「面接時の質問と、その聴き方」 株式会社 fRee sTyle 城田京子
- お役立ちインタビュー
面接の際、一方的に話してばかりでは、採用するか否かの判断はできません。
候補者の話を聴き、何を想い、ここへ来るに至ったのかを知る必要があります。しかし、何気なく聴いているだけでは、候補者の本当の想いを読み取ることはできません。さて、面接時にはどのような点に注意して候補者の話に耳を傾ければよいのでしょうか?
採用面接のご担当者のみなさま、こんにちは。 前回は「質問」についてお話ししました。
今回は面接で候補者に投げかける「質問」について一緒に考えていきましょう。
今回はその「聴き方」がテーマです。
面接官は「聴く」ことでしか候補者を知ることはできません。充分に聴くためにもまずは候補者に話してもらいましょう。そして面接官であるあなたがそれをしっかり聴く・・・つまり感度良く受信することが大切です。
それではどうやったら、候補者が手に取るようにわかるくらいうまく受信できるのでしょうか?受信の方法は2種類です。ひとつは、言葉~何を話したか~から情報を受け取る方法。もうひとつは言葉以外のもの~身振り手振り、姿勢、表情、声色、話すスピード、など(非言語と言います)~から情報を受け取る方法です。
この二つのどちらが欠けても、正しい情報は受信できません。たとえば「御社に貢献します」と候補者が言ったとします。そのときあなたはその候補者に、意欲というものが非言語でも表れているか、つまり言葉と態度が一致しているか、それを確かめなければなりません。意欲のサインは瞳によく表れます。そこに輝きはあるでしょうか。そして目に力があること。例えば焦点はあっていますか、視点は定まっているでしょうか。また、意欲的であれば姿勢は無意識に前傾になるでしょう。さらに、人は真剣なとき、本気のときは、筋肉に力が入ります。候補者の顔(特に口元)、上半身、腕、手指などを見てみましょう。本当は下半身などにもサインはよく表れるのですが、面接の場合は下半身がテーブルで隠れていることが多いので、上半身を中心に観察することになるでしょう。このように目に見えるサインのほか、耳でキャッチするサインもあります。意欲的であるか、ということであれば発声に勢いがあるか。そして、呼吸の深さ。人は重要なことを話すときは自然とお腹から深く呼吸をして発声します。これは相手の声を注意深く聴くことでわかります。
サインはどれも、言われればそうかと思うことばかりですが、人は言葉だけに気を取られて、表れた非言語のサインをしばしば見落としたり、聴き逃してしまうのです。ちなみに「言葉」と「表出したサイン」が一致しない場合は、サインのほうが正直である、ということを心に留めておくとよいでしょう。
さて、面接でいざ候補者の意欲を観察しようとしても、うまくできなかった場合・・・。確かにこれまで非言語情報を特に意識してこなかった人にとっては、表出したサインに気付くこと自体が難しいかもしれませんね。でもそれは最初だけで、何回か観察をし続けていれば、人の微細なサインにも段々気がつくようになっていきます。たとえば、面接だけでなく、電車の中や、駅やお店で人を待っているときなど、周囲の人を意識して観察すると、自分の観察力を鍛えるのに役立ちます。「この人は顔の血色がよく、口角が上がっているから何か嬉しいことや楽しいことを考えているのだな」とか、あるいは「血色があまりなく口角が下がっているから、何か不愉快なことを考えているな」など。ささいなことですが普段の生活の中で少し意識をするだけでみなさんはより鋭敏な観察者となれます。人の非言語情報を敏感に察知できたとき、あなたの聴く力はワンランクあがったということです。
城田 京子 / Kyoko Shirota 三菱商事、KPMG、その他国際的ビジネス・シーンでエグゼクティブ・アシスタントとして活躍後、1998年BOSCHグループに入社し、ヒューマン・リソースを担当。 アジア・パシフィック地域の人事総責任者として、欧州や米国の本・支社と連携をとりながらグローバルな人事開発を展開した。また国内で部下のマネジメントを実践しながら、日本、韓国、中国の各支社において人材開発プログラム、目標管理制度、コンピテンシー開発、賞与制度、その他数々の人事制度の導入と運営を実施した。 2003年よりコーチングをきっかけに、コミュニケーションと人材開発の世界に入り、2007年に独立し、株式会社 fRee sTyle を設立。代表取締役であるとともにみずから各種研修のトレーナーとして企業をまわっている。 |
取得資格
・PHP認定上級ビジネスコーチ
・JCDA認定CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
・米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー