募集だけには頼らない! ヘルプの活性化で人手不足を解消

  • お役立ちインタビュー

 

人手不足解消のための手段として、新しくアルバイト募集を出して採用を行うことはとても大切なことです。しかし、それだけでは十分とは言えません。採用難のこの時代を乗り越えるためには、新規採用だけではなく既存スタッフの活用も重要になってきます。

前回のアルバイトレポート(実はあと『10.1時間』もシフトに入りたかった!?既存スタッフ稼働最大化のススメ)では、「実はシフトに入りたかったのに」というスタッフが実はたくさん存在するということをご紹介しました。そして、①直前にもう一度自店舗のスタッフに確認する、それでもだめなら、②多店舗のスタッフにヘルプをお願いしてみる、ことをご提案しました。

特に多店舗展開企業の場合はヘルプ制度の運用が重要になりますが、連絡調整にかかる工数の多さやフォロー対応の不足のため、なかなかうまく定着しないというケースも多いようです。今回は、そんなヘルプ制度を上手に運用するためのポイントについてお話を伺いました。

ヘルプを有効活用するための3つのポイント

ヘルプを有効活用するためには、いかにアルバイトスタッフの目線で考えることができるかが非常に重要です。そのうえで大切なのが、次の3つのポイントです。

1. 業務を標準化できている
2. インセンティブ設計をしっかりする
3. 情報の連携が密にとれる仕組みをつくる

 

業務の標準化でスムーズにスキルを共有

──それぞれのポイントについて、具体的に解説していただけますか?

まず、業務の標準化というのは、どこの店舗へ行っても、アルバイトスタッフがやるべき仕事は基本的に同じで、大きな差異がないような体制を整える、ということです。簡単に言えば、きちんとしたマニュアル作りが業務の標準化につながります。

慣れない環境の中で、あまり面識のない店長やスタッフと一緒に仕事をするというだけでも、ヘルプに入ったスタッフは緊張するもの。そこでさらに、いつもとは違う仕事の進め方を指示されてしまっては、ストレスを感じてしまい、ヘルプに対して悪い印象を持ってしまうことにもなりかねません。しかし、業務がきちんと標準化されていて、やり慣れた仕事の進め方をこなせばよい、という状況であれば、安心して働くことができます。

また、基本的な仕事内容は変わらないとしても、店舗によって使用する機器などの設備が違っていたりすると、なかにはそれをストレスに感じるスタッフもいます。そのため、できれば設備や環境といった部分まで標準化できるのが理想です。

 

インセンティブ設計でモチベーションをアップ

──2つめの「インセンティブ設計をしっかりする」とは、どのようなことでしょうか?

ヘルプがうまくいっていない店舗に共通して言えるのは、スタッフへの配慮が足りていないということです。たとえば、ヘルプに入った店舗で、“手伝うのは当たり前”という態度をとられたり、忙しさのあまり店長が仕事につきっきりでまったくヘルプのスタッフを見ていなかったり。せっかくヘルプに入ってくれたのに、そのような対応では、スタッフが気持ちよく仕事できるはずがありません。

一方で、ヘルプがうまくいっている店舗は、これとは真逆です。店長が優しく仕事を教えてくれたり、「今日は忙しいところ、手伝いに来てくれてありがとう!」とちょっとした声かけをすることで、ヘルプに入ったスタッフがとてもいい印象を持ちます。実際、アルバイトスタッフにヒアリングしてみると、そうしたプラスの体験をしている人ほど、それ以降も積極的にヘルプに入るようになるそうです。

つまり、いかにして「ヘルプに入って良かった!」「またチャンスがあったらヘルプに入ろう!」と思わせるかが重要なのです。そのためには、先ほど例に挙げたような心理面へのアプローチも大切ですし、さらにもう一歩踏み込んで、インセンティブ設計をしっかりすることが大事になります。

 

インセンティブの具体例としては、ヘルプに入ったときの時給を100円アップする、ヘルプに行ってくれたスタッフにはギフトカードをプレゼントする、などが挙げられます。また、ヘルプに行くこと自体に評価を与えることも、インセンティブ設計の1つと言えます。このようにインセンティブを見える化することで、ヘルプに入るモチベーションを上げさせることもできるのです。

 

情報の連携が密にとれる仕組みで連絡工数を削減

──スタッフが自発的にヘルプに入りたくなるように導くことが大事なんですね。では、3つめの「情報の連携が密にとれる仕組みをつくる」ですが、なぜこれが重要視されるのでしょうか?

ヘルプを有効活用するためには、各店舗(店長)間、店長⇔アルバイトスタッフ間の密な連携が欠かせません。しかし、先ほども触れたとおり、ヘルプを入れる際には、連絡調整にかかる工数の多さというのが非常に大きなネックになります。

そもそもヘルプを入れたい店舗の店長は、人手が足りなくて困っている状態なわけです。そのような余裕のない状況の中で、自店舗のスタッフや他店舗の店長、本社など、複数に連絡を入れ、さらに調整するというのはとても煩雑な作業が発生するため、それだけでも大きな負担になります。そうした従来のやり方ですと、組織全体を俯瞰で見ることは不可能なため、自分が直接やりとりした限られた部分の情報しか得ることができません。

また、ヘルプを依頼される側の店舗にも課題があります。たとえば、A店の店長からB店の店長に、「ヘルプを出してほしい」というメールが来たとします。しかし、B店の店長自身が忙しくて余裕がないと、A店でヘルプを必要としているという情報がスタッフにまで伝わっていない、というケースがけっこうあるのです。

一方、スタッフ側としては、先の都合がわからないため、確実に入れそうな日程だけに絞り込んでシフトを提出しなければなりません。そのため、シフト提出締切以降に予定がぽっかり空いてしまった、ということも多々起こります。店舗によっては、その時点で店長に交渉し、シフトを追加することも可能かもしれませんが、そこでの調整にまたひと手間かかってしまいます。このように、情報の連携を密にとろうとすればするほど、より多くの工数が発生してしまうわけです。

従来の情報連携の手段といえば、メールやグループウェアなどが一般的でした。しかし、これらのやり方だと、関わる人間が増えれば増えるほど複雑化してしまったり、スタッフ全員にまで情報を行き渡らせるのは困難であったり、といった問題が発生していました。これを解決するためには、仕組みそのものから見直す必要があるというわけです。

──最近、そのような情報連携における問題を解決できる新しいサービスを作られたとお聞きしました。

そうですね。よりシンプルに、なおかつ少ない負担で、密な情報の連携を可能にしたのが「Sync Up」(シンクアップ)というサービスです。

──「Sync Up」とはどのようなものか、ちょっとだけ教えていただけますか?

ひと言でいうと、各店舗の店長とアルバイトスタッフをつなぎ、情報を共有できるスマートフォン用のアプリです。複数の店舗の状況を店長とスタッフが共有できるため、これまでヘルプのやりとりにかかっていた工数を大幅に削減できます。

ヘルプを必要とする店舗の店長は、最小限の手間で効率的にヘルプを募集することができます。一方、ヘルプを出す側の店長にとっては、自店のスタッフに働く機会を提供できることで、シフトに入れないことを理由に辞めてしまうというスタッフの流出を防ぐことができます。そして、スタッフはシフト提出後も、自身の都合に合わせていつでもシフトを追加することが可能になります。その結果、自分の理想に近い時間、働くことができるようになるというわけです。

もし少しでも気になる方がいらっしゃったら、HPをご覧いただくか、お電話でお問合せいただけるとうれしいです。

──このアプリがうまく活用されれば、店舗にとってもスタッフにとっても、大きなメリットがありそうですね。

近ごろ、「ヘルプ文化をもっと定着させたい」「ヘルプを活性化させたい」という声が多く聞かれるようになってきました。とくに、人材の採用が難しいエリアでは、ヘルプの存在が非常に重要になってきます。今回ご紹介した3つのポイントをベースに、ヘルプを有効活用し、人手不足の解消に役立てていただけたらうれしいです。

 

まとめ

今回、藤澤さんには、ヘルプ制度を上手に運用するための具体的なノウハウを教えていただきました。

▼ヘルプを有効活用するための3つのポイント
1. 業務を標準化できている
2. インセンティブ設計をしっかりする
3. 情報の連携が密にとれる仕組みをつくる

今回の取材を通じて見えてきたのは、いかに働くスタッフの目線になって考えることが大事か、ということです。雇用する側もされる側も、結局は“人”なので、きめ細やかな対応や心が通じ合うようなコミュニケーションも、ヘルプを円滑にするためにはとても有効です。

本稿が、これからの店舗運営に少しでも寄与できれば幸いです。

【参考】
sync up公式サイトとお問い合わせ先
https://sync-up.info/
03-6757-4259

 

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