アルバイトはなぜバックレる?雇用主が知っておくべき対応や法律、防止策
- 雇用主向け法律情報
アルバイトのバックレは雇い主にとって、無視できない課題点です。アルバイトがバックレる理由、防止策、バックレが起きてしまった際に雇用主がとるべき対応をご紹介します。また、事後対応時に必要な法律に関する知識もあわせてまとめました。
目次
アルバイトがバックレる理由
アルバイトがバックレれる背景を探るには、原因を知らなければなりません。アルバイトのバックレ理由として多い要因をご紹介します。
・寝坊をし、出勤するのが気まずくなった
バックレの原因として、よく見られるケースです。出勤当日に思いもよらず寝坊をしてしまい、連絡を入れないまま無断欠勤をしてしまうのです。寝坊をしたことを怒られるのではないか、という不安や気まずさを感じて連絡を絶ってしまうアルバイトは、意外にも少なくありません。
・シフトに入っていることを忘れた・知らなかった
そもそも自分のシフトを知らずに出勤してこないパターンです。勘違いによるバックレのため、次からは改善されることが多いです。ただ悪気がないとは言え、一度バックレてしまった気まずさから、次回以降出勤してこない場合もあります。
・職場の環境に不満があり突発的にバックレ
人間関係や勤務体系など、職場環境に強い不満があるアルバイトは、バックレてしまうことがあります。日頃から不満を口にしている場合もありますが、なかなか口に出せずある日突然気持ちが爆発してしまう、といったケースも。不満が原因である場合は、アルバイト本人に連絡がついても、改善が見込めなければほとんどは退職してしまうでしょう。
・退職の希望があった
以前から退職したいという思いを抱いていた、といった原因も多く見受けられます。退職を相談したが受け入れられなかったか、希望を言い出せなかったかなど、どちらかの状況下で起こりやすいバックレです。アルバイト本人に明確な退職の希望があるため、今まで通りの勤務をしてもらえる可能性は低いでしょう。
【段階別】アルバイトにバックレられた際にとるべき対応
実際にアルバイトがバックレ、つまり無断欠勤をした際、雇用主にはいくつかの対応を求められます。バックレが発生し退職に至るまでの段階別に、とるべき措置をまとめました。
1. アルバイトのバックレが発生したら
出勤時間の前に、なんらかの事故や事件に巻き込まれている可能性もあります。まずは、アルバイト本人に電話をかけましょう。本人と連絡がついた場合、事情を説明してもらいます。やむを得ない事情でなかった場合、以下の3点を確認・伝達します。
・シフトが入っていることを伝え、出勤を促す ・以降このようなことがないように注意 ・以降のシフトに出勤の意思があるか確認 |
2. バックレを行ったアルバイトと連絡がつかない
電話などでこちらから何度連絡をとっても連絡がつかない場合、残念ながら今後も連絡がつかないと考えた方がよいでしょう。連絡をとれる可能性も0ではありませんが、現場に混乱があってはならないため、退職を念頭に置いて行動する必要があります。
欠勤したアルバイトを退職希望とみなし、当日と翌日以降のシフト調整を行います。
3. 制服やエプロンなどの備品回収
アルバイトを雇用している会社では、制服などを支給していることもあるでしょう。貸し出し品である場合、退職後にアルバイトから返却がなければ業務上横領罪(刑法253条)に当たります。
会社の損害にもなり得るため、備品回収の連絡は必ず入れます。連絡がとれないときは、同じ職場ではたらくアルバイトにも連絡をお願いし、職場に持参もしくは顔を出しづらいことを考慮し郵送で受け付けてもよいでしょう。
4. 退職もしくは解雇の手続きを行う
バックレたアルバイトに退職の意思があった、または連絡がとれないまま就業規則などで定められている期限を超過した場合は、アルバイトの退職・解雇手続きに移ります。社会保険に加入しているアルバイトの場合、喪失手続きも忘れずに行いましょう。
本人の意思がなくとも、雇用書類の退職に関する事項の中に該当する記載があれば、手続きを行っても問題はありません。規則に当てはまらない期間内の場合は、不当解雇のトラブルを避けるため、本人の退職届が必要です。退職届を提出してもらうか、規則に当てはまるまで待つかのどちらかで対応します。
アルバイトのバックレと法律的問題
バックレたアルバイトの処遇に関する疑問の中には、法律についての知識が必要になり、自身で判断が難しいものが多いです。ここでは、雇用主が知っておくべき法律的な知識をQ&A形式でご紹介します。
Q. バックレたアルバイトを懲戒解雇できるかどうか
バックレたアルバイトにペナルティを与える選択肢の一つとして、懲戒解雇を思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし、退職金などが発生しないアルバイトの場合は、懲戒解雇はあまり一般的ではありません。
加えて雇用側に非が見当たらず、かつ対象者が社内全体に支障をきたすほどの損害を及ぼした、などの稀なケースでない限り、懲戒解雇を行うのは難しいです。数回の無断欠勤を原因に懲戒解雇を行うことは、不当解雇に当たると考えられるため避けた方がよいでしょう。
Q. 給料の支払い義務はあるのかどうか
法律上、アルバイトが勤務した分の賃金の支給(労働基準法第24条法)が義務付けられています。支給しなかった場合はもちろん違法とみなされます。
例外として、就業規則に無断欠勤・退職時の反則金が明記されている場合は、一部賃金を差し引くことが可能です。しかし、給与全額を反則金として受け取ることはできないため注意してください。
Q. 損害賠償の請求ができるかどうか
アルバイトのバックレは、不当行為(民法709条)に該当し、損害賠償を請求することは可能です。実際に、バックレを行ったアルバイトに対し損害賠償を検討する企業も存在します。しかし、社内の損害とバックレの因果関係を証明することは極めて困難で、賠償が成立するのは珍しいケースとされています。
請求できる金額も低く、支払われないことも考えられるため、手間がかかる分の見返りは得にくいです。
アルバイトのバックレを減らす防止策3選
バックレを行ったアルバイトに対して罰則を与えたり、賠償金を請求したりすることは大変難しいものです。アルバイトのバックレを解決するには、事前の防止に尽力するべきでしょう。今すぐにでも実践すべき、バックレの防止策3つをご紹介します。
・就業規約にバックレに関する内容を詳しく記載 ・バックレによってアルバイトがこうむる不利益を日頃から周知 ・「ヒアリング」や「承認」を中心としたコミュニケーション |
・就業規約にバックレに関する内容を詳しく記載
アルバイトのバックレ対策として、あらかじめ就業規則にバックレが起こった場合の対応を詳細に記載するのは基本中の基本。バックレを行うとどのような手順が踏まれるのか明記することで、バックレがしづらい職場であるとアルバイトに認識してもらうのです。
また、バックレたアルバイトに対して反則金を希望する場合は該当箇所に記載をすることが必須。バックレにかかわる規則を設けておけば、実際に起ってしまった後のリスクを減らせます。
・バックレによってアルバイトがこうむる不利益を日頃から周知
雇用契約を結ぶ際に同意した就業規則でも、アルバイトが内容を覚えていない、詳しく読んでいなかった、といった状況は十分にありえます。
日頃から、アルバイトのバックレによって発生するリスクと、実際に本人がどんな処遇を受けるかということを周知しておきましょう。バックレ自体を防ぎ、バックレ後のトラブル回避も兼ね備えてくれるはずです。
・「ヒアリング」や「承認」を中心としたコミュニケーション
アルバイトが起こすバックレの原因には、職場環境への不満や希望が伝達できていないことも含まれていました。バックレは、アルバイトへの適切な聞き取りと承認で防ぐことができます。
アルバイト一人ひとりに対し、日常業務中に話しかけたり、定期的なミーティングを開いたりして、口に出せないモヤモヤとした気持ちを解消する機会を設けましょう。具体的には、環境に不満はないかどうかの確認、業務への感謝を伝えてください。
アルバイトによるバックレの被害を最小限にするためにも正しい知識を持ちましょう
アルバイトのバックレは、現場における大きな課題のうちの1つです。アルバイトのバックレは雇用主にとって大きな痛手でありながら、法律上の問題もあり対応が慎重になりがちです。
アルバイトのバックレの被害を食い止めるためには、まず正しい法律の知識と対応を知る必要があります。この記事を参考に、日頃から防止策を講じましょう。会社に落ち度がなく、バックレが発生した場合は、適切に毅然とした対応をとってください。
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