フリーワード検索と属性に見る変化
- 市場動向
WEBサイトでの仕事探しにおける「検索」の利用状況は、市場変化に大きく影響を受ける。
とくにフリーワードは、時代のニーズを色濃く映す鏡と言えるだろう。
そこで今回はフリーワード検索の利用について、ユーザー属性別に検証。
その内容や分布から、今年の傾向を分析した。
目次
今月のポイント
- フリーワード検索では「寮」の上位ランク入りが今年の新たな傾向。
- ユーザー属性では「フリーアルバイター」の占める割合がアップ、学生や社員のシェアが減少。
3サイト「an」について
anエリア
住所・路線、家や学校の近くなど勤務地重視ユーザー向け求人サイト
anセレクト
勤務時間・給与・働く上での特典など、勤務条件重視ユーザー向けの求人サイト
anレギュラー
社員、週5日勤務希望の社員志向ユーザー向け求人サイト
1.フリーワード検索の変化
仕事と生活の密着がうかがえる「寮」の上位ランク入り
「an」の3つのサイトから、打ち込まれるフリーワードランキングを見てみよう。まずは、勤務地で選ぶ「anエリア」から。今年6月時点での1位は「寮」で、以下「短期」「日払い」と続く。また、6位「調査」、8位「データ入力」、9位「ケーキ」、10位「BAR」はともに昨年同時期にはベスト10圏外だった点から、ランキングの顔ぶれが大きく変わったと言えるだろう。
時間や時給などの条件で探す「anセレクト」は昨年同様、「調査」が1位。5位の「寮」と10位の「コールセンター」は、昨年のベスト10には入っていなかった。正社員志向の「anレギュラー」で1位となった「新聞」は、昨年はトップ10圏外からの大躍進。2位の「寮」も9位から大きくランクアップ。また、昨年1位の「ブライダル」は6位と大きくランクダウンしている。
今回のランキングでの特徴的なことは、すべてに「寮」がランクインしている点。この「住」への関心の高さは、「新聞」が「anレギュラー」のフリーワードで1位となったこと(新聞の配達や集金といった職種は寮完備であることが多い)からもうかがえる。人が生活していく上で必要な「住」と「働く」ことが密接に関係していることを示し、今の世の中を反映しているといえる。これは、強い目的を持って働く層が増えていることを意味するともいえるので、採用側もこういったニーズに応えていくことが、今後の人材確保をより確かなものにするはずだ。
2.ユーザー属性の変化
フリーアルバイター急伸、大学・大学院生などは減少
次に、「an」の検索サイトのユーザー属性には、どのような変化があるだろうか。最初に「anエリア」から。もっとも属性で多かったのは「フリーアルバイター」で、占めた割合は40.1%。昨年同時期も35.8%でトップだったが、今年はさらに4.4ポイント増加した。また、2位となった「大学・大学院生」は21.3%で、昨年より2.6ポイント下げている。
「anセレクト」のユーザーもトップは「フリーアルバイター」で、割合は45.0%。昨年の35.3%から、実に9.7ポイントもアップしている。逆に大きく下げたのは2位の「大学・大学院生」。19.5%で、昨年より7.4ポイント下げている。「anレギュラー」でも、その傾向は見られ、トップの「フリーアルバイター」は6.2ポイントアップ、次いで多かった「正社員・契約社員」が11.7%で1.6ポイントダウンという結果だ。
人間関係に加え、給与や条件面でもよりシビアになった。そんな傾向が、このアンケート結果から見てとれるが、それは同時に、「働く理由=生活費のため」という層が増えていることとつながっている、とも考えられる。
3つのサイトとも、属性の順位に大きな変動はないが、「フリーアルバイター」の占める割合が増加傾向という共通の特徴が見られた。同時に「大学・大学院生」比率の減少が目立ち、とくに「anセレクト」ではその点が顕著だ。昨今、採用を手控える企業が増え、希望に沿った仕事に就くことが難しくなっていることから、「フリーアルバイター」の仕事探しがより活発化していると考えられる。企業側がそういう積極的な人材を採用し、育てるといった長期的なビジョンを持つことで、結果的に両者のニーズは満たされるのではないだろうか。