求職者分析から見る年間アルバイト採用計画のポイント

  • 採用課題

年間のアルバイト採用計画を決めるにあたり、
「いつ募集するのが効果的なのか?」や「求職者が求めているのは何か?」といった
求職者の動きを掴みたいという採用担当者も多いのではないだろうか。
そこで今回は、2009年のユーザー動向から属性別に季節ごとの特徴を読み取り、
求職者調査から仕事探しで重視する点を探ることで、
よりよい採用計画につながるヒントを掴みたい。

今月のポイント

  • 長期休暇前に応募が集中する高校生。長期休暇+学校の節目に応募が多い大学生。その節目に遅れる主婦、アルバイター。
  • 仕事選びの重視点としては、高校生は未経験可にこだわり、大学生は特出したものがなく平均的。主婦は勤務地や時間の融通を最優先。アルバイターは正社員志向が強い。

調査概要

【属性別応募動向】
■データ抽出元:「anエリア」「anセレクト」「anレギュラー」への属性別応募
■抽出対象期間:2009年1月1日~12月31日
【求職者調査】
■調査方法: インターネットリサーチ
■調査対象:北海道、関東(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知、静岡、岐阜、三重)、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)、九州(福岡)に在住する直近1年以内のアルバイト・パート求職活動者(15-44歳の男女)
■調査時期: 2009年12月4日~12月9日
■サンプル数:2,705

1. 2009年・年間応募動向から読み取る属性別の求職タイミング

高校生・大学生は「7月」、主婦・アルバイターは「10月」がトップ

まずは、属性別に調べた2009年の年間応募動向を、応募の多かった月ベスト3という視点で見てみよう。

高校生の場合、もっとも多い月は夏休み前の「7月」となった。これは、長期休暇に合わせたアルバイトを探すためと考えられる。3位に入った「12月」も、年末年始の休暇期間を利用してアルバイト探しをしている様子が伺える。また、「2月」が多かったのは、卒業を控えた高校生3年生のアルバイト探しが集中するためだと考えられる。

大学生は、もっとも多い月が「7月」である点は高校生と同じだったが、2位に「5月」、3位に「10月」が入った点が特徴的である。「5月」は、新入生なら入学後が、2年生以上であればキャンパス移動などが一段落した時期であり、また「10月」は夏休みが明け後期(秋学期)が始まる時期である。以上のことから、大学生は学生生活の節目の時期にアルバイトを探し応募していることが分かる。

主婦を見てみると、応募が多い順に「10月」、「5月」、「9月」となった。この順位から、夏休みなどの長期休暇や節目に合わせるのではなく、逆にその時期より少し遅れていることがわかる。子どもが家にいる夏休みは家事に専念し、それが過ぎてからアルバイト・パートを探して応募するのが「9月」「10月」だと考えられる。また、「5月」が多いのは、子どもの進学や新学期開始で忙しい3月~4月が過ぎ、生活が落ち着いたためだろう。

アルバイターは、1位となったのが「10月」で、「6月」「7月」が続く結果となった。ただアルバイターは他の属性と比べると正社員志向が強いため、仕事探しを始めてから応募に至るまでの期間が長い点に注意が必要である。この点を考慮すると、「10月」は、お盆明けや9月から仕事を探し始め、吟味を重ねた結果応募をする時期。「6月」「7月」は、学校を卒業したり、年度末の3月に退職した若者が、一息ついてから仕事探しを始め、色々な職と比較した上で応募し始める時期だと考えられる。

 

図1.属性別の応募が最も多かった月

図1

 

2. 2009年・求職者調査から見る属性別「働く重視点」

イエチカを強く望む主婦、正社員志向のアルバイター

次に、属性別に調べた求職者の働く上で重視する点を見ていこう。

まず高校生だが、最多回答は「未経験でもできる」(93%。複数回答、以下同様)。他の属性と10%以上の開きがあり、それだけ重視度の高さが伝わる。それに反比例するように「経験/スキルアップができる」(55%)、「自分の経験・専門性が活かせる」(47%)などの項目は目立って割合が低かった。初めてアルバイトをする高校生が多く、経験や成長よりも不安の方が大きいことが影響しているのではないだろうか。そう考えれば、「同世代が多く働いている」「同性が多く働いている」などが他の属性に比べて高いことにも納得がいく。

大学生の場合、他の属性より目立って多い重視点はほんど見られず、あくまで平均的だということが特徴的と言えば特徴的だろう。属性別で比べると多かった重視点に「今までと異なる経験・スキルを身に付けられる」(59%)があることから、他の属性と比べると、アルバイトにも慣れ興味や関心で仕事を選ぶ傾向があるのかもしれない。

一方、主婦となると、「通勤に便利な勤務地である」(97%)、「家から近い勤務地である」(94%)、「勤務時間の融通がきく」(90%)など、軒並み90%以上の回答を得た重視点がいくつも出た。やはり、家から近いことと時間の融通は、家事や育児と両立させなくてはならない主婦にとって、不可欠な要素となっているようだ。

アルバイターの場合、最多回答は「通勤に便利な勤務地である」(88%)だが、注目すべきは「倒産/失業の心配がない」(78%)、「経験/スキルアップができる」(73%)が目立って高いという点。また、「社員登用制度がある」(60%)は他の属性と比較すると群を抜いて高いことも同様だ。安心して働け、しかも働くことでスキルアップにつながることを望み、正社員志向も高い。そんな実像が浮かんでくる。

採用側にとっては、こういった属性別の重視点を応募内容、求人に反映させ、さらに面接等でしっかりアピールしていくことが、効果的な採用計画につながっていくだろう。また、属性を絞った採用計画がある場合、その属性の行動に合わせた訴求をすることで、さらなる効果向上を目指したい。

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