地域出身の人なら、こんな性格なんだろうな」「こんな食べ物が好きなんだろうな」などと思ったりすることはありませんか? もちろん、人の性格や志向性を形成するものにはその人の出会いや経験など様々な要素があり、一人として全く同じ性格や志向性の人間は存在しません。しかし、住んでいる地域が辿ってきた歴史や培ってきた風土などが、その地域に住む人に影響を与え、地域ごとの性格や志向性を形作るという側面はあるかと思います。
今回は、日本全国を【関東】【関西】【その他の地域】の3つにざっくりと区分し、地域の違いがアルバイトの応募という状況の中でどのようにあらわれるのか、データやグラフなどを用いて分かりやすく解説していきたいと思います。
関東:一都六県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
関西:二府三県(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)
その他の地域:上記以外の都道府県
募集時の時給を求める地域、昇格昇給を求める地域
まずは、各地域の求職者が時給や交通費、昇給昇格についてどのように考えているのか見ていきましょう。
こちらは、『アルバイト探しで重視することは?』 という質問に対しての回答を、【関東】【関西】【その他の地域】に分けて棒グラフ化したものです。
一番左の「時給が高いこと」のグラフを見てみると、他の地域よりも【関東】が時給の高さを求めていることが伺えます。またそれに加えて、真ん中の「通勤交通費が支給されること」についても【関東】のポイントが一番高いところを見ると、関東地域の求職者がそれ以外の地域の求職者よりも募集時における賃金についての希望が強いという特徴が見て取れます。
【関東】は東京都を中心に有効求人倍率がほかの地域より高く、求職者の奪い合いによって時給が高騰しているため、そもそも最低時給よりはるかに高い求人が世に溢れています。【関東】の求職者が時給や交通費を比較的重視するのは、このあたりが背景にありそうです。
一方、【その他の地域】の求職者は、関東の求職者に比べると募集時の時給をそれほど重視するわけではないようです。また、交通費に関しては関東・関西と比べて明確にポイントが低く、それほど意識をしていない様子が伺えます。しかしだからといって、【その他の地域】の求職者が収入そのものをさほど気にしていないと言い切ることはできません。注目すべきは、一番右の「頑張った分だけ昇給や昇格が期待できること」については、【その他の地域】の求職者のポイントが一番高いということです。
【その他の地域】ではまだまだ最低賃金で求人をかけているところも多く、異動も車が多いためか、募集段階で時給や交通費が比較的低いことについては受け容れているとみえます。しかし、【その他の地域】の求職者は他の地域と比べて、アルバイトを趣味や自己実現の一環としてでははく“生活するための収入”として位置付ける傾向にあるので、最終的には昇給昇格を経て多くの収入を得たいと考えているようです。
これらのことから、【関東】で人を採用する際には、まずは周辺と比べて時給や交通費の面で見劣りをしない条件を提示することが重要であること、【その他の地域】で募集をかける際には、その後の定着も見据えて適切なタイミングで昇給昇格する制度があることをアピールすることが重要であることが読み取れます。
関西は“馴染み”や“人とのつながり”に重きを置く
今度は、各地域の求職者が勤務先の近さや雰囲気、同年代アルバイトの有無についてどのように考えているのか見ていきましょう。こちらは『そのアルバイトに応募した理由は?』という質問に対しての回答を、【関東】【関西】【その他の地域】に分けて棒グラフ化したものです。
【関西】には人と人との距離感が近いという一般的なイメージがあります。実際、【関西】の求職者は「仕事を通じて気の合う友人や異性を見つけたい」という傾向が他の地域の求職者よりも高くなる傾向にあり、やはり【関西】の求職者にとってこうした親近感があるかどうかは重要な視点であることが分かります。
ここから考えると、【関西】で人を採用する際には、既存スタッフがどんな雰囲気で働いているか、年齢層はどれくらいなのか、テキストや写真でしっかりと伝えることが重要であるといえるでしょう。
まとめ
今回は、地域差によって求職者が求めるものの違いについてご紹介しました。
もちろん、これはあくまで地域ごとの大まかな傾向性をあらわしたものでしかないので、その地域の全ての求人にあてはまるという訳ではありません。しかし、地域ごとの特色は必ず存在するので、それに合わせた採用活動を行うことが大切であることをご理解いただければと思います。
【関東】
周辺と比べて時給や交通費の面で見劣りをしない条件を提示すること
【関西】
既存スタッフがどんな雰囲気で働いているか、年齢層はどれくらいなのか、テキストや写真でしっかりと伝えること
【その他の地域】
その後の定着も見据えて適切なタイミングで昇給昇格する制度があることをアピールすること
今日からの採用活動に、少しでも役立てて頂ければ幸いです。
*photo / photo-ac.com 【出典】 パーソルグループ×東京大学中原淳研究室共同研究「アルバイト・パートの成長創造プロジェクト」(2016) 「パート・アルバイト一般従業員調査/離職者調査」 http://rc.persol-group.co.jp/research/data/hitodata_011 |
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