【アルバイト雇用】契約違反でよくある項目とは? 絶対にとるべき対策4つ
- 雇用主向け法律情報
アルバイトの雇用契約の違反が世間を騒がせることが増えてきた昨今。「ブラックバイト」という言葉も浸透してきています。労働基準法で定められた項目はしっかり把握出来ていますか? アルバイト採用時、また雇用期間内で絶対に知っておくべき、よくある違反項目をまとめました。違反しないための対策や罰則についてもご紹介します。
目次
アルバイトが思う「ブラックバイト」のイメージとは?
【調査地域】全国 【調査対象】15-24歳、アルバイト経験もしくは今後のアルバイト就業意向がある人 【調査期間】2015年7月28日~7月30日 【有効回答数】2,472サンプル |
アンケートを見てみると、職場の人間関係や仕事内容のほかに、労働時間や給与についての回答が多いことがわかります。労働基準法の範囲内の残業時間であったり、事前に定めた内容通りの給与額であったりすれば問題はありませんが、過度な残業の強要や給与の未払などは雇用契約違反となる場合があります。
アルバイト雇用契約でありがちな違反項目
アルバイト雇用契約にはいくつかの違反項目があります。そこで、アルバイト雇用において違反してしまうことの多い項目をご紹介します。
【採用時】
●労働条件を明示しない
採用時、雇用主は労働条件通知書などで労働期間や業務に関する労働条件を明示することが定められています。労働基準法に定められた内容を明示せずに採用をしてしまうと、雇用契約違反となるため注意が必要です。
【賃金について】
●最低賃金を下回っている
アルバイトの賃金は、最低賃金法によって国が賃金の最低額を定めています。そのため雇用主は、労働者に最低賃金額以上の賃金を支払わなければ罰則が科される可能性があります。また、最低賃金額以下の賃金を雇用主と労働者の双方合意のうえで定めたとしても、それは無効となり最低賃金額と同額に定めたとされるため注意しましょう。
参照:「詳しく知りたい!!!毎年10月は最低賃金改定の時期」
https://baito-report.jp/repo_cont/trend/20180925
●タイムカードと実働時間に差異がある
出社と退社の時刻をタイムカードで管理する場合、タイムカードの記録と実働時間に大きな開きがある場合があります。打ち込んだ記録と実働時間の違いはトラブルの元となります。例えばタイムカードだけでなくパソコン上でも労働時間を管理する、残業をする場合は事前に申請する、などをして徹底的な時間管理を行いましょう。
●残業や深夜帯勤務の手当を付けていない
労働基準法において、1日8時間以上、1週間で40時間以上の労働には残業手当が支給されることが定められています。また同じように、午後22時~午前5時間の労働には深夜手当が支給されます。それぞれ1時間あたりの賃金に25%以上の割増率をかけた額が割増賃金額となります。
【休憩・罰則について】
●休憩を正しい時間で与えていない
労働基準法では、「6時間以上8時間未満の労働時間では45分以上の休憩」「8時間以上の労働時間では1時間以上の休憩」を労働者に与えることを定めています。これらの基準を満たさない休憩時間や、そもそも休憩時間を与えていない、といった場合は労働基準法違反となります。
●ノルマに対し罰則(ペナルティ)がある
アルバイトに対し、ノルマや目標があることには問題はありません。しかし、そのノルマを達成できなかった際に罰則や罰金などのペナルティを科すと、労働基準法違反となります。また罰金を給与から控除したり、自社の商品を購入させたりすることも違反行為となります。
違反した際に科される罰則とは
労働基準法に違反した場合、罰金や懲役などの刑罰が科される場合があります。しかし、すぐに罰則を受けるわけではなく、多くの場合は違反状態を是正するための指導が行われます。そして、それでも状態が改善されない場合に、罰則が適用されることになるのです。その際、科される罰則の例には、以下のものがあります。
30万円以下の罰金
・労働条件の不明示 ・賃金の未払い ・制限を超えた制裁規定 など |
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
・労働者の差別的取扱 ・規定を超えた労働時間 ・規定以下の休憩・休日 ・割増賃金の不支給 など |
またこの他にも、場合によっては50万円以下の罰金、20万円以上300万円以下の罰金を科されたりすることもあります。違反項目によってはさらに重い罰則を受ける可能性もあるため、どのような行為が違反となるのか入念な確認が必要となります。
法律違反しないためにとるべき対策4つ
違反をしている人の中には、「法律違反」と気が付かずに違反をしてしまっていることもあります。ご紹介したような法律違反をしないためには、どのような対策をするとよいのでしょうか?
1. 定期的に労働基準法を確認しよう
事前に労働基準法を把握しておくことはもちろんですが、法律が新たに加わったり、変更されたりする可能性があります。既存の労働基準法を調べる際には、新たに加わった法律がある可能性を考えながら、定期的に調べる習慣をつけましょう。
2. 雇用契約書を作成しよう
雇用契約書は必須の資料ではありません。無くても違反にはなりませんが、採用時、雇用主と労働者が労働条件を改めて確認できるツールとなります。作成しておけば、違反を防ぐことにもつながります。
参照:「アルバイト・パート採用に!雇用契約書雛型など無料テンプレート16選」
https://baito-report.jp/tools/
3. 勤怠管理は徹底しよう
勤怠管理には、労働時間の適正な把握が必須となります。実働時間の記録はもちろん、手当についてもしっかり確認することが重要です。また同時に、実働時間とタイムカードの差異があるかどうか、労働者への確認も行えば、確実な把握が可能です。
4. アルバイトとコミュニケーションをとろう
労働者が労働条件に疑問を持っていた場合、気軽に申し出ることが出来る環境づくりを行えていますか?どれだけ入念な確認と準備をしていても、項目が多い分、見落としている違反がある可能性は0ではありません。大きなトラブルを防ぐには、疑問を解消しやすく、相談やコミュニケーションのとりやすい環境づくりが重要となるのです。
アルバイトと雇用契約を結ぶ際は法律違反に注意! 安心してはたらいてもらおう
いかがでしたか?アルバイトと雇用契約を結ぶ際によくある労働基準法違反項目をまとめました。違反をした場合には、多くの場合は労働者ではなく雇用主が罰則を受けることになります。定期的に法律を確認するなど対策をとって、アルバイトが安心してはたらける職場をつくりましょう。