「非正規雇用 辞める理由」とは?属性別:辞める理由・継続して働く理由

  • 市場動向
何であれ、仕事を辞めるにはそれなりの理由がある。そして、仕事を続ける人にも同様に理由があるはずだ。
そこで今回は、アルバイト・パートなどの非正規雇用の、退職と継続勤務の理由=分かれ道を探り、その結果から、安定した労働力確保のポイントを提案してみたい。

今月のポイント

  • 『たとえば、人間関係が悪いとドッと辞める人たちとは?』
    高校生、大学生、主婦の辞めた理由、継続して働く理由を要チェック!
  • 『フリーターから探る正社員志向だからこその理由』
    フリーターでの男女差、他の属性との違いから見えてくるものは…?
  • 『職種別でも、必ずしも一致しない理由』
    辞めた理由と継続して働く理由のトップ10を比較してみると…!?

調査概要

■調査方法:インターネットアンケート
■調査対象:首都圏在住15~34歳男女
現在、「高校生、短大・専門学校生、大学生、大学院生、アルバイト・パート、派遣社員、契約社員、無職の人」且つ「過去1年以内にアルバイト・パート、派遣社員、契約社員の仕事に就いたことがある人」で、今後も「アルバイト・パート、派遣社員、契約社員」での就労を希望している人
■調査期間:2007年2月
■サンプル数:4,323名
■ウェイトバック:対象者サンプル数が実際の人口の構成比と異なるため、総務省統計局の「平成14年就業構造基本統計調査」による非正規雇用就業人口に基づき、「属性・性別」ごとにウェイトかけた。
※2007年10月22日まで、調査概要に首都圏在住者のみのデータである旨を記載しておりませんでした。お詫びして訂正します。

1.辞めた理由、続ける理由

人間関係で簡単に辞めてしまう!?

  • 辞める理由(図1-3/複数回答。以下同様)では「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」と「給与が低いから」 がともに19%で最多だった。以下「働いている人になじめない」(17%)、「仕事の内容が自分に合ってないから」(16%)と続く。
  • 対して、継続して働いている理由(図1-4)では「勤務地が自宅から近いから」が30%で最多回答に。次いで 「給与が高いから」が26%。

 

  • 属性別での辞めた経験(図1-3)では、もっとも少ない高校生でも半数近い47%。フリーター女性が最多で84%だった。
  • 辞めるまでの期間(図1-4)を属性別に見ると、高校生は「3ヵ月以上6ヵ月未満」が最多。それ以外は「1年以上3年未満」が最多。

2.属性別 辞めた理由と継続の理由(高校生・大学生)

高校生/高校生にとって人間関係は重要事項

辞めた理由(図2-1)のトップは「店長や社員の雰囲気が悪いから」と「給与が低いから」でともに20%。

次に、高校生の継続して働く理由(図2-2)だが、トップの理由は「勤務地が自宅から近いから」で34%。
以下、「店長や社員の雰囲気がよいから」が24%、「時間の融通がきくから」が23%となっている。

高校生の辞めた理由と継続の理由、内容的に一致していると言える部分は…。

大学生/時間とお金で満足すれば、大学生は辞めない!?

辞めた理由(図2-3)だが、最多回答となったのは「店長や社員の雰囲気が悪いから」で22%。次いで多かったのが「給与が低いから」の19%。

継続して働く理由(図2-4)で、もっとも多かったのが「時間の融通がきかないから」の35%。しかし、次いで多かった「給与が高いから」も34%と、割合としては拮抗している。

大学生の辞めた理由と継続の理由、高校生と違い、内容的に一致していない部分が…。

3.属性別 辞める理由と継続の理由(フリーター・主婦)

フリーター/辞める理由に、フリーターの思いが隠されている

フリーターの、まずは男性から。辞めた理由(図3-1)では、「給与が低いから」がトップで21.5%。特徴的なのは、「信頼できない会社だから」「正社員でないから」「将来役立つ資格・技術が身に付かないから」といった理由がランクインしている点。この特徴は女性フリーターにも見られる。継続の理由(図3-2)では「イエチカ」がトップとなった。

女性フリーターの辞めた理由(図3-3)は、男性とほぼ同じ項目が並ぶ。継続の理由(図3-4)では、1位は「イエチカ」が入ったが、2位以下に目を向けると…。

主婦/家から近いほど頑張って働く…!?

主婦の辞めた理由(図3-5)は、最多回答が「店長や社員の雰囲気が悪いから」で14.3%。2位には「仕事の内容が自分に合ってないから」が入った。しかし、他の属性ではベスト3常連の項目がない…。

継続して働く理由(図3-6)では、「勤務地が自宅に近いこと」が43.2%と圧倒的に多く、イエチカ重視という主婦の特性がよく出た結果となった。また「時間の融通がきくから」「1日に働く時間が短いから」も上位に入った。ここから見えてくることは…。

今月のまとめ

  • 高校生、大学生、主婦はすべて人間関係が辞めた理由のトップ。また、継続理由としては高校生と主婦が「イエチカ」、大学生が「時間の融通」。少なくとも、こういった点を考慮しての採用計画は効率的となるはず。
  • フリーターは、男女とも辞めた理由と継続の理由に、正社員志向が強く出た項目が目立った。正社員登用や、資格・技術が身に付く仕事内容といった点を強く出してけば、比較的長期的にフリーターの人材確保が安定するだろう。
  • 全体には「辞める理由=人間関係」、「継続して働く理由=イエチカ&給与」といったパターンが多いようだ。つまりは、辞めた理由と継続理由は往々にして一致しない。結果、辞める理由の改善が難しくても、継続理由をより伸ばすことでより良い人材確保につなげたい。

 

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