「2011年の採用を考える」 パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 常務執行役員 秋末哲

  • お役立ちインタビュー

 

 

]2009年は、完全失業率、有効求人倍率ともに過去最悪を記録するなど日本経済が不況のどん底であえいでいた年。それが少しずつ復調の兆しをみせ、ゆっくりとではありますが好景気へと向かっていったのが2010年と言えるでしょう。では、2011年を迎え、採用担当者はどんなことに留意すべきなのか、弊社常務執行役員の秋末と一緒に考えてみたいと思います。

~回復に伴い、そろそろ質的不満が表面化する~

回復に伴い、そろそろ質的不満が表面化する

回復に伴い、2011年はそろそろ質的不満が表面化する。

2010年の有効求人倍率は、全国平均で見ても1月の0.46倍から10月の0.56倍まで右肩上がりに緩やかに上昇してきました。2011年も引き続き雇用状況は少しずつ改善されていくのではないでしょうか。つまり、求職者にとっては求人が増えていく状態です。

ただ、有効求人倍率が上がることは、雇用側から見ると必ずしも良いことばかりではありません。よく、有効求人倍率が0.7倍くらいでも就職難みたいにいわれますが、これは間違いだと思います。歴史を振り返ってみても、1倍を超える方がむしろ異常。有効求人倍率が1倍を超えるという状態は、10人の求人に対して応募者が9人以下しか来ないということなので、こうなると企業としては全員を採用せざるを得ない。どんな人でもOKというのは、どう考えても変ですよね。実際、今までにそんな事態は1960年代後半の「いざなぎ景気」、70年代前半の「列島改造景気」、80年代後半の「バブル景気」だけなんです。

私の経験則だと、有効求人倍率が0.65倍あたりを超えると企業側から人材の質的不満が出てきます。求人倍率0.7倍という状態は、7人の募集に対して10人しか応募者が来ないという状態。こうなると企業としては、もうあまり人材を選べないという状態ですよね。現在の状況を見てみると、2010年10月の全国平均有効求人倍率が0.56ですから、企業としてはまだ人材をある程度選り好みできるという訳です。

~今こそ人材のクオリティを上げたい~

今のような時期には、早めに自社で中心的な役割を担ってくれる人材を獲得した方がいいでしょう。今ならまだ人材を確保しやすい状況ですが、有効求人倍率が上がっていけば、優秀な人材は各社で取り合いになる可能性がありますからね。今のペースで改善が続くと、2011年の中ごろには有効求人倍率が0.7倍くらいまではいくんじゃないでしょうか。実際、愛知県ではすでに0.7倍を超えていて、地元の企業からは人材の質低下に対する不満が出始めています。

特に多くの企業でこの1~2年は新卒採用を控えています。最低限の人材で切り盛りしているので、景気がよくなってくれば人が欲しくなる。しかし、そうなってから優秀な人材を確保しようとしても選べない状態ということになってしまいます。

~ポイントは求める人物像をより明確に打ち出す~

ポイントは求める人物像をより明確に打ち出す

求める人物像をより明確に打ち出すことがポイント

では、そういった時期の求人広告のポイントとはなにか。これは広告づくりの原則中の原則なんですが、本当に必要としている人材はどんな人なのかを明確にするということです。自社にとって必要な人物像をはっきりとさせて、その人たちに届く広告づくりを目指す。本当に必要な人にラブレターを書くようなつもりで広告をつくる。これに尽きると思います。不況時は、仮にメッセージが曖昧であっても求職者が来るため、そこから選べば良いかもしれません。しかし、2011年はそういった“量に担保した質”ではなく、質そのものへの追求が必要となってきます。「誰でも応募してください」といったスタンスではなく、条件は条件としてはっきりと打ち出し、「こんな能力のある、アナタが欲しいんです」と強く打ち出す方がいいでしょう。

それと、WEBと並行して紙媒体も有効に利用するというのをオススメします。WEBは検索軸がしっかりしてる求職者にとってはすごく便利です。どこで・何を・どのくらいの時給でしたいのか明確な人は、WEBですぐに求人を見つけられます。ただ、そもそも何をしたいのかが分からない人もいるので、そういった人にはページをめくって「こんな仕事もあるんだ」とか「この会社面白そう」みたいな“発見”を提供できる紙媒体が有効です。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 取締役 兼 常務執行役員/秋末 哲

秋末 哲 / Satoshi Akisue
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 取締役 兼 常務執行役員1980年株式会社リクルート入社。アントレ事業部長、学び事業部長、FromA取締役、リクルートスタッフィングなどを経て2007年にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社入社。パーソルプロセス&テクノロジー派遣OS.Div長を経て2009年にパーソルプロセス&テクノロジーメディアDiv長に就任。
※文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のもの。

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