「フリーター」とは?データで見る3タイプの特徴と採用ポイント

  • 採用課題

求職者別に志向性を分析していくシリーズ、主婦編に続く第2弾は「フリーター」です。長期的な活躍が見込めるフリーターは採用難の時代には重要な戦力になってくれますが、彼らが様々な志向性を持っていることはご存知でしょうか?フリーターの大まかなタイプとその特徴を把握いただき、求人募集のターゲット検討、求人原稿などに是非お役立てください。

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調査概要

【調査地域】全国(インターネットリサーチ)
【調査対象】1500サンプル
未婚かつ学生を除く人で、アルバイト・パートに就業している人。
本調査では高年齢のフリーター(35~44歳)も対象
■1500サンプルの内訳
男性/18~24歳:113サンプル、25~34歳:387サンプル、35~44歳:250サンプル
女性/18~24歳:250サンプル、25~34歳:250サンプル、35~44歳:250サンプル
【調査期間】2016年5月21日~5月23日

01 大分類では「3タイプ」、小分類では「7タイプ」に分類されるフリーター

フリーター3類型イメージ

今回の調査では、日本労働研究機構「フリーターの意識と実態」(2000年)を参考に、フリーターになった経緯から「モラトリアム型」「夢追求型」「やむを得ず型」の3タイプ、およびさらに細分化した7タイプにフリーターを分類。アンケート回答者に自身のタイプを選択してもらい、仕事探しで重視する点などをタイプ別に掘り下げました。本論に入る前に、まずはそれぞれのタイプの定義を理解しておきましょう。

「モラトリアム型」

現在フリーターで最も多いタイプで、「フリーターとなった当初に明確な職業展望を持っていなかったもの」を指します。フリーターになる直前に所属していたのが教育機関(予備校を含む)であったか、職場であったかによって、さらに「離学」と「離職」に分けられます。

「夢追求型」

「芸能関係の職業、もしくは職人・フリーランス型の職業につきたい」という、明確な目標を持っているタイプ。日本労働研究機構「フリーターの意識と実態」(2000年)の調査では27.8%を占めましたが、今回の調査では約10%に留まっており少数であることが判明しました。目指す職業のタイプでさらに「芸能志向型」と「職人・フリーランス志向型」に分けられます。

「やむを得ず型」

上記の2タイプよりも大まかな定義になりますが、「本人の意欲とは別の、労働市場の悪化や家庭の経済事情、トラブルなどの事情からフリーターを選択」したタイプです。フリーターになった事情から「正規雇用志向型」「期間限定型」「プライベート・トラブル型」に分けられます。

参考:日本労働研究機構「フリーターの意識と実態」(2000年)

「その他」のタイプとは

今回のアンケートでは、「モラトリアム型」「夢追求型」「やむを得ず型」に該当しなかった「その他」タイプが僅かに見られました。具体的には「やりたい趣味や活動がこなせるライフスタイル」を志向してフリーターを選んだタイプ、気楽さや時間の自由を求め、就業形態として自らフリーターを選んだタイプ、「婚姻・婚姻に伴う転居のため」にフリーターを選んだタイプなどです。

それでは次章より、今回のアンケートから明らかになったタイプごとの特徴を見ていきます。

02 フリーターの半数は職業展望が漠然とした「モラトリアム型」

「モラトリアム型」

明確なキャリアビジョン、職業の展望を持たないままに漠然とフリーターを続けているタイプです。この「モラトリアム型」はフリーターになる直前の所属が大学、予備校などの教育機関なら「離学モラトリアム型」、企業などの職場なら「離職モラトリアム型」と、大きく2つに分けられます。

離学モラトリアム型

職業や将来に対して明確な見通しを持たないまま高校や大学を中退したり、進路が未定のまま卒業したりして、消極的にフリーターに移行したタイプで「自分がどのような職業に就きたいのか」、という職業ビジョンが最も漠然としているタイプだと言えます。最終学歴はとりわけ高卒が多く(55%。調査の全体平均は39%)、高校中退などの中卒が最も多い(11%。調査の中卒の全体平均は5%)のもこのタイプの特徴になっています。正社員の経験率はフリーター内で最も低く、アルバイトだけを続けて現在に至っている人がほとんどです。この層をいかにスキルアップさせるか、責任のある仕事を与えて社会人として成長させるかが重要なテーマだと考えられます。

仕事探しの傾向では「興味のある仕事内容であること」「自分の生活時間に合わせて働けること」を重視してはいるものの、他タイプに比べて目立った特徴は見られませんが、同世代の人との職場を望む傾向が見られます。就業している職種では、「仕分け、梱包、製造(倉庫スタッフ)」「コンビニスタッフ」と、一般的な人気アルバイト職種が目立ちました。

正社員への意向はフリーター内では下から3番目の48%(調査の全体平均は51%)。フリーターが良い理由は、「フリーターの方が精神や体力的に楽」が最多でした。フリーターのデメリットが「特にない」と感じている人が多いのもこの層です。このようにフリーターの「気楽さ」「自由さ」に満足している人が多い一方、「収入の少なさ」を不満に挙げる声も目立っており、フリーター生活について「充実している」と回答した人は40%とやや少なめでした(調査の全体平均は43%)。

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離職モラトリアム型

学校を卒業した後、正社員として就職したものの、「劣悪な労働環境による心身の不調」や「人間関係の悩み」「会社の倒産」などによって不本意ながら離職し、再就職の見通しがはっきりしないままフリーターになったタイプです。今回のアンケートの結果、正社員を再び目指すべくフリーターを抜け出そうとしている人と、離職時のトラウマを抱えて正社員復帰に踏み切れない人の大きく2通りのがパターンが存在すると考えられます。フリーター全体では学歴が高め(大卒32%。全体では大卒率25%)です。

仕事選びのポイントでは「安定して長く働き続けることができること」と「職場の雰囲気」が特徴。また、「ブラックバイト」でないことをフリーターの中で最も重視するタイプです。今の仕事を選んだ理由について「経験したことがある・資格など活かせる」を挙げた人が比較的多く、正社員時代に培ったキャリア、スキルを生かしたい傾向が見て取れます。フリーター全体の中では「事務」職に就いている人がやや多めです。

正社員への意向は54%と2番目に高いのですが(調査の全体平均は51%)、反対に「フリーターの方が精神や体力的に楽」だから正社員を望まない人も最多。このタイプの正社員時の離職の原因として不本意なものが多かったことから、正社員に対して、いまだネガティブなイメージを引きずったままの人が多いのかもしれません。

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03 夢を追う若者「夢追求型」はフリーターの約1割

「夢追求型」

芸能関係の職業、または職人・フリーランス型の職業につきたいという明確な夢、目標を持ち、生活の糧を得るために制約の少ないアルバイトに就業しているタイプ。目指す夢、目標によって「芸能志向型」と「職人・フリーランス志向型」に分けられます。今回の調査結果を見ると、全体の10%程度と、フリーターの中では少数であることが分かりました。

芸能志向型

音楽や演劇、俳優など、芸能関係を目指してフリーターになったタイプです。今回のアンケートでは、目指す職業には音楽関係、役者関係、声優などのアーティスト、表現者系が目立ち、最終学歴は専門学校卒が最も多くなっています。このタイプでは年齢18歳~24歳の若者が多く、夢よりも現実への対処を迫られる35歳~44歳になると格段に減ります。

アルバイト収入はフリーターの中で最も多く、平均額は12万7千円(全体の平均は約11万円)。平均収入の高さは一人暮らしの多さとも比例しているようで、親との同居率が最も低く52%(全体の平均は69%)でした。また、アルバイト以外の収入が多く、フリーターでは最も多い約4万円(全体の平均は約2万7千円)を得ています。これらは主に、音楽や俳優活動による収入です。

就業している業種は事務が最多ですが、カフェ、居酒屋ホール、アミューズメントパークなどの接客系が多い傾向が見られます。また、バイトリーダー経験者が最も多く、アルバイトでも重要なポジションを任されている人が多いのが特徴です。コミュニケーション能力や統率力が高い人が多いと考えられます。

仕事探しで最も重視するポイントは「仕事への興味」ですが、「自分の時間に合わせて働ける」「待遇(高時給、昇給、交通費支給)」を重視するタイプです。夢に費やす時間を第一に置き、好条件のアルバイトを選ぶ傾向にあるようです。

正社員への意向は最も低く28%(全体の平均は51%)。主な理由は「フリーターの方が時間の融通がきき、休みが取りやすいから」。やりたいこと(目標)と仕事(現実)がうまく両立できている人が多いためか、フリーターとして「充実している」と回答した人は48%とやや高めの結果が出ています(調査の全体平均は43%)。

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職人・フリーランス志向型

職人、アート関係、執筆関係など、自分の技能・技術で身を立てる職業や独立を目指しているか、現在その職業をフリーランスで行っているタイプです。今回のアンケート回答者では、漫画家、イラストレーター、作家などの職業が挙げられます。フリーターの中では学歴が高めで、大卒、大学院卒が最も多いのもこのタイプの特徴です。このタイプでは男女ともに若い人が少なく、25~34歳のゾーンが最多。学校を卒業後に一度社会に出て、その中で自分のやりたい道を見つけた結果、フリーターとしての生き方を選択した人が多いものと考えられます。

「仕事への興味」をフリーターの中で最も重視するタイプで、「社会的な評判」はさほど重視していません。「自分が好きだから」「楽しそうだから」という判断軸で仕事選びをしている傾向が伺えます。次に重視するのは「自分の生活時間に合わせて働けること」であり、夢に費やす時間を確保したいことが伺えます。職場環境としては同世代以上の人と働きたいという珍しい傾向も見られました。

正社員への意向は36%と、芸能志向型に次いで低い数字でした。主な理由は芸能志向型と同様、「フリーターの方が時間の融通がきき、休みが取りやすいから」。目指す職業ありきで生活設計をしていることが分かります。

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04 意志とは別にフリーターになった「やむを得ず型」

「やむを得ず型」

本人の意向とは別に、労働市場の悪化や家庭の経済事情、トラブルなどの事情からフリーターを選択したタイプ。“やむを得ず”フリーターを選択した事情、背景は様々ですが、「正規雇用志向型」「期間限定型」「プライベート・トラブル型」に分けられます。

正規雇用志向型

正社員を希望して就職活動(新卒・再就職含む)を行ったものの、納得のいく結果が出ずにフリーターを選択したタイプ。今回のアンケートでは男性の25~34歳が最も多く、大卒が33%(調査の全体平均25%)とフリーターの中では学歴が高めです。親との同居率は最多で79%(全体の平均は69%)にのぼりました。生活面を実家に依存しながら、アルバイトと就職活動を続行する姿が浮かびます。

仕事探しで重視するポイントとして、「安定して長く働き続けられる」ことが特徴で、「和気あいあい」とした人間関係や「穏やかな」環境の中で無理せずアルバイトを続けたいといった傾向が見られます。また、「将来的に正社員になるチャンスがある」ことを重視するのが特徴です。「正規雇用志向型」というタイプ名のとおり、もともと正社員への意向は最も高く64%(調査の全体平均51%)。アルバイトのかたわら、「求人の応募」や「ハローワークでの職業相談」など、正社員を目指した直接的な求職活動を続けている人が多くなっています。

フリーター生活に対しては「賃金が低い」「将来への不安」点を感じる人が多く、正社員志向の強さからくる不満だと言えるでしょう。

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期間限定型

次の入学や就業まで、期間を区切って「学費稼ぎ」または「入学・就業待ち」でフリーターになったタイプです。最終学歴は高卒が最多で35%ですが、大卒も30%と決して少ない方ではありません。大学受験浪人中にアルバイトをしているケースや、資格を取得するための勉強をしながら生活費を稼ぐためにフリーターをしているケースが考えられます。

仕事探しで重視するポイントとして、「興味のある仕事内容」を重視する人が多い一方、「仕事選びには特にこだわりや理由がない」人も多め。仕事のキツさ、職場の雰囲気を重視する人も少なめでした。期間限定ということで、「アルバイト」と割り切って「身近で選びやすい」ものから選ぶ人が多いことが考えられます。自身が試験勉強をしている人が多いためか、全フリーターの中では塾、家庭教師の仕事を選択している人が多いのが特徴です。

フリーター生活を「充実している」と答えた人は50%(調査の全体平均は43%)と全体の中で最も高い割合です。その理由に「仕事が楽しい」「時間が自由」などを挙げる方が目立ちました。このようにアルバイトは「やりたいことを実現するための手段」と割り切って考えている方が多いようですが、フリーターは「スキルアップが期待できない」「転職に不利」という不満の声も見られました。

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プライベート・トラブル型

本人や家族の病気、正社員として勤務した企業の倒産、異性関係の問題など、不本意なトラブルがきっかけでフリーターになったタイプです。女性の割合が57%と最も高く、なかでも35~44歳のゾーンが多くなっています。

このタイプは高卒が最も多く、中卒が次に続くように最終学歴は低めですが、その一方、全体では2番目に高い正社員経験率(53%)となっており、社会人としての経験値は高めです。しかしながら、社員勤務時に「パワハラ・セクハラ」「長時間の就業」を経験している人が比較的多く見られ、これら就業時のトラブルがきっかけで体調不良などに陥り離職し、フリーターを選択したケースが多いと考えられます。

アルバイトでの収入は「1万~3万円」ゾーンが最も多い一方で、「15万~20万円」の高価格帯は最少です。そのため、平均月収は各タイプの中で最も低く、約9万5000円。上記のトラブルなどの事情があり、就業量を抑えめにしている人が多いと考えられます。

仕事探しで重視するポイントとして、「安定して長く働き続けられる」ことが特徴で、「体力的に無理のない仕事」「静かな環境」「少人数」な職場を望む傾向が見られます。職場の人間関係においては「程よい距離感」を保ちたいと考えている人が多いようです。以前経験した仕事を選ぶ人も目立っており、職種では事務職が多くなっています。一方、給与など待遇面への重視度は比較的低めです。また、「教育がしっかりとしている」を選択した人が最も多いのもこのタイプの特徴です。

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まとめ

以上、調査から見えたフリーターのタイプについて解説してきましたが、大まかな特徴をつかむことはできたでしょうか?次回の記事ではフリーターの正社員への意向や転職活動における苦労についてレポートします。詳しくはこちら

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