早朝・深夜勤務者の実態

  • 市場動向
必要な人材は、朝9時から夕方5時までとは限らない。
深夜営業のコンビニやファミレス、居酒屋チェーン。
さらには、24時間稼働する宅配や作業現場、早朝から動き出す交通機関など。
早朝・深夜勤務は、生活が多様化し、企業間のサービス向上が激化する中、よりその必要性が増していると言えるだろう。
しかし、その一方で、人材確保が困難だと感じる方も多いのではないだろうか?
そこで今回、早朝・深夜勤務希望者と実際の勤務者へのアンケートから、より効率的な採用方法、人材確保のヒントを探ってみたい。

今月のポイント

  • 早朝勤務は女性、深夜勤務は男性の希望者が多い。
  • 仕事選びのポイントは、早朝勤務がイエチカと勤務時間のシフト、深夜勤務が時給額。
  • 週3日ないし5日希望の早朝勤務と、週3日中心の深夜勤務。

調査概要

■調査方法:インターネットアンケート
■調査対象:北海道、関東、東海、関西、九州在住 15~34歳男女現在、「高校生、短大・専門学校生、大学生、大学院生、アルバイト・パート、派遣社員、契約社員、無職の人」且つ「過去1年以内にアルバイト・パート、派遣社員、契約社員の仕事に就いたことがある人」
■調査期間:2008年3月
■サンプル数: 北海道938名・首都圏2888名・東海1879名・関西1904名・九州925名 合計8534名

1.早朝・深夜勤務者の属性

~フリーター、男性は夜明けまで、女性は夜明けから~

早朝や深夜に働く人たちは、どんな人たちなのか。まずはそこから見ていきたい。早朝・深夜勤務希望者の属性別調査によると、早朝勤務希望者では(図1-1)、大学・大学院生が32%ともっとも多かった。以下、フリーター女性24%、主婦17%と続く。とくに同じフリーターでも、女性が男性の倍近い数値になっている点が興味深い。
深夜勤務希望者の属性については(図1-2)、早朝同様、大学・大学院生がもっとも多く、その割合も44%と際立っている。少数であるが高校生、短大・専門学生なども加えれば、結果として、深夜勤務希望者の半数以上が「学生」ということにもなる。次いで多かったのがフリーター男性で19%。早朝勤務ではフリーター女性の方が多かったが、深夜では逆転した。

図1-1. 早朝勤務者の属性

図1-2. 深夜勤務者の属性

2.早朝・深夜勤務者の仕事選びの重視点

~朝が早いからイエチカ、夜遅いから高時給~

次に、早朝・深夜勤務希望者はどんな点を重視して、仕事選びをしたのだろうか。早朝勤務希望者の場合(図2-1)、最多回答は「勤務地が自宅から近いこと」(17%)。ただし、これは早朝勤務外でも最多回答となっている。違いが出たのは重視点2位の「時間の融通がきくこと」(16%)で、早朝勤務のひとつの特徴といえるだろう。しかし、早朝勤務希望者はあくまで、早朝を利用して働きたいという動機があり、その上で先の重視点があるとも考えられる。
次に深夜勤務希望者だが(図2-2)、最多回答はその「給与が高いこと」で21%。これは、深夜勤務外(深夜以外の勤務希望者)の同回答(14%)を大きく上回っている。また、それが先の早朝勤務と早朝勤務外との比較とは、逆の関係になっている点もおもしろい。

図2-1. 早朝勤務者の仕事の重視点

図2-2. 深夜勤務者の仕事の重視点

3.早朝・深夜勤務者の希望時給額

~早朝は控えめに、深夜は多めに~

今度は時給から、早朝・深夜勤務希望者の特性を見てみよう。まずは早朝勤務希望者の希望時給額のアンケート結果から(図3-1)。それによると、最多回答は「800円以上(~900円未満)」で29%。次に多かったのは17%の「700円以上」だが、「900円以上」が16%、「1000円以上」は15%と、2位以下はほぼ拮抗している。全体の印象からは、希望時給は “やや控えめ” と言えるだろう。
深夜勤務希望者の場合は(図3-2)、もっとも多かったのは早朝勤務希望者と同様「800円以上」で26%を占めた。だが、「1000円以上」「1100円以上」といった高額希望だけを見れば、その割合は早朝勤務希望者よりも明らかに多い。このことは、〈02〉で触れた仕事選びの重視点の結果とも一致する。さらに言えば、あくまで時間帯として深夜勤務が適している人もいるが、高い時給を求めて深夜勤務を希望する層がいることをうかがえる結果でもある。

図3-1. 早朝勤務者の属性

図3-2. 深夜勤務者の属性

4.早朝・深夜勤務者の希望勤務日数

~週5日働けるかどうかが分かれ道~

希望する1週間の勤務日数はどうだろう。早朝勤務希望者の場合(図4-1)、「週5日」が33%でもっとも多かったが、「週3日」も32%と高い数値となった。つまりは、かたや正社員のようにキッチリと週休2日で働きたい、かたや週の半分は学校や家事、自分のしたいことに時間を充てたいという層に、きっちりと二極化している。 それを踏まえて、深夜勤務希望者の結果(図4-2)を見てみると、早朝勤務希望者との違いがより明確になる。深夜勤務希望者は「週3日」が40%で最多回答となり、「週4日」が28%で続く。あくまで「週3日~4日」が中心となっているのが特徴だ。それは同時に、深夜勤務=高時給という図式がある中で、それでも週5日、6日と多く働いて稼ぎを増やす、という層が少ないということを意味している。

図4-1. 早朝勤務の希望勤務日数

図4-2. 深夜勤務の希望勤務日数

今月のまとめ

  • 属性で見ると、早朝勤務では大学・大学院生とともに、フリーター女性が多い点が特徴的だった。主婦も、早朝勤務外と比べれば少ないが、それでも17%を占め、フリーター女性と合わせると4割超を占める。
  • 一方、深夜勤務では大学生・大学院生が中心。日中、学校で時間を取られるため、深夜勤務は時間を効率良く使うためにも適している。職種にもよるが、人材確保が学生中心(とくに男性)であれば、採用もスムーズに進行するはずだ。
  • 仕事選びにおいて、早朝勤務は時給よりイエチカと時間のシフトが優先する。そこを考慮(求人エリアを勤務地の近くに限定する、シフト勤務を可能にする、など)ことが、採用計画のポイントになり、結果的に離職率を低下させる効果も期待できるだろう。対して、深夜勤務は時給の高さを重視する傾向が強い。職種によっても異なるが、時給1000円以上がひとつの目安となりそうだ。
  • 希望勤務日数は早朝と深夜でその傾向が異なる。早朝勤務は、週3日と週5日ともに希望者は多い。一方、深夜勤務では週3日がもっとも人気だが、週5日はさほどでもない。深夜勤務の求人では、週3日~4日に絞ることが効果的と言える。

 

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