医療系・介護系と理美容系の仕事、探す際の重視点と辞める理由

  • 業界別求職者動向

 

資格や技術を要する職種の募集が多く、採用難易度が高い医療系・介護系と理美容系。
それだけに、よりユーザーに響くような募集内容や、有能な人材への離職防止策が重要となってくる。
そこで今回は、これら職種の求職と退職の傾向を調べ、
募集時に何をアピールし、どう離職防止すべきか、そのヒントを探る。

今月のポイント

  • 仕事を探す際、もっとも重視するのは「やりがい」。医療系・介護系は給与の高さや雇用形態も重要。理美容系は資格・スキルが身に付くことを重視。
  • 退職理由は、給与や、勤務時間といった条件面が上位に。理美容系に関しては自分に不向きと感じて辞めることも多い

調査概要

[ 医療系・介護系・理美容系の調査概要 ]
■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:関東(1都3県)、関西(2府2県)に住む20~50歳の男女で対象となる資格を持っている人
・医療系…看護師、准看護師、助産師、看護助手、臨床検査技師、薬剤師、登録販売者、鍼灸師、作業療法士、理学療法士、柔道整復師、医療事務、歯科衛生士
・介護系…介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士(ケアワーカー)、社会福祉士(ソーシャルワーカー)、訪問介護員(ホームヘルパー)
※ホームヘルパーの1級、2級、3級の区別は問わない
・理美容系…理容師、美容師
■調査時期:2009年8月11日~8月22日
■サンプル数:計1500(関東1000・関西500)

[ 全職種平均の調査概要 ]
■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:2008年3月-2009年2月の1年間に非正規雇用に就業した、もしくは非正規から正規雇用への就業を経験したことのある18-34歳の男女
■調査時期:2009年3月
■サンプル数:7608

1.医療系・介護系と理美容系の仕事を探す際の最重視点

「やりがい」がすべてでトップ回答

まずは医療系と介護系から見てみよう。仕事探しでもっとも重視した点として最多回答となったのは、ともに「やりがいのある仕事であること」で、医療系16.1%、介護系15.7%だった。この回答における、全職種平均が4.0%だったことと比較すると、いかにこの割合が高いかがわかる。同様に、全職種平均より高い数値だった回答としては「正社員、または正社員に近い雇用形態であること」(医療系8.7%、介護系13.0%)に着目したい。

次に理美容系を見てみよう。理美容系でもトップ回答となったのは「やりがいのある仕事であること」で、実に21.5%を占めた。しかし、2位以下では「資格や技術が身につく仕事であること」(12.8%)、「興味のある仕事内容であること」(11.4%)と医療系・介護系ではさほど目立たない理由が上位に入っている。また、医療系・介護系で多かった「正社員、または正社員に近い雇用形態であること」が、わずか1.3%に過ぎなかった点も興味深い。

医療系・介護系と理美容系、ともに「やりがい」が仕事探しのキーワードであることは間違いなさそうだ。したがって、募集する側は丁寧に仕事内容やその喜びを説明するなどして、効果的に「やりがい」をアピールしたい。また、医療系・介護系に関しては、正社員やそれに近い雇用形態であれば、ぜひ強調したいポイントである。

図1.探す際の重視点

2.医療系・介護系と理美容系の仕事を辞めた理由

条件面が辞める理由の上位に

次に、辞める理由だが、まず医療系と介護系はどうだろうか。まず医療系では「職場や社員の人の雰囲気が悪いから」が29.0%(複数回答。以下同じ)ともっとも多く、介護系では「業務内容の割に給与が低いから」が30.5%でトップ回答だった。また、2位以下で注目すべきは「1日に働く時間が長いから」(医療系18.1%、介護系16.0%)と「もっとよい条件の仕事が見つかったから」(医療系17.0%、介護系17.2%)の2つ。ともに、全職種平均を上回る数値となっている

一方、理美容系では、「業務内容の割に給与が低いから」と「1日に働く時間が長いから」ともに23.2%で最多回答。次いで多かった「自分には向いていない仕事だと感じたから」は20.7%で、医療系・介護系や全職種平均を大きく上回る結果となった。

全体としては、3職種に共通した辞める理由として、「給与」や「勤務時間」といった条件面が上位を占めていることがうかがえる。離職防止の施策としては、よりやりがいを感じるよう環境を整えたり、(一律の改善は難しくても)必要に応じた条件面の改善が効果的だろう。

また、理美容系に関しては「自分に向いていない」という退職理由が目立った。強いやりがいを抱いて入る人が多い職種だけに、壁に当たるとその落差が大きいとも考えられる。頻繁なコミュニケーションや、それにともなう励ましなど、日頃から細かいフォローをしていきたい。

図2. 辞める理由

vol.29 : PDFダウンロード

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