対応漏れは厳罰に!?まだ間に合うマイナンバー対策を解説

  • 雇用主向け法律情報

 

“マイナンバー”制度こと社会保障・税番号制度。制度自体は決まったものの、具体的にやるべきことや、背景にあるリスクについて詳しく分からない人もまだまだ多いのではないでしょうか?誰にとっても他人事じゃないはずなのだけれど、実態は今ひとつ不透明。とくに1月からは、雇用側が実務に反映させないと罰則が適用されるという。そしてその内容は懲役または罰金というかなり重いものだ…。
考えるだけでそら恐ろしい“マイナンバー”制度。知らないでは済まされない雇用側が取るべき対策は何なのか、マイナンバー制対応のコンサルティングを行うパーソルプロセス&テクノロジー株式会社の岡本さんに導入のポイントと注意点を聞いてきた。

目次

知らないでは済まされない雇用側の知っておくこと、すべきこと

−−−12桁の番号が一人一人の住民登録している方に対して付番されるということくらいは何となくわかってはいるのですが、それが企業側/雇用側の実務にどれだけ関わってくるかというのは、今ひとつピンときていない人が多いのではないでしょうか?

「そうですね。企業側/雇用側にとっては規模に関わらずマイナンバー対策は必須です。というのも従業員の社会保険、雇用保険、ひいては年末調整などの税金の申告など、通常人事給与業務書類にマイナンバーを付番しなくてはいけないからなんですね。従業員が一人でもいれば対策は必要になります」

−−−書類に番号を付けるだけ? それなら大した問題では無い気がするのですが…。

「問題はそのマイナンバーが特定個人情報にあたるということなんです。作業としては、

  1. 集める
  2. 保管する
  3. 記載する
  4. 破棄する

という4つのプロセスで、そんなに大変なことではないと思われるかもしれません。普段使用しているExcelファイルに項目を一つ足して“マイナンバー欄”を足せばいいじゃないかと。ところがこれはNG。目的外のことで目に触れるようなところにマイナンバー情報を記載すること自体が禁止されているのです」

企業におけるマイナンバー利用の流れ

−−−すでに2005年には「個人情報保護法」で5,000件以上の個人情報を扱っている事業者の安全管理措置を義務付ける法律が施行されました。しかしそれでも「ウチは5,000件未満だから…」と対策をしてこなかった企業も多いと思います。このマイナンバー問題はそれとは違うのでしょうか。

「違います。簡単に言うと“個人情報”よりもさらに厳格な管理をしなくてはならないのが“特定個人情報”です。個人情報の中でも最高ランクに当たります。そしてこれこそがマイナンバーなのです。個人情報を漏らすことも問題ですが、特定個人情報が漏洩した場合の責任は重大です。たとえ悪意があっての流出でなくても罰則は懲役・罰金という重いものです。また漏洩しなかった場合でも、対策を取らなかったという時点で罰則が適用されます。中でも経営者と人事給与管理業務に携わっている従業員はきちんとした知識を持つ必要があります」

罰則は懲役・罰金…。企業側にとっては余りに大きいリスクだろう。そうしたマイナンバー制度に対応するために一体どんなことをしたら良いのか。また予測されるトラブルはどんなものなのだろうか。

4つのタイミングで起きることが予測される問題

①集める

従業員のみならずアルバイト・パート・外注スタッフ全ての情報が本人確認とともに必要

−−−10月5日より各個人に郵送されるマイナンバー。集めること自体に大した苦労はない気がするのですが…。

「そもそも個人ひとりひとりがきちんと受け取ってくれるか、そしてそれを紛失したりしないかという問題があります。対象が全国民なので、マイナンバーに関して知識のない人が誤って捨ててしまう/紛失してしまうという可能性は充分にあります。

そうなれば自然と企業側が収集するのにも時間がかかってしまいます。さらにただ収集するわけではなく、本人確認の義務もあるので、その業務プロセスも事前に考えておかなければなりません。その時に必要になるのは業務運用ルールですね。1月までに間に合わせればいいと思って年末に急いで収集、というのはリスクが高いでしょう。

従業員のように毎日顔を合わせるような人ならそんなに大変な作業ではないですが、たまにしか出勤の必要がないパートスタッフや外注業者などを含めると必ずしも楽な作業ではありません。厳密に言うと外注業者の場合は年間で15万円以上の取引があった場合に必要となります。

またシステムに本人確認のための写真などとともにマイナンバー情報をアップロードさせるという企業もありましたが、全てのスタッフがITスキルがあるわけではないので、高齢者など知識のない人が困らないように郵便書留などの手法も並行して取り入れる必要が出てくるでしょう。

さらにこの時に扶養家族などのマイナンバーも必要になるので、その本人確認作業も含めると、思うよりも時間がかかると考えたほうが良いかもしれませんね」

②保管する

ただ単にパソコンに保存しておくわけではない

−−−普通に考えると帳票やパソコンのExcelファイルなどに保存しておくということが考えられるのですが、それではいけないのが特定個人情報なのですよね?

「誰もが見られる形で管理はしてはいけません。さらにマイナンバーを使用するためには事前に目的を相手に明かす必要があります。一度給与業務のために番号を集めたからといって、それを違った目的で使用することは処罰の対象です。

従ってマイナンバーの必要があるたびに、収集し、適切に保管する義務があります。ただし、最初に収集する段階で、複数の利用目的を通知しておくことで、この煩雑な運用を回避することができます。 」

③記載する

通常の個人情報と同様の管理をしてはならない

「通常の個人情報と一緒に、誰もが閲覧できる状態での管理はできません。会計業務ソフトなどでも同じようには閲覧できないようにバージョンアップでマイナンバー対応をしていることがほとんどです。同じパソコンの中のことではありますが、漏洩リスク対策はとらなくてはなりません。マイナンバーを取り扱う業務を実施できるアカウントを制限する、ログを記録するといった対策が必要になります。 」

④破棄する

目的の業務が終了したら確実にマイナンバー情報を破棄・削除しなければならない

「マイナンバーを収集した目的以外で流用使用することは固く禁じられています。なので目的の業務が終わった際に確実な削除が必要となります。パソコン内のデータはもちろん、帳票などで記入した場合も復元不可能な形で破棄しなくてはなりません。

具体的には給与所得の源泉徴収票作成のために提供を受けたマイナンバーを健康保険や厚生年金保険手続きのために使用することは禁じられています。都度集めなくてはならないというのがマイナンバー制度の原則なのです」

雇用側がやるべきこと・タイムスケジュール

【11月】

①マイナンバー制度の概要を理解して、業務プロセスを決定

経営者、人事給与業務担当者を中心に制度を理解。それに伴い業務プロセスと方針を決定する必要がある。もちろんその際に担当者を決定することも必要。収集したマイナンバーの保管・管理方法を決定する必要も。PC・サーバーでのデータ管理を実施するのであれば、PC業務に長けた人物か、もしくは外注業者も選定して協業するのが理想。

②マイナンバーの収集開始

従業員だけではなく、その扶養家族、取引先のマイナンバー収集も必要。そして 同時に本人確認も行う。

【12月】

収集終了・収集漏れのチェック/再収集

【1月】

実務開始。雇用保険帳票などへの記入。

簡単にまとめると上記の通りなのだが、各企業によって業種も違えば規模も違う。やることはわかっていても、具体的な業務フローになると各企業の実態によって様々な問題が巻き起こってくることは容易に想像できる。

「結局のところ、ウチはどうすればいいんだ!?」に対応する相談無料窓口

以上で雇用側が取らなければならない対策はわかっていただけただろうか。もちろんこうしたマイナンバー制度に関わる業務は、通常業務と並行して進めなければならないもの。特に年末の忙しい時期に差し掛かってこうした従来無かった業務が増えるのは困りものである。

中小企業経営者などではこうした説明を理解したとしても、「結局のところ、ウチはどうすればいいんだ!?」と叫びたくなるのではないだろうか。

特に罰則が重いだけに、ここでの失敗は避けたい。情報漏洩に関しては社会的制裁も恐ろしいのが現代だ。業務に支障なく、この新たに増えるマイナンバー制度に関する業務をこなさなければならないというのは企業にとって大いに負担になる。

そんな時に頼りにできそうなのが、IBSの「マイナンバー対応支援サービス」だ。企業にとっては失敗が許されないのにもかかわらず、システム改修・業務運用の見直しなど多くの手間と複雑な知識が必要になるこのマイナンバー業務に関して、相談に乗ってくれるとのこと。もちろん事前の相談に関しては無料。「結局のところ、ウチはどうすればいいんだ!?」という各業種ならではの雇用側の悩みに応えてくれるというので、導入に不安があるなら検討してみる価値はあるのでは?

目安としては特に業務が一気に煩雑になる従業員100人以上の規模の企業に向いている内容になっているそう。詳しく知りたい人は以下のリンクを参照してもらいたい。

■IBSマイナンバー対応支援サービス

まとめ

1月まで実際に業務に反映しなければならないこと、それを簡単にまとめると、マイナンバー情報の取扱業務フローを確立し、実際に収集し、適切に保管することだ。もちろんそれに伴って、最低でも経営者及び人事給与業務担当者は知識の習得も必須になる。そして対応しなかった場合、情報漏洩に対しての罰金・懲役という重い罰則を考えると、くれぐれも対応は甘く見るべきではないだろう。

やることが山積みなことを考えると、1月というのはすぐ目の前。まだ未対応な企業はその規模に関わらず、少しでも早く対応を検討し始めることが必要だ。

■マイナンバー対応に関するご相談・お問い合わせ

(Web)https://www.ibs.inte.co.jp/inquiry/solution/
(お電話)03-6385-0859 営業時間 9:00~18:00
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

岡本 久理子/Kuriko Okamoto

岡本 久理子 / Kuriko Okamoto
企業における人事戦略設計・法律対応を専門としたコンサルタント
大学にて法学部法律学科所属、会社法専攻。2008年パーソルプロセス&テクノロジー株式会社に入社。IT系BPOプロジェクトチームにて運営・品質管理を担当後、PJTリーダーに就任、PJTマネジメントに従事。2014年より新規事業であるIBSコンサルティング統括部に立上げメンバーとして参画。マイナンバー対応支援サービス企画を担当。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
https://www.persol-pt.co.jp/

文・清水りょういち(ゲッカヨ編集室)

ページトップへ

おすすめの記事