応募したくなる募集を書くための、「企業に特化した魅力」の見つけ方

  • 求人広告ノウハウ

人手不足のこの時代、他の求人原稿との差別化を図るためには、従来、求職者が重視していた「時給」「仕事内容」「勤務時間」「勤務地」だけではない新たなポイントを押さえる必要があります。

その新たなポイントとは、求人原稿の内容。前回は、「その企業だけに特化した魅力を、広告で十分にアピールする」ことがいかに大切かをお伝えしました。今回は、そんな魅力について、どんなふうに見つけていけばいいのかをお伝えします。

応募数を増やすために「企業だけに特化した魅力」を見つける方法とは

──「企業だけに特化した魅力」はどのように見つければ良いのでしょうか。

石河:私は、その企業だけに特化した魅力を「ならでは情報」と呼んでいます。
他社にはない、その企業ならではの魅力だからです。

この「ならでは情報」の見つけ方で、もっとも簡単ですぐに取り組めるのが「そこで働いている『人』に着目すること」。たとえば、とても明るくて人を笑わせるのが得意な店長さんの場合、その魅力が原稿内でふんだんに語られていたら、求職者は「こんな人と一緒に働いてみたいな」と思うかもしれませんよね。
また、「年配の主婦の方も働いています!」と求人情報に書かれていたら、「それなら私でも大丈夫かも」と自身に投影して、安心して応募する女性もいるでしょう。

──なるほど。「実際、どんな人が働いているのか」を紹介し、「一緒に働いてみたい」と思わせる内容にするのですね。

石河:その通りです。この時大切なのは、求職者の目線に立ち、そこで働く人達を魅力的に見せるような原稿にすること。
つまり、企業側としても、「こんな人にぜひ、応募してほしい」というターゲット像をまず決めて、「どうやったら、その人達にアピールできるかな」と考え、彼らに刺さる広告を作ることが大事です。

──やみくもに「こんな人が働いています!」と紹介するのではなくて、将来、一緒に働く仲間を思い浮かべて、その人達にアピールすることが大事なのですね。

石河:私が以前、A-1グランプリ(※)を受賞した求人広告に、こんな内容がありました。
アルバイトを採用したいと考えていたのは、とあるラーメン屋さん。その店はとても繁盛していたのですが、店長である親父さん一人で仕込みから配膳、片付けまで行なっていたので、毎日とてもてんてこ舞いでした。

そこでアルバイトを雇うことにしたのですが、さっきお話しした通り、「ラーメン屋さんがアルバイトを募集」と書いても、時給や仕事内容などでは他店と差をつけにくい。でも、できるだけ効率よく、いいアルバイトを採用したい。
そこで私が提案したのは、あるストーリー仕立てにした求人広告です。

──ストーリーとは?

石河:まず、その親父さんが一人で黙々と仕事をしている様子を全面に打ち出しました。
親父さんは毎日慌ただしく、バタバタと働いています。店は一日中、大繁盛です。
そして夜、その日の仕事が終わると、厨房でぐったりしながら、寂しそうな背中を見せる親父さん…。
その写真に「誰か、この親父さんを手伝ってください!」というような内容のコピーを乗せたのです。
すると、求職者からの反響は抜群。あっという間に学生さんや主婦の方がアルバイトとして採用され、みなさん一生懸命、親父さんの仕事を手伝ってくれたそうです。

──それは面白いですね。寂しそうな親父さんの背中と、「手伝ってください!」と、読者の心に訴えかけるコピーが効いたのですね。

石河:そこで働いている人達が、どんなに魅力的で素晴らしく、求職者に「一緒に働いてみたい」と思わせるのに十分だったとしても、その表現手段がいまいちだったら、求人広告としてはあまり価値がありません。
そうしたクリエイティビティも、求人広告には大切な要素。ぜひ、採用担当者ご自身で検討したり、求人広告の営業担当者とじっくり話し合ったりしながら、その企業や店だけに特化した「ならでは情報」を見つけ、最適な広告表現を探して欲しいですね。

広告営業などの第三者的視点を活用して、魅力的で分かりやすい広告を作ろう

──そうした「ならでは情報」を的確に見つけるには、どのようにすれば良いのでしょうか。

石河:灯台下暗しといいますが、その会社や店にどっぷり浸った内部の人だと、なかなか見えづらい魅力もあります。自分たちでは当たり前と思っていたのに、他の会社や店では一般的でなかったりすることもあります。
そのため、周囲の人やそこで働くスタッフ、お客さん、それから広告営業などと話をしながら、第三者の視点も加えつつ、アピールポイントを見つけるといいでしょう。

 

──そうすると、自分では気づきにくい魅力も発見できそうですね。

石河:また、求人広告を作るときは、「応募する人の目線に立つ」ということが原則ですが、その際、できるだけ、応募者の不安を解消するように意識することも大切です。

たとえばある企業が「経験者歓迎」と広告に記載したとしますよね。すると、求職者の人達は、「なんの経験が必要なのだろう」「自分の経験が役に立つのだろうか」と困惑してしまいます。
でも、たとえば「接客業務の経験者歓迎」と書けば、求職者は安心して応募できるでしょう。こうして具体的な情報を追記することが、求職者の不安を解消するのに必要なのです。

──あくまでも、読み手の立場に立った求人広告を作るということが大切なのですね。

石河:そうです。「ならでは情報」を差別化ポイントにするのも、求職者がその企業を選びやすいように、という配慮から。
こうした「ならでは情報」がわかりやすく明示されていれば、おのずと狙っている求職者ターゲットに刺さり、応募も増えると思いますよ。

まとめ

後篇の今回は、「その企業だけに特化した魅力」をどんなふうに見つけていけばいいのかをお伝えしました。

その企業ならではの魅力(=ならでは情報)を発掘し、求人広告でターゲットにアプローチすることが非常に大切です。
この「ならでは情報」を見つけるのに、もっとも気軽に取り組みやすいのが「そこで働いているひとに着目すること」。そこで働くひとたちの特徴や魅力を広告でアピールすれば、最も端的に「ならでは情報」を訴求できます。

その「ならでは情報」を見つけるためには、親身になって求人を考えてくれる広告営業と出会うことも大事です。お互いに協力しながら、一緒に良い広告を作れる営業を探すとよいでしょう。

なお、「ならでは情報」を差別化ポイントにするのも、求職者がその企業を選びやすいように、という配慮から。できるだけ、応募者の不安を解消するように意識することも大切です。

本稿の示唆が、求人広告作成のひとつの参考になれば幸いです。

 

※「A-1グランプリ」…毎年、『an』に掲載された求人広告の中で、最も優れたものに贈られる賞。

 

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